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少年ジャンプ2024年40号感想

2024年9月2日 発売
表紙 :カグラバチ
巻頭カラー :カグラバチ
センターカラー :ひまてん!
センターカラー :超巡!超条先輩
センターカラー :【読切】ゾンビジョン(東条指之介)

表紙は1周年記念のカグラバチ。この作品は主人公の技にも絡めて「黒」「赤」がイメージカラーになっているっぽいので、こうして表紙になるとインパクトが強いですね。かっこいい。次にくるマンガ大賞で名前を聞いて気になった人にもバッチリ刺さりそうなデザインで、先生だけではなくデザイナーさんのセンスにも感服。

※ この記事ではAmazonアソシエイトを利用しています。


カグラバチ

巻頭カラー

今までカラーはチヒロメインで他がかなり小さめ……、みたいな構図が多かった本作ですが、今回の見開き巻頭カラーはがっつりめにハクリが配置されていて「仲間」感が出てきていてすごくいい感じ。柴さんまでは想像通りなんですが、ここに緋雪、多福も描かれているのは意外でしたね。現在保留になっていますが、正式に神奈備に入ればいい関係を築けそうなので期待していきたいところ。

第47話 漆羽

神奈備の妖刀の使い手として一番に出てくるのが「六平大好き人間」というのは結構イージーモードだな、でも大好きだからこそチヒロを認めなかったりするのか……?と期待半分心配半分で読み進めていたら、想像の斜め上におもしろい人だったので「マジで言ってる?」になりました。双城もそうでしたが、やはり妖刀には人を狂わせるなにかがあるとしか思えない。ただこれ、普通に考えてもこれだけ圧倒的な「力」を見せられたら虜になる人間がいるのはおかしくないし、真打の能力を見るとマジで人を狂わせる力があるっぽいのであんまり冗談にならないですね。

また、妖刀の使い手が悪いヤツだったらどうしよう……という心配に関しては、そもそもチヒロの父が信頼して妖刀を預けた相手なので根っからの悪人がいる可能性は低いのかも。チヒロの父すら欺いていた場合やなんらかの理由で神奈備を裏切る必要に迫られている人がいたら話は別だし、1人くらいはそういう人間がいる可能性はありそうですが……。

今回登場した漆羽ですが、おもしろいだけでなくちゃんと妖刀なしで妖術師を除けられるくらいには強い、というバランスもよかったです。しかもハクリをちゃんと守っているので相当の手練れなんだろうし、かなりいい人っぽい。これは妖刀の能力、使い方がどんな感じになるのか期待ができます。妖刀の名前が「酌揺」で、技があんまり想像ができないのも楽しみになる一因かも。

ラストの「六平サァン!!」は何度見てもおもしろい。カグラバチのこういうセンス、好きだ。

世界観ですが、「愛宕駅」って言っているので「日本っぽい国」ではあるし、電車は普通にあるけど、現代日本とは培われてきた文化が違うといった風のデザインになっているところが魅力的。カグラバチの世界観だけで1冊描いて欲しい。

呪術廻戦

第268話 決着

決着……、決着!?ついに!?「人外魔境新宿決戦」は「㊳」で終わるってこと!?という驚きがあった回。途中で色々なタイトルが挟まれましたが、少なくとも38回は宿儺と戦っていたんだと思うとすごいですね。ラストバトルとはいえかなりの長期戦、高専側も頑張っていましたが、これだけの回を1人で戦い抜いた宿儺もこれはこれですごい。今回の裏梅の言葉を借りるなら、勝てたのは「運が良かっただけだ」からだというのも納得の強さです。

宿儺との決着は「虎杖との問答は前回で既に終わっているため、次は伏黒との問答を経て決着へ」という流れが丁寧でよかったです。その後、体から剥がれた宿儺に「オマエは俺だ」と慈悲をかけた虎杖と、それを拒んだ宿儺というのもラスボス戦らしさが満載でよかったし……、このままでは私がよかったbotになってしまう。虎杖のかけたものが慈悲かどうかというのは解釈が分かれるような気がしますが、少なくとも宿儺はそう感じただろうし、言われた本人がそう感じたならそれは本人にとっての「憐れみ」「慈悲」であったのだと思います。

