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クレーマーとは

以前、「サービスにおける平等」について書いた中で、「全ての人に“同じ満足”を」と述べました。

そうは言っても、対応に一線を画さないといけない人たちがいます。
俗に言うクレーマーですね。

クレーマーだからといって暴言を吐けば、しっぺ返しをくらうのは会社側です。なので、相手をクレーマーと認定しようとしまいと、対応を崩すべきではありません。しかし、崩さなくても変える必要はあります。

ではこのクレーマーをどのように規定するか
今回はこれがテーマです。

ここを間違えてクレーマーではない人をクレーマー扱いしてしまうと、大切なお客さまを1人失ってしまうことになります。
まずは、クレーマーではない、というケースを挙げていきたいと思います。

クレーマーではないケース

1)怒って怒鳴りまくっている人

電話を受ける立場からすると……
・電話を取ったら怒鳴り声が聞こえて
・理不尽に電話を取っただけの自分の人格まで罵られて
・何を言っても聞いてもらえない 
などがいろいろあると、こいつはクレーマーだ!と思いたくなってしまいます。
でも、怒っているときには誰にでも当たり散らすし人の言葉は耳に入りません。そう、これは人として当たり前の行為です。

2)なんでも会社のせいにする人

例えば間違った使い方で製品を壊しておいて「説明書なんて読むわけない、こんなものは会社の言い訳にすぎない」などと堂々と交換を要求してくるようなケースです。

このようなケースも依存性の高い人、他罰性の高い人とは言えるかもしれませんが、クレーマーとは言えないでしょう。

3)金品を要求する人

「慰謝料を払え」「代替品をよこせ」などと言われると、これもクレーマーと思いたくなりますが、客としての当然の権利だと思っている人もいます。
この場合には会社のスタンスなどを説明してわかっていただく必要があるだけで、クレーマーとは関係ありません。

このほか、「気に入らない店員を辞めさせろ」「すぐ、言うとおりに改善しろ」などと無茶な要求をしてくる人も同様です。

4)性格の合わない人

電話を取る側も人間ですから、好きなタイプもあれば気に入らないタイプもあります。

嫌味を言われるとカチンと来る
説明を遮っておいて「分からない」と繰り返されると堪忍袋の緒が切れる
ご希望の商品とは異なると言っているのに「大丈夫、絶対返品しないから」と買っておいて平気で返品の電話をかけてこられると対応する気も失せる
まだ大して話してもいないのに、偉そうに「あんたじゃ話になんないから上司に代わって」などと言われて「こっちこそ二度と対応してやるか」と思う

嫌みは気にならないが説明を遮られるのは腹が立つなど、対応する側にも苦手なタイプがあります。理想を言えば、そんなのがあってはいけないんでしょうが、神ならぬ身の限界です。

ただし、嫌味だろうが、物分かりが悪かろうが、移り気だろうが、偉そうだろうが、お客さまであることには変わりありません。お客さまになるために面接試験があるわけでもありませんし、性格上の欠点など、人間なら1つや2つ、下手すりゃ10個や20個、誰でも持っているものです。

そしてコールセンターはお客さまの人格を改造する場所ではありません。嫌味な人には嫌味の中に込められたメッセージも受け止めつつ、物分かりの悪い人にも分かりやすく、移り気な気持ちは受け入れて、偉そうな人には謙虚に、その方がその方のままで少しでも幸せになれるように対応させていただくのです。

苦手な相手なら、「苦手だな」と思いながらもお客さまにはそれを感じさせないよう笑顔で対応しましょう。自分の気持ちを押さえつける必要はありませんが、お客さまがそのために嫌な思いをすることは避けなければなりません。どうしても無理なら他の人に代わってもらいましょう。(その代わり、別の機会では代わってあげてください)

それではクレーマーとは。私は以下のように考えています。

クレーマーとは

クレーマーとは、お客さまという立場を利用して不当な利益を得ようと意図的に行っている人のことです。

要するにクレーマーは“自分はクレーマーだ”と分かってやっているということです。

もちろん自分からそのように申告はしませんから、こちらで判断するしかありません。主観に頼らざるを得ませんし、だから、少なくともクレーマーと判断した根拠が上記の4項目ではないと言い切れなければなりません。

また、クレーマーからの電話であっても「なるほど、そんな改善点があった」などと気付かされることもあります。

対応方針は、対応者個人ではなく会社が決める

そして、対応はもちろん会社によって異なりますが、相手をクレーマーと判断して通常対応から切り替える場合には、電話に出た個人の判断に頼らないよう、会社としての判断基準と基本スタンスを決めておく必要があるでしょう。

「なんとかごねて思い通りにしてやろう」というつもりで電話をしてきた人でも、その理由に正当性があり、本人は自分がクレーマーのつもりだが、実は会社側に非があったというようなケースもありました。

本来のお客さまをクレーマーと認定することの無いよう、判断はくれぐれも慎重に行ってください。

ではまた。




世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。