習熟の経済性

はじめに

コスト低減のメカニズムである事業経済性として様々なものが挙げられるが、その1つに「習熟の経済性(経験効果)」がある。規模の経済性や範囲の経済性と混同しやすいので注意する必要がある。

経験曲線

累積生産量が増すほど、単位あたりのコストが減少すること

経験曲線が発生する原因

一言で言うと、「生産性の向上」が経験曲線を発生させる原因である。「生産性を向上させる」原因としては以下のようなものが挙げられる。

・過去の知見を反映させた生産プロセスの最適化・新技術の採用・規模の経済性

経験曲線の傾きが表すもの

経験曲線の傾きが表すのは、「企業の学習に対する熱心さ」であると言える。

ナレッジの蓄積や学習に意欲的な会社ほど、経験曲線の勾配は急になる。

一方、製造技術の改善にあまり力を入れていない企業の経験曲線の傾きがは比較的緩やかであることが多い。

製品の構造変化との関連

製品の構造は、以下の2つに分類されることがある。

・擦り合わせ型  ・モジュール(部品)型

擦り合わせ型とは、機能とパーツが一対一対応しておらず、全体として機能を擦り合わせなければならない製品構造を指す。例えば、車がそうである。このタイプの製品の製造の際には、経験効果が大きいと言える。

モジュール型とは、機能とパーツが一対一対応しており、組み合わせが単純な製品構造のことである。このタイプの製品が経験効果を受けることはあまりない。

日本企業はこれまで、擦り合わせ型の製品に対して経験効果を見出してきたが、これからはモジュール型製品が増えることが予想されるため、従来の強みが活かせなくなることが懸念されている。

習熟はいつか終わる

経験効果を考える際に、習熟し続けることはない事を予め見込んでおくことが重要である。



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