虎杖自身は「本人の資質としては呪い」である可能性が高いため、自分を人間(または呪術師)と定義するためには「人間は本人の生まれたときの資質ではなく、関わった人間によって形作られていくもの」という価値観にならざるを得ない。だから虎杖は「自分と同じ」宿儺に対して自分が「関わった人間」になり、宿儺と共に生きるという道を提示する必要があった。自分が「運良く」手に入れたものを宿儺は手に入れられなかった、そういう思いから「本人の資質」を根拠に宿儺を拒絶するのはフェアじゃないという気持ちになったんじゃないかと感じました。別に虎杖がそう感じる義務はないと思うんですが、虎杖はこの辺の公平さを重んじてる印象。

しかし、それに対する宿儺の答えは「俺は〝呪いだ〟」。自分を「本人の資質」として定義した答えを返すことで虎杖とその考えを根本から否定し、最期まで「わかりあえないもの」として消えていく。この「呪いの王」としての矜持を完璧に守って死んだところは正直かっこよかったです。

しかも、これが「生」を諦めたからではなく、「死にたくはなかったが、虎杖に憐れまれて生きるよりは死んだ方がマシ」という価値観から選んだ道であるところも最高でしたね。これはちょっと考察というか、私の受け取り方の話になってしまうんですが……、「虎杖と共に生きていく=自分が人間として生きていく」ということで、「呪い」であることがアイデンティティである宿儺には絶対に受け入れられないものだったということだったんじゃないかと思います。

個人的には虎杖とやり直す宿儺も見てみたかったんですが、そうできないことにすごく説得力があるのがこの作品の「答え」なんだな~、としっかり諦めもつく〆でした。

個人的には虎杖とやり直す宿儺も見てみたかったんですが、そうできないことにすごく説得力があるのがこの作品の「答え」なんだな~、としっかり諦めもつく〆でした。

また、その従者である裏梅も宿儺が死んだなら生きる理由はないと潔く退場するのも美しかったです。最初に書きましたが、今回宿儺に勝てたのは「運が良かったからだ」というのは負け惜しみでもなんでもなく、事実なんだろうなというのがわかるのが恐ろしい。結局裏梅も裏梅で執着していたのは「生」ではなく付随する目的の方だった辺り、芯がブレなかったですね。

決着は想像以上に呆気なく、「それがよかった」というのが感想です。

あっさり始まった後日談も(野薔薇自身が文句を言っているが)妙に感傷的すぎず、通常運営なのが「らしい」といえばらしい感じで、さっそく序盤の死亡ドッキリを挟んでくるこの感じ……、終わったんだなという物寂しさがあります。思ったよりちゃんと残されていた五条からの手紙も必要以上の重さはなく、この物語が「日常」に戻っていくんだなというのを強く感じさせてくれました。

まあ、まだ3話あるので急にヤバいことが起きる可能性は全然ある。

ラストの乙骨を助けよう!っていうのは伏黒の雰囲気的に乙骨が自己犠牲的なことをやろうとして真希に怒られてるのかな……、と思ってるんですが、マンガは声色で誰のセリフか判別できないという読ませ方ができるのが強いですね。別にそういう意図があるとは限らないけど……。

あかね噺

第124席 想像の余地

先週から引き続き志ぐまの高座回でした。落語の世界に入り込み、その世界を表現するあかねの高座と違って「引き算の美学」である志ぐまの高座は説得力のある表現方法が難しかっただろうなと思いました。「余計なものをそぎ落とし、それを観客に想像させる」というのをマンガでどう表現するんだという話ですが、そんな無理を技術で押し通してくるのがあかね噺というマンガです。

志ぐまの動きは最小限に、志ぐまだけのコマとその周りに「世界」が生まれているコマを挟むことで観客が志ぐまの周りに「世界」を幻視している状況を見事に描いている。多分この「志ぐまだけのコマ」と「志ぐまの周りに世界が広がっているコマ」、そのときの「セリフ」のバランスで作っている効果だと思うんですが……、これを狙って表現できるのはもはや職人の域。すごい。

その上で最後の見開きで暗闇の中に光る人間の目を蝋燭の火に見立てて一気に世界を広げてくるシーンはゾッとするほど見事でしたね。この見え方、肝心なのは「観客席から見た風景」ではなく、「袖にいたあかねだから見えた風景」と言うところなんじゃないかな~と思っています。それが「この高座を君に見せる意味」だときれいに繋がるし……。しかし志ぐまの芸のすごさを目の当たりにする度、この「芸」に近付いているらしいあかねも何者なんだ!?という気持ちになりますね。

