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疲労状態でのトレーニングでは体の中でどのような反応が起きているか? 「フィジカルトレーニングと生理学」

今年3月に書いたこちらの記事をつい先日無料公開しました。
僕がトレーニングを考えるときの根底にある考え方なので、より多くの人に読んでもらいたいと思ったからです。


遠藤航選手の発言から「疲れた状態でいかにプレーし続けるか」「疲れない状態をできるだけ維持する」という2つの目的からフィジカルトレーニングを考えた記事です。


この記事では「疲労しない状態をできるだけ維持する」という視点からトレーニングを考え、トレーニング強度や質を維持したままその量を最大化することが重要であるという立場をとっています。

その継続が試合へ向けたコンディショニングや長期的な能力向上に有効であると考えているからです。

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上記の記事では試合中やトレーニング中に見られる現象(疲れている、質が落ちている など)から疲労とトレーニングについて書きました。

ここからもう少しミクロな視点から、疲労状態、非疲労状態のトレーニング中に体の中でどのような反応が起こり、それがトレーニング効果にどのような影響を与えるか、について書いていきます。

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今回はエネルギー代謝の視点からです。


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※2021.9.15 追記

結論として僕たちはどうしたらいいの?という意見をいただき追記しました。

■2021.9.15 追記:結論、僕たちはどうしたらいいか?

の項をご覧いただければと思います。

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表立って言えないことなどはこっちで出していこうかなと思っています。
興味ある方ぜひご登録ください!



■エネルギー代謝の超基本

人は運動のエネルギーをATPというエネルギーの素を分解することで得ています。

体内に貯蔵されているATPはごく僅かなので、なくなってしまわないように絶えずATPを作りだす仕組みを人は持っています。

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ATPを作り出す仕組みは大きく分けて3種類あり、この3つのエネルギー代謝機構が運動強度や運動時間に合わせて比率を変えながら働くことで激しい運動時にもエネルギーを生み出し続けることができます。

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3種類のエネルギー代謝機構はそれぞれ特徴があり、異なる仕組みで働きます。

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座っている時にもエネルギーは必要なためATPを作り続けていますが、急に大量のエネルギーを必要にはなりません。ゆっくり歩いている時や家事をしている時も同様です。

そのため日常生活の多くの場面では、エネルギーを作り出すまで時間がかかるものの、長い時間稼働可能な酸化系を主としてエネルギー産生をしています。

酸化系は酸素を活用してエネルギーを作るので有酸素性エネルギー代謝と呼ばれます。


しかし日常生活においても椅子から急に立ち上がりスプリントしなければならないシチュエーションがあります。
その時、瞬時に多くのエネルギーが必要になります。

これはピッチ上でジョギングしている状態から急にスプリントするのと同様で、瞬時に多くのエネルギーを必要とするときにはATP-CP系解糖系を利用してエネルギーを作り出します。

ATP-CP系や解糖系で瞬時にエネルギーを産生するとき酸素は使用しないため無酸素性エネルギー代謝と呼ばれます。

関連過去記事
現場で使えるエネルギー代謝② ATP-CP系
現場で使えるエネルギー代謝③ 解糖系 高強度運動の要



■高強度運動のエネルギー代謝と疲労

ATP-CP系や解糖系は長い時間エネルギーを作り続けることができないため、スプリントのような高強度運動が長く続くと徐々に3つのエネルギー代謝機構貢献度の割合が変わってきます。

例えば400m走は多くの人が「無酸素性運動だ!」と呼ぶ運動の代表例です。

しかしその終盤にはATP-CP系や解糖系によるエネルギー産生の割合がさがり(産生できなくなり)、エネルギーの半分以上を酸化系(有酸素性エネルギー代謝)によってまかなうことになるとされています(参考文献参照)。

そのため実際には400m走の終盤は無酸素性運動というよりも有酸素性運動である、ということになります。

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これは400m走に限った話ではありません。

短い休息時間と高強度運動を繰り返す高強度インターバルトレーニング(HIIT)はこの仕組みを活用したトレーニング方法といえます。

反復スプリントトレーニングのようなスプリントで行う超高強度なHIITは、単発のスプリント自体はATP-CPや解糖系が主となってエネルギーを産生します。

しかしスプリントを短い休息時間で繰り返すことで、段々とスプリント時のエネルギー産生における酸化系の割合が高くなっていきます。
また運動間の休息時間には運動からの回復のために酸化系がエネルギーを産生しています。

つまり量を重ねる・時間が経過するにしたがってより有酸素性運動寄りの運動に変わっていきます。

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これにより無酸素性エネルギー代謝だけでなく、有酸素性エネルギー代謝にも負荷をかけることができ、どちらのエネルギー代謝機能も向上させることができるのがHIITのメリットです。

しかし同時に無酸素性エネルギー代謝でエネルギーが作れなくなることで運動強度は徐々に低下していくため、運動の最大値を高めたい(スピード、パワーなど)ときや無酸素性エネルギー代謝の機能を高めたいときには不適切となります。

運動強度を最大値近くで維持しながらトレーニングしたい場合には休息時間をしっかり取ることが必要です。

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このように高強度運動であっても運動時間が長くなったり、休息時間が長くなったりすると無酸素性エネルギー代謝でエネルギーが作れなくなり、有酸素性エネルギー代謝の割合が高くなります。

これはHIITのように有酸素性持久力を向上させるためトレーニングに活用されている体の仕組みであると同時に、スピードやパワーを向上させたい場合にはデメリットとなります。


サッカーでは高強度運動を単発で実施すればいいわけではありませんが、低い強度でしか運動できないのも困ります。

そのため

・単発の高強度運動
・高強度運動と素早い回復
・90分の長時間運動

の全てが必要です。

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■疲労状態でのエネルギー供給

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