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最近の環境事故2件 20220819解説

不祥事の工場が謝罪…東京湾へ猛毒流出「戦慄の真っ赤な川」写真

※ハインリッヒの、ヒヤリ・ハットの法則そのまま、度重なる基準超過の原因究明・予防措置がとられなかったので、「戦慄の真っ赤な川」になってしまったのではないでしょうか。ISO14001認証事業所ですが、環境マネジメントシステムは、少なくとも3年なのか5年なのか(それ以上なのか)、この件について機能していなかった、ということになります。同様事案は過去にもあり、制度の信頼性を著しく毀損するという意味でも、広汎に迷惑が及びます。巨大企業の巨大施設であり、資料も膨大ですから、サンプリングでそこまで見抜くのは難しかったかもしれませんが、審査する側も、落ち度がなかったか、原因究明・再発防止が必要です。すでに2008年に報告書が出ています。
https://www.jab.or.jp/files/items/1892/File/08031400-0.pdf

浜松の硫酸流出 水路で強い酸性 回収と中和進む

※当初報道では、「タンクと配管」の破損で、どちらなのか、両方なのか、判然としませんでしたが、どうやら「配管」だけのようです。硫酸は、水質汚濁防止法上の有害物質ではなく「指定物質」ですが、今回のような事案を踏まえると、有害物質貯蔵指定施設と同等の構造対策が必要であった(少なくとも今後の再発防止策としてはそのようにする必要がある)と考えられます(下記参照)。

https://www.env.go.jp/water/chikasui/text_h26.pdf

対策の対象は、①施設本体(今回でいえばタンク)だけでなく、 ②施設の設置場所の床面及び周囲、③ 施設本体に付帯する配管等、④施設本体に付帯する排水溝等も含まれます。
今回の配管破損による流出が起きても、②③④の対策が適切に講じられていれば、土壌浸透、その先の河川への流出は防げたはずです。おそらく②の対策としてタンク周りに防液堤は設置されていたと思いますが、配管の損傷個所が防液堤内にもかかわらず環境への漏出を防げなかったのだとすると、そもそもの設計が間違い、施工が不備、劣化損傷等の点検・修繕に不備のいずれかまたは複合要因ということになるでしょう。配管の損傷個所が防液堤の外だったとすると、③④の対策が講じられておらず、配管から流出した硫酸が直接地面に落ちて土壌浸透してしまったのでしょう。

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