というか、なんとなく「落語の講演をすること」を高座って言っているんですが、これで単語の使い方があっているのか不安になってきました。あと本当にあかねが袖からみてるのかどうかも不安になってきた。なにもかも自信がないし、ここまで書いて今さら過ぎる。

余談ですが、私は小劇場系の舞台が好きなんですが、そういう舞台は「ない」ことで空間を想像させる手法が多用されがちなので今回の話は結構「わかる!」という気持ちになれてよかったです。

ひまてん!

No.8 楽しい休日

殿一とほのかのほのぼのデート回(本人がデートでいいんだよな?って言っているのでデートと言うことにします)でした。近衛さんの余計なお節介は殿一とほのかの関係性によってはアウトだと思うんですが、今回は上手く働いたようでよかったです。

しかしこのデートを見た感じ、殿一とほのかって完全に両思いなんですが……。ここにひまりが参戦して三角関係になること、あるんですか!?はっきり言ってその展開だとひまりが完全に中学生の頃から両思いの男女に後から挟まる感じになってしまう気がするんですが……!?普段複数ヒロインもののラブコメをあんまり読まないので全然予想がつかない。不安。

殿一とほのかのデート自体は夕飯は誘えないところを含めて生真面目同士の優良デートって感じでとてもよかったです。細かいところですが、映画じゃなくてお笑いのライブにしたことで相手の反応を見たり、小声でおしゃべりできたりと2人の距離を縮める描写を挟めるんだなと感心しました。ライブ後なので「ホントはこの後ももうちょっと一緒にいたかったな」となるのも自然。

ひまりの連絡も文面で「デートが終わったら」「業務連絡がある」という殿一に余計な気を遣わせないものだったのがめちゃくちゃ好印象でした。そもそも「明日は休みにしてね」と雇用主として連絡しているのがしっかりしている。結果的に殿一が電話したことで看病イベントは発生しましたが、現状殿一が「どっちを選ぶか」みたいになっていないのでストレスは少ないのかも。

ヒロインどっちも好きなので、どっちも悲しまない形でどうにかならんか?

また、ヒロインの名前が擬音になっているというのは知っていたんですが、今回は結構「その擬音なに!?」となるシーンが多かったです。作品の特徴(?)としては好きなんですが、気が散ってしまうことがあるのでなかなか難しいですね。

SAKAMOTO DAYS

DAYS 180 心当たり

キンダカの宣言通りシンと平助の修行からスタートするものの、こちらは結構あっさり終了。こういうバトル漫画で「体格や生まれ持ったパワーは才能」って言い切ってしまうのは身も蓋もないと思うんですが、それだけORDERは規格外ってことなのかもしれません。特に大佛なんかはマジで突然変異で現れた破壊者みたいな風格があるし……。彼女に関してはどういう経緯かわかりませんが、ORDERに所属できてよかったねという気持ちがあります。

じゃあシンはどうする?のアンサーは「お前は超能力を伸ばすべき」。これはマジでそう。ちょっと前の坂本の「シンにはシンに、平助には平助に合った強化法があるはず」という考えとも一致します。というか坂本はそこまで考えられたならもう一歩でキンダカと同じこと思いついたじゃん!でもまあ、天然フィジカル持ちには思いつきにくいのかもしれないですね。

超能力を伸ばしたい→超能力の先輩が欲しい、というのは自然な流れですが、そこで間髪入れずに「いるよ~」となるのはサカモトらしい展開の早さ。そこから急に「殺連の超能力者」→「超能力者は占い師」→「占い師は殺連監獄にいる」までのスピード感はジェットコースターを思わせます。

占い師に会いに行くために自首しちゃおう!から10年懲役、監獄へという流れも爆速。私は途中で出てきた「殺連 殺し屋支援センター」や「殺し屋裁判(?)」とかその辺の設定も知りたいよ。この辺の「この世界における殺連の立ち位置」って暫定ラスボスのスラーの動機や坂本を始めとした「殺し屋」という職業の業に結構深く関わってくるところなので大事なところだと思うんですが……、そういうところを掘り下げるのがおもしろい作品なのか?と言われたら違う気がするので難しいですね。正直に言えば私も先週や今週くらいのノリが好きです。

