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読書日記vol.3(少年になり、本を買うのだ)

 読書日記の読書日記を書くという変わった事をする。そして関係ない食べ物の話をする。
 活字で書かれた食べ物が現物以上に魅力的に映ることはあるあるだと思う。有名どころだと『ナルニア国物語』で白い魔女にもらった日本ではプリンと訳されたターキッシュデライト、私がピンとくるのは『赤毛のアン』のアイスクリーム。余談だがビフテキがビーフステーキの略称なんて未だに信じていないビフテキは東京の少し古めかしいレストランで出てくる、きっとある。
 『少年になり、本を買うのだ』をチンタラカフェモカをズルズル啜りながら読んでいたら(本を読んでいる時の私は死ぬほど行儀が悪い)著者が飴玉を一つ落とすシーンが出てきた。ほとんど内容には関係のない何気ないワンシーン、このシーンが抜けていてもあまり差し障りもないだろう。そんな描写にギュンと心惹かれた。飴が舐めたい、洒落たやつじゃない、まんまるとした着色料の色をしたやつだ、落としたら転がっていくようなそんな飴。飴がどんな飴だったかは覚えていない、飴に対する情報は無かったかもしれないでも、すごく印象に残った。

 正直描写が優れていたとかそんなことは関係ないのかもしれない。甘いものの口でいたから無性に飴の描写が気に入ったのかも。こんなことがまちまちある、ご飯を食べました白米でした、とか完全にストーリーとは関係のないところであー完全に米の気分とかなってしまうだ。哀れな私、もう本物の飴を舐めてもこれだ!とはならないのに欲は意地悪に湧いてくる。活字の食べ物は読むから美味しいのであるのに。明日、飴を買いに行くが桜庭一樹さんの食べた飴を買えても私は満たされないだろう。

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