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『無双の鉄拳(2018)』を観ました。

なにしろマ・ドンソク兄貴の作品が観たかったのです。
どんなに殺伐としている場面であっても、マ・ドンソクさんが出てくるとホッコリしてしまうから不思議です。
今作は妻がさらわれてしまい、裏社会で人身売買するようなヤバい組織犯罪に巻き込まれるお話ですけど、そんな深刻にならないで見られるのはきっとマ・ドンソクさんのおかげ(あと探偵さんと助手さんも)でしょう。
犯罪ものは、最後に後味の悪いものもございますが(セブンとかね)、こちらの作品は安心しておすすめできる作品となっております。

連日の暑さで夏バテぎみの方や、頭をカラッポにして映画を楽しみたい方におすすめです。
犯罪もの+アクション作品なので、見てると緊張感がありハラハラして、どうなるか先に展開が気になって引きつけられて、最後は解決してスカッとして終わる。こういうアクション娯楽作品が観たい時ってありますね。

●『無双の鉄拳』のあらすじ
今作のマ・ドンソクさんは、刑事でも用心棒でもございません。魚市場で働いてはいますが「どこかで一発当ててやろう」と思ってる一市民です。
だいたい欲を持っているとロクなことになりません。「うまい儲け話があるぞ」に釣られて大金を投資してしまい、金銭的にどうしようもない状況に追い込まれてしまいます。
かつては一度キレたら誰にも止められない“雄牛”という異名で恐れられた男ドンチョル(マ・ドンソク)も、今では愛する妻ジスと慎ましやかに暮らしていました。しかし、こんなどうしようもない時に限って、面倒な事に巻き込まれてしまったりします。
ある夜、些細な諍いでジスを怒らせてしまったドンチョルは急いで自宅に戻ると、そこにジスの姿は無く部屋が荒らされていました。そして、ドンチョルの携帯に何者かから電話が入ります。電話の主はジスを誘拐したと言うが、ドンチョルに身代金を要求するのではなく、逆に金を渡すからジスの事は忘れろと提案してくるのでした。

韓国映画の犯罪ものはいくつか観ていますが、シブイ系とかカッコイイ系の主人公の場合は、映像は引き付けられるのではありますが「ちょっと観てて怖い感じ(猟奇的犯罪とか)」がして「自分では好きでも、人にはおすすめしにくい(殺し方が残虐だったり)」ということになりやすいのです。
そんな犯罪映画なんかに、親しみやすいマ・ドンソクさんが出てくることによって『大衆性』がグッと上がるのを感じます。「犯罪映画だけどマ・ドンソクさんが出てくるから観に行こうか」なんて家族を誘ってみたりするのかもしれません。
それでマ・ドンソクさんは、様々なジャンルの映画から誘いが来る人気者なんだと思います。

ドンチョル(マ・ドンソク)と探偵さんと助手さん


今作は悪役の親玉もなかなかいいのです。あまり極端にやりすぎるとマンガみたいになるし、でも奇妙さがある方が怖さが増す。そのあたりが難しいとは思うのですが、人身売買組織のボス役のキム・ソンオさん、とてもよかったです。この方は映画『アジョシ(2010)』まで10年間無名期間があったとのこと。なんだかただ者ではない感じがします。

紫がお似合いのキム・ソンオさん

アクションシーンありカーチェイスシーンありで、もうお腹いっぱいですからと言っても、まだまだ出てくる感じが韓国映画おそるべしです。どうしても日本映画の大作を観てて「少ない予算でがんばってる感」を感じることがあります。それが今作には、アメリカのハリウッド映画なんかにあるお腹いっぱい感がちゃんとあって、それでいて120分以内におさめてくるのが見事です。

原題タイトルの直訳は『怒りの牡牛』なのでした。映画見た後ではこの題名の方があってると思いました。私は『無双の鉄拳』がどうも覚えられない(なんなら『牡牛の鉄拳』の方がいい)。
だいたい韓国犯罪映画は、一回見たらもうしばらくは見なくていい気持ちになるのですが、今作はまた見たい気持ちになっている。これがマ・ドンソクさんの魅力なのでした。

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