本編的には「監獄にはヤバい暗殺者がいっぱいいる!これからのアクションをお楽しみに!シンの能力強化もあるよ!」くらいの捉え方でいるのがいい気もする。

しかし、殺連がこの占いによって重大事項を決定しているっていうのも結構重要な気がしていて……、なぜかと言えば、この占い師が「殺連は殺し屋事業をやめて坂本商店として全国展開すべきなのじゃ!!!」とか言い出せば坂本の野望が一気に解決しかねない。まあ、占い師が坂本たちに協力的になってくれるかはわかりませんし、そうだとしても殺連全体を動かせないようにするための「スラー関連の占いを外しまくってスラーとの共謀を疑われ、監獄に入れられた」設定なんだと思います。

占い師が本当にスラー関連の人物なのかは気になるところですね。スラーが偽名だったり人格が複数あったりするせいで上手く占えないパターンがそれっぽい気がしますが、アルカマル陣営に顔を隠していた人物がいたし、宇田くんの例もあるので(今思えば宇田くんが普通に殺連の支部で働けてるのもガバガバだと思いますが)、マジで内通者パターンもあり得そう。

しかし南雲は的中率100パーセントの占い師が自陣営にいるなら赤尾の居場所くらい占ってもらえなかったのか?という気がします。殺連で発言力を持てた頃には赤尾が死んでいたんだとしても、赤尾の仇とその居場所くらいは……。ただ、そもそもこの占い師も日時や人物を指定して占えるわけではないかもしれないので(それだと占いと言うよりも未来予知ですが)、微妙か。

そしてキンダカは上手いこと師匠ポジションを一抜けして暇人になってしまった。的確な指摘ができているからなんかいい感じになったけど……、本当によかったのか?「的確なアドバイスができる」ことが求められていたことではあるので、仕事を全うしてないわけじゃないんだけど、このあと坂本に怒られるのでは?

あと、平助はなんで監獄に着いてった!?これは本当になんで!?友だちだからだと思うけど、友だちだからって監獄まで付いていかなくてもいいんだよ!!!

そう言えば私は最強ジャンプで連載している「SAKAMOTO HOLIDAYS」も読んでいるんですが、こっちもかなりおもしろいので、サカモトが好きな人にはおすすめだと思います。スピンオフなのでアクションは控えめでキャラクターものかな?と思っていたんですが、かなりがっつりアクションシーンがあって読み応えがあります。

アオのハコ

#162 いいかも

告白シーンって結構イベントとしては大きいはずなんですが、対象が菖蒲なので重大なのは「それを受けるかどうか」という部分、というのがおもしろい。フラグが立っていそうな匡とのすれ違いがもどかしい関係性ですね。

文化祭という恋愛マンガではイベントがいっぱいありそうな行事の表で大喜と千夏先輩の青春恋愛イベントが起きているのは全然構わないんですが、裏で匡と咲季(と菖蒲)の関係性が拗れていきそうなのはなんだか普通にかわいそうな気がしてきました。特に匡は家の近さや家族同士の関係性もあって人間関係をバッサリ行くわけにも行かないのがなかなか不憫。個人的には咲季に対して「今さら脈ありみたいな態度を取るな」とは思わないんですが、その気があるのかないのかははっきりしてあげて欲しいなとは思います。

この辺、菖蒲の「考える期間」=「文化祭」に相当していて、後夜祭のキャンプファイヤー辺りで(勝手にあると決めつけている)、この関係にも決着がつくとかそういう感じになりそうな気がする。私は……、匡と菖蒲でいい感じくらいになってくれるのがうれしいんですが、どうなるんだろう……。

ウィッチウォッチ

169 チャミーの秘密

前回が「秘密のチャミー」で今回が「チャミーの秘密」なの、なんかいいですね。

思ったよりも早いおうち訪問回。賑やかになると思っていたらチャミーのファンだからって理由で普通に追い出されていた同居人に笑ってしまった。そこまで信用ないのか……。

スランプの語るチャミーの過去は重すぎない重さでよかったですね。黒魔女に堕ちないよう修行したことでスランプを得たこと、その特性(イマジネーション能力の強さ)が今のニコに必要だから家庭教師になったこと、この辺りのロジックがしっかりしているのが篠原先生らしい。前回「本当に修行が必要なのはチャミーの方なのでは?」とか言って大変申し訳ありませんでした。高校生のニコはちゃんとできていたっぽい、という補足があったのも丁寧。

今回は新キャラ顔見せ&説明回だったので結構平坦ではあったんですが、それでもしっかり小ネタがおもしろいのは流石でした。

僕とロボコ

第199話 カヲルと親友

「小さい頃に男の子だと思って遊んでいた相手が実は女の子だった」概念のカヲルちゃんが再登場。1発キャラにしては惜しいキャラだから準レギュラー化して欲しいけど、準レギュラー化してしまうと他キャラを食ってしまうから無理か……?と思っていたんですが、普通に出てきましたね。

悪い意味ではなく、ストレートなカヲルちゃんかわいい回だったのでちょっと驚きました。ただ、それ以上に驚いたのはカヲルちゃんの山口弁監修が作者母だったことですね。これはボンドとのやりとり(コミックスでは修正されるなどのくだり)も含めておもしろかったです。

超巡!超条先輩

第28話 恋をしたのは巡査長

突然の一本木とのデートに驚いている超巡でしたが、読者視点だとセンターカラーに花園さんがいるのでなんとなくオチがわかる構成。とはいえ潜入捜査で演技が必要!とかであればこれくらいのいちゃつきはやらないこともないレベルだったので花園さんを犯人だと決めつけるかどうかは一瞬悩みましたね。しかし、超巡もラストで言っていますが、花園さんがなにかしでかしているわけではないので特に対処法はないというのがおもしろいというか普通に困るというか……。

しかし今回は結果的に花園さんの妄想だったとはいえ超巡とポンちゃんのいい雰囲気なシーン(というか結婚式だったのでいい雰囲気を越えている)を見られたのは役得でした。

別に超巡とポンちゃんにくっついて欲しいとか微塵も思ってなかったはずなんですが、やっぱりそれっぽいシーンを見てしまうと「え?いいかも!」という気持ちになってしまう。でもやっぱ原作ではずっと「いい雰囲気(恋愛感情に限らず)」をたもったままでいて欲しい気持ちもあり、その点で言えば超巡に良識があることがちゃんとストッパーになっているので安心感があります。

ただ、教会領域の中で口にした「本当に助かってる、ありがとう」辺りは本心っぽいし、そういうほっこり要素はしっかり押さえているのが相変わらず好印象。

鵺の陰陽師

第64話 火車

前回のラストでいきなり参戦してきた学郎ですが、どうやってやってきたのかの補足がしっかりあってよかったです。

今回は火車の書き込みも含めて怒濤の回でしたね。しかし、私は鵺の陰陽師をしっかり読み込めているとは言いがたいため、わからないことが結構多かったです。今回だと学郎の盡器と儡脊の盡器が同じだったこととか、かなり重要だと思うんですが……。というか、契約した幻妖に影響を受けるなら現在鵺と契約している学郎と現在火車と契約している儡脊の盡器が同じってどういうこと?とか、そもそも盡器って幻妖と契約してるかどうかって関係なかったかも……、とかその辺。

とはいえ、本作はその辺の説明はささっとやってくれる方なので、説明してくれるだろうし、説明してくれたときに理解すればいいか!!!という気持ちです。

火車が人間形態を取ったことには驚きましたが、そもそもレベル4ですら人型なのでその上の鏖が人型になれるのは当たり前だったかもしれません。また、今回で人間に似た姿のレベル4が生まれるメカニズムを1200年前に生み出したのが火車とのことなのでその辺は色々ありそうですね。ちなみに私は最初に読んだとき、ここのセリフを鵺さんを指したセリフだと思い込んでいたので「鵺さんにもまだ隠してることがあるんだなあ」とか思っていました。

鏖の1人が出てきたことで鵺さんの過去が明かされ始めたのと膳野くんの登場はうれしい誤算。また、鏖同士のデッカスケールの戦いを見せられたことで、今後の戦いのスケールの大きさも感じられたいい助走回だったな~と思います。

夜桜さんちの大作戦

作戦240.もう一度

狂一郎VS灰戦に関しては戦いそのものよりも、その発端と決着の方が大切だったから発端と決着のみを描写した、という思い切りの良さ。夜桜は戦闘シーンも描けるマンガだと思っていますが、この辺りは全ての戦闘を描くのではなく、大切な戦いに焦点を絞ってストーリーを進めるように注力している感じがありますね。

この辺は本当に「作画コスト」というものがある以上、全てを描写できないのが惜しい気がしますね。でもその反面話は進むのでそれはうれしいというジレンマ。しかし、長男戦でここを削ったってことは狂一郎と二刃の開花春来がまだ残っている=それを使わなければならない展開が残っているという緊張感もありますね。

また、逃げ出した一の行方より(多分こっちは探せば見つかるんだろうな……)、現状「順調すぎる」ところに問題がありそうとのことで、七悪vsDr.もずがスタート。しかし、この戦い、すでに決着がついているように見える上に「これ本誌でやっちゃっていいのか?」状態なので色んな意味で次号が気になります。

【読切】ゾンビジョン(東条指之介)

読切としても読みやすいし、今後の展望も感じられる良作短編でした。細かい突っ込みどころはあるものの、マンガの短編としてあえてその辺りを切り捨てて主人公の少女にフォーカスすることで物語にしっかり芯を通している感じだと思います。

目新しいところとしてはゾンビが「仕事の報酬に体の一部を欲する」というところ。似た設定自体は他の作品でもあると思うんですが、ゾンビという設定とゾンビの性格が掛け合わされたときに独自性が出ているのがおもしろいな~と感じました。

最近のジャンプで言えば「人造人間100」が似た性質を持っているんですが、契約形態が違うこともあってか全然違った感じになっています。これに関しては今回の読切のゾンビが「元人間」であり、根本が人間であることが大きそう。「人造人間100」は人間と人造人間が根本から違う生き物であるというのがテーマだった印象があるので、正反対な印象になっているんだと思います。

強いて残念だったところを上げるなら「ゾンビジョン」というタイトルのゾンビの話なのに肝心のゾンビにゾンビらしさがちょっと少なかったところでしょうか。直前で書きましたが、「人造人間100」の人造人間や「アンデッドアンラック」のアンディのような「強靱な特殊な人間」っぽさの方が強かったです。

まあ、ゾンビっぽさって「腐っている」とか「足が遅い(これは作品による)」とかなので、そこを強調するとヒーローっぽい話にするのは難しそうですし、無茶振りかな~という気もします。

ただ、話は好きだったのでこういう1話完結事件解決ものは連載で読みたいな~と思いました。

悪祓士のキヨシくん

第10話 ボウリングにいこう

扉絵でキヨシくんの日常が垣間見えるがいいですね。

ちゃんと回を追うごとにどんどんおもしろくなっていくのがすごくいいマンガだな~と思います。前回で「悪祓士のキヨシ」を描き、今回で「学生のキヨシ」を描くことでキヨシくんの人物像が深まり、好感度が上がるのも上手い。

こういうときに「悪魔を倒さなきゃ……、でも今戦ったらみんなにバレちゃう……」みたいな展開で事態が悪化すると結構ストレスになってしまうので(個人的な気持ちです)、今回みたいにきちんと悪祓士としての仕事を全うしてくれるとホッとします。というか、そもそも世界観的に特に悪祓士の仕事を隠す必要はなく、単にキヨシくんが周りが異変に気がつく前に悪魔を瞬殺してしまっただけな気もします。

マドンナの豹変も「ガーターくらい許してやってよ~」で済まされている辺りののんきなクラスメイトのノリが好きなので、本格バトル編に入る前にこういう回をもう少し見せて欲しい気持ち。いや、本格バトル編に入るなんて誰も言ってないんですが……。

しかし、キヨシくんはやりたいことリストに予想難易度までつけてるのマメすぎ。

逃げ上手の若君

第170話 吉野1338

今回は戦からの撤退からの恩賞回なので中休み感がありました。北畠顕家の死を持って時行たちは撤退撤退できたこと自体はうれしいものの、失ったものが多く、得るものは少なかったというところは世知辛い。この辺は昔「当時の恩賞は主に土地だったので、土地が無限にあるわけではない状態だとかなり厳しかった」みたいなことを勉強したような気がします。でもちゃんと復習したわけではないので自身がない……。これでちゃんと勉強しよう!!!という気持ちになれるのがいいマンガですね。

しかし、ここで碌な恩賞もない(僅かな財と官位のみ)のにこの戦に悔いはないと思える将たちを抱えていた北畠顕家は本当にすごい。また、この頃の「帝から字をいただく」という文化も興味深いですね。

ここで、時行には史実上「生涯官位を名乗らなかった」という謎があることを逆手に、帝への啖呵を切ったというエピソードを持ってくるのもすごい(この辺太平記にはあるのかどうか知らないのでこの言い方になってます)。こういう余白を逆に「作品」の描きどころとして使ってこそのフィクションだな~、と感心しました。

そして、来週からは料理編。というかジュンサイもおかずっぽいのにおかずにあうおかずを献上するってどういうこと?戦が終わったら急に謎だらけになってしまった。

願いのアストロ

第19話 よけろよ

とにかく戦闘シーンの画面の処理が上手くて読みやすい!今回見開きで見ていて思ったんですが、NARUTO辺りも参考にしてそうな感じがするな~という印象。いい意味でシンプルでモノクロのメリハリがあるところがちょっとそれっぽい。

獅鷹の能力が「重力操作」っぽかったですが、これが念動力ではなかったのは「発現するアストロは本人の本質に近付く」辺りに影響されているのかなという気がします。そう思うと「万物を引き寄せる」力が何を望んで手に入れたものなのかというのは獅鷹の人間性に大きく関わっているような……。

その辺りは置いておいても、強キャラが「重力」の能力を持ってるのって異能バトルもののお約束的なところではあります。ブラックホール生成って相当強い技だと思うんですが、あんまりやらなかったのはめっちゃ疲れるか、制約があるか、ブラックホールの制御ができなくなったら世界が滅ぶからか……、結構やらない理由として考えられるものは多いですね。

次男のどこでもエレベーター(仮)のアストロは日常生活でなら欲しいアストロ上位に来そう。宇宙空間まで行ける、とかになったらめちゃくちゃできることがありそうですが、乗る人間がそれに対応した装備をしなければならないので難しいか。

ここに来てこの東京崩壊(とアストロ)が世剣と無関係じゃないって話が出てくるのは普通にいい展開ですね。世界観のつながりを感じさせてくれるのはうれしいけど、この天災が世剣のせい!みたいになったら一気にヒバルにも読者にもつらい話になりそうだし、どういう関係があるのか探っていくのが今後の方針になるんでしょうか。

アンデッドアンラック

No.220 おかえり

前回で帰還したアンディの本格戦闘。この戦い方、見るのは本当に久しぶりで……、本当にアンディが帰ってきたんだ!!!という喜びがわき上がってきました。でもやっぱかなりむちゃくちゃだし、脱皮戦法はだいぶ気持ち悪くて流石だな(自分でも褒めているのかどうかよくわからなくなってきた)。不運付与→次の攻撃を必中って戦法はだいぶゲームっぽい戦法ですね。

アンディとの再開から、ボイドとシェンという前ループで最初に出会った2人がやってくるのもアツいですね(ニコとイチコはそれより先に来ちゃったけど)。この辺はループものの強みをしっかり使ってるし、ループもので一番おもしろいところでもあるから作者の筆が乗ってる感じもあってがすごくいい。ちなみに駆け寄ってきたイチコが結婚指輪見せてきてるのはこんなときなのにちょっとほっこりしました。

アンディが敵と一緒に宇宙に行ったのもスポイル戦のセルフオマージュっぽさがあるんですが、これはちょっと考え過ぎかも知れません。ちゃんとスマートに帰ってくる方法があるのも成長を感じます(指から再生することを「スマートに帰ってくる」と言えるかは個人差があるかも)。

偶然「呪術廻戦」で「宿儺に勝てたのは運がよかったからだ」みたいな話をしている号でこの話が来たのも地味によかった。

キルアオ

page67 それぞれの決意

殺し屋組織のトップが理事長に(校長だったかも)になってしまったせいで困惑する羽目になった一般生徒がかわいそうすぎる。「ユニコーン・レアクラスって何?」という疑問ももっともです。ただ、そもそも幻獣組自体にも何か裏がありそうな雰囲気はあるので、もしかしたら元々裏がある学校だった可能性は捨てきれない気がします。

早速やってきた刺客たちは殺し屋であることをあまり隠す気がなさそうだし(最低限隠してはいるのか?)、緊急事態と言うこともあって十三もあまり取り繕えていない様子。この辺でボロが出てせっかく友だちになった家庭科部とも決裂とかになってしまったら普通に悲しくなってしまう……、と思っていたんですが、部長が大人だったおかげで最悪の事態は防げそうですね。よかった。

十三の違和感に気付き始めている面々が「踏み込まないことも1つの関係性の形」として受け入れる姿は「大人の」やり方だなと思う反面、せっかく少年マンガなんだからもっとアツい展開になって欲しい気持ちがなくもないですが……。桜花に啖呵を切った十三の答えが「子供達の未来を守ること」なので巻き込まないのが正解ではある。

しかし、桜花の子供を幼稚園児くらいで想像していたので、同じ中学に来ているというのはかなり予想外でした。確かに十三が子供の姿のまま対決するなら桜花ではない暫定ラスボスが必要だもんなあ!!!という気持ち。個人的なこの息子が桜花をも裏切って最悪の「悪」としてラスボスになるのとか好みです。

さいくるびより

16話 幸せな夢

前回ラストから引き続き、ことねの母の夢の中。

なぜか母の夢の中に精神を囚われた(脳波が2つになってるのは地味に怖い)ことねが見たのは最後に家族揃って食事をした日を繰り返している母の夢だった……。というそこそこベタな展開ですが、これを子の視点で見るのは結構キツいですね。実際、母が倒れて食べるものに困り、本来はまじめなはずの万引きするくらいの状況だったと思うとだいぶ追い込まれていたのを感じるし……。

もちろん母視点で「その日」以降が不幸せだったというわけではないと思いますが、だから気にしない!とはならないのも自明です。来週辺り脱出はできると思いますが、この辺はことねにフォローがあって欲しい。もちろんどの頃が一番幸せだったかを決める権利はことねの母にあるのはわかってるんですが、物語的に。例えばこの日は「一番幸せだった日」ではなく「もっとも後悔がある日」とかそういう……。

また、これってあくまで母の「夢のサイク」であって、実際に過去にタイムスリップしたとか平行世界に移動したというわけではないため、「夢の中のことね」とだけ話ができるというのもちょっと妙な感じがします。これに関しては「外に繋がるもの」として母が作り出した存在とかそういう理由があるのかもしれません。

そして相変わらず日常描写の上手さが際立っていました。ことねの家族の団らんでの会話のさりげなさというか、こういう日常の切り取り方が異様に上手い。サイクが関わっていないのでよりそれを強く感じました。

極東ネクロマンス

最終話 極東・死霊・愛

まずは連載お疲れさまでした!!!

最終話で作品タイトルを回収する仕草はオタクが(主語が大きい)大好きなやつですね。まさか「極東・死霊(ネクロ)・愛(ロマンス)」、死霊と愛というかけ離れた言葉を並べる言葉のセンス、やはり言葉のセンスがこの作品を語る上では外せない要素だなというのを再認識しました。

しかしこの最終回、個人的にはなんともコメントしづらく……。魔々勇々みたいな明らかな「おれたた」エンドでもなく、単行本に加筆があるよというのでもない状態でこれだと、「最後に設定を公開してくれてありがとう」という気持ちが一番大きいかもしれません。ここが本来の第二章の入口だったのかは定かではありませんが、何気にきちんと1話や2話の伏線をここで回収しているんですよね。もうちょっと知りたかった気持ちはあるんですが、その中でも回収できるところはしてくれたという印象。

最近好まれる作品の傾向だと、この最終回が第1話(押しかけ女房もの王道ルート)くらいのインパクトもありだったのかなという感じもします(それだと作品の雰囲気が全然違ってしまうので、この辺りは終わってから振り返ってみればというIFにしかなりませんが)。

思うところはあるものの、作品全体としては好きだったし、ラストバトル後に頻発した「憂鬱(メランコリー)」や最終話の「極東・死霊(ネクロ)・愛(ロマンス)」の言葉遊びも好きだし、もっと長い尺でしっかり読みたかった気持ちは大きいです。ここまで毎週楽しませてくれてありがとうございました!!!

妖怪バスター村上

第11話 村上くん元気になあれ

村上の偽物回かと思ったら取り憑かれた本人だったところでまず「マジで!?」になりました。なんかもう既にこの時点で相当おもしろい。