KeigoHigashitani

新約聖書学者(歴史学者)の田川建三、哲学者の牧野紀之、ドイツ語学者の関口存男、この三氏…

KeigoHigashitani

新約聖書学者(歴史学者)の田川建三、哲学者の牧野紀之、ドイツ語学者の関口存男、この三氏から „学問的姿勢"„学問的方法"について多くのことを学びました。/noteにはその時点で自分が考えていること、その考えの形成に参考になった文章などを挙げていこうと思います。宜しくお願いします。

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

序説・「批判する」という作業

はじめに 日本では、特に「批判」という言葉に“マイナス”のイメージを持つ人が多いように感じます。実際に、日本語においてはそういう一面、つまり「非難」の意味で使われることがとても多いのは事実です。  しかし、「批判」という言葉の持つ意味をしっかりと検討してみると、そのように、「非難=欠点や過失などを取り上げて責め立てること」の意味だけで意識されるのは非常に危険であることが分かります。  実に「批判する」という作業は人間の知性にとって最も基本的な営みであり、かつ人間の社会にと

    • 復刻「パンテオンの人人」        (牧野英一、昭和3年[1928年])

      〔まえがき〕  ここに、論文「『パンテオンの人人』の論理」(ヘーゲル『小論理学』牧野紀之訳註、未知谷、2018年の巻末に収録されています)の元ネタになっている名文『パンテオンの人人』を、牧野紀之氏の許可を得て、全文掲載することになりました。     牧野英一については、上記「~の論理」(現在最もお手軽なのは、pdf鶏鳴双書の中の『生活のなかの哲学』を手に取って頂くことだと思います)を読んで頂くとして、掲載するにあたって注意した点を予め記します。  今回、およそ100年近く

      • 橋爪大三郎批判           -「社会学」の観念論性の一例

        1、はじめに  旧聞で恐縮ですが、「News Picks」というメディアにおいて「現代人が『よく生きる』ための宗教講義」(2020年11月13日)という記事があがっています。「日本を代表する社会学者」との紹介で橋爪大三郎という人物が宗教について語っているものです。事実この人物、『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書、2011年)という「キリスト教のすべてがわかる決定版入門書(新書一冊程度で巨大な歴史現象であるキリスト教の「すべてがわかる」などと銘打てる出版社の見識をまず疑う

        • 「概念の価値の吟味」の現実的意味

           今からおよそ200年ほど前にヘーゲルは、当時のドイツの学問界の状況・思想的潮流を念頭に置いて次のように否定的な態度を表している。曰く彼ら〔当時の大学教授や宗教家など〕は と。そしてこうした傾向に対してヘーゲルは本当の意味での真理探究の仕方としての「哲学的態度」を対置して、以下のように述べる。  では、この「ありきたりの態度」とヘーゲルにとっての「哲学的態度」とはどのように異なっているのだろうか。「思考規定〔=概念〕の本性と価値に関する意識をもって真理を探究する」とはどう

        • 固定された記事

        序説・「批判する」という作業

        マガジン

        • 認識の方法について
          2本