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ちょっと待って!それはクレーム?~高すぎる事前期待は修正する

前回は、波多さまの体験をもとに、対応例を挙げました。

今回は、その補足説明です。

人は事前期待を基準に判断する

問題は、人はロボットのように画一でないということです。
同じ会社の同じサービスであれば、金太郎飴のように同じサービスが提供されるのが理想ですが、実際には同じ会社のサービスとして行われる、一人一人違う人間の人としての営みの一部にすぎません。

人によって能力が違う

同じサービスを提供しようにも、人の能力には違いがあります。

以前、とあるソフトクリーム屋さんには、「ソフトクリームが小さい!」というクレームがよくありました。
実は、同じ量のソフトクリームをフワッと巻ける達人がいたのです。
誰もその人のまねができず、達人のソフトクリームを最初に食べた人は、次に別の人が巻いたソフトクリームを見て、「(前回より)小さい!」と憤ることになります。

人によって考え方が違う

良かれと思ってやったことがクレームを生むこともあります。

先とは別の食べ物屋さんでは、セルフサービスにも関わらず、サービス精神旺盛な店員が来客に水を出していました。しかし、ある日、いつも利用している客がいつものように来たにも関わらず、水が出されることはなく、クレームになりました。いつもの店員が休みだったのです。

この二つの例は、内容を変えていますが、実際にあったクレームです。
水を自分で取りに行かされるだけでもクレームになるのに、注文した荷物を自宅まで運んでもらえないというのは大問題ですから、顧客が改善してほしいと願うのは自然なことです。

間に立つコールセンターだからできること

ポイントは、まずこの事前期待を把握し、高すぎる事前期待は修正するということです。

例えば、一番最初に利用したときに運んでくれたのが女性で、どうしても一度に運べず二回に分けて運んだとしましょう。
「一個口一度に運べず、分けてしまって申し訳ありません。お時間を取らせてしまって申し訳ありません」と何度も何度もペコペコしている配達員を見ていたら、今回のような電話をしようとは思わなかったはずです。電話をしたのは、最初の配達員が基準になっていたからです。

配達員が注文の仕方に文句を言うのは論外ですが、「(重すぎて)迷惑だ」と言った配達員も、他の組合員がみんな同じ重さの発注をしていて同じように階段を登らなければいけなかったら、そんなことは言わなかったはずです。双方の事前期待(=基準)が食い違っていたのです。

笑顔で運んだ以前の配達員も悪くありませんし、その後の配達員も(その人なりに)一生懸命働いています。ただ、「2回に分けて発注しろ」は言ってはいけない言葉でしたから、当然のことながら波多さんにも非はありません。

そして、誰も悪くないのに時として生じるその掛け違いをほどいてあげられるのが、間に立つコールセンターです。

どうぞ、自分たちには何もできないとあきらめず、できることを丁寧にしてあげてください。

それでは、また。

P.S.
それにしても、配達を嫌がる配達員を放置する企業はおかしいとお思いではないでしょうか。

先週の記事に対して家族を愛し平和を希求するkojuro先輩から頂戴したコメントがこちら。

いつもコメントありがとうございます。

このようなコメントを頂戴すると、伝わらないのではないかと不安だったところが明確になり、大変助かります。

お客さまは、間違っていると考えるからこそ電話をかけてきます。それは当然のことです。ですから、先輩がそのように考えることは正義感、もしくは優しさの表れであり、まったく問題ありません。
しかし、コールセンター内部にも実はそのように考える人がいたりします。「それはこの会社が間違っているんだから改めるべきだ」と。これは、少し困ります。

その点について、次週ご説明します。
次週もどうぞよろしくお願いいたします。



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