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動物と人間の絆『トラジマのミーめ』~読書感想文#4

銀河鉄道999やキャプテンハーロックなど、SFの印象が強い松本零士ですが、これはネコと人間の温かい物語です。

何も言わないけれど、確実にそこに居る

雪の降るクリスマスイブに窓をガリガリして拾われたトラジマのネコ、それがミーでした。ミーがいる幸せな日常と、ミーが病気で死ぬ悲しさ、死んだ後もずっと残る切ない想い。

なぜミーがこんなに愛おしいのか。それは言葉が通じないからではないでしょうか。

人は言葉を使うがゆえに、言葉にすれば伝わったと思ってしまう。聞いた方も理解したと思ってしまう。動物は言葉が使えないがゆえに人が察してやらなければいけない。それが正しい推察だったのかどうかも反応を見て自分で決めなければいけない。

自分が勝手にえさがほしいのだろうと推察し、自分が勝手にえさをやり、自分が勝手にそれでよかったの悪かったのと判断する。否応にも孤を意識せざるを得ない状況で、黙ってそばに居てくれる。独りだからこそ、そばに居てくれることがありがたい。それがミーなのです。

我が家でも、昔、うちの庭に迷い込んで鳴いていた仔犬を拾って飼いました。ミーではありませんが、ミッチーといいます。この本と同じように大切な思い出です。




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世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。