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財布の力~持続可能な調達~20211206解説

モノを買うことは、実は投票行動です

市場にはたくさんの商品・サービスがあふれ、競争しています。お客さんのサイフの中身(資金)には限りがあり、その限られた予算を獲得すべく、競争しています。
これは選挙と同じで、得票数=販売数が多ければ当選=販売継続し、少なければ落選=販売中止、さらには政界引退=事業撤退という結果にもなります。

会社は、政党と同じですね。得票数の多い候補者=商品を多く抱えている政党=会社は「支持率」が高く、そうでない政党=会社は支持率が低い。

というわえで、私たち1人ひとりは、実は、日々、買い物を通じて、どの会社を生き延びさせ、どの会社を退場させるかの投票行動を行っているといえます。

財布のチカラが世界を変える原動力になる

私たちは、「世界を変える」などと見たり聞いたりすると、そんな大それたことできるわけない、と思いがちですが、実は、買い物を通じて、日々、世界を変えています。

2030アジェンダのタイトルの通り、Transforming Our Worldなのです。

これが財布のチカラです。このチカラは、個人にも、企業にも、行政にも、あります。

この財布のチカラを、意図して使うのが、たとえば、グリーン購入という活動です。環境に配慮した商品・サービスを、優先的に購入することを通じて、商品・サービス、さらには企業の環境対応を進めようという意図です。日本では、グリーン購入法という法律があります。

では、グリーン購入の対象となる商品・サービスには、どのようなものがあるのでしょうか?もしかしたら、そんなもの見たことないよ、買ったことないよ、と思われるかもしれませんが、おそらく、そんなことはないでしょう。こちらの「エコ商品ねっと」を見てみてください。

持続可能な調達が広がりつつあります

最近では、エシカル消費、持続可能な調達、といった形で、環境だけでなく、社会的課題も包摂する取組に発展しつつあります。たとえば、こういう感じ。

先月、私が理事を務めるグリーン購入ネットワーク(GPN)から、大企業の持続可能な調達の実施状況に関する調査結果が発表されました。

実は、東京オリンピック・パラリンピックも、「持続可能な調達コード」にもとづいて、持続可能な調達を行っていました。

グリーン購入からの発展形

従来からのグリーン購入とどう違うか、というと、大きく2点あるでしょう。

1つ目は、商品・サービスの配慮内容に、環境だけでなく、社会的課題も含むこと。たとえば児童労働や、女性差別が行われていないか、など。

2つ目は、商品・サービスの原材料やスペックだけでなく、企業自体の事業者としての取組が、より広汎に問われること。

1つ目はE➡E(環境)+S(社会)へ、2つ目はG(ガバナンス)、すなわち、調達におけるESG視点の導入ということですね。

グリーン購入との違い、というより、グリーン購入を含みつつ、さらにスコープを広げたもの、と考えたほうがよいでしょう。

買う方は、そうしたい、として、では、サプライヤー側はどうしたらよいのでしょうか?
まずは、自分で自分の「身体検査」をしておくのがよいでしょう。選挙でも、大事ですよね。具体的にはどうしたらよいのか?こちらのページをご参照ください。

グリーン購入大賞は良事例集

最後に、財布のチカラをよりよく発揮した企業を表彰するグリーン購入大賞、今年の受賞企業が発表されました。SDGsの事例が知りたいという向きには、よい事例集となるでしょう。
https://www.gpn.jp/info/gpn/3b1b70da-6536-4e0d-a920-72617efe3235

■第22回グリーン購入大賞 審査結果
◇大賞・環境大臣賞
株式会社キミカ(中小企業部門)

◇大賞・経済産業大臣賞
NGP日本自動車リサイクル事業協同組合(行政・民間団体部門)

◇大賞・農林水産大臣賞
不二製油グループ本社株式会社(大企業部門)

◇大賞
つくば市(行政・民間団体部門)
住江織物株式会社(プラスチック資源循環特別部門)

◇優秀賞
エスビー食品株式会社(大企業部門)
株式会社スーパーホテル(大企業部門)
有限会社内藤鋼業(中小企業部門)
株式会社二川工業製作所(中小企業部門)
公立大学法人長野県立大学(行政・民間団体部門)

サステイナブル歴30年の「眼」(選者プロフィール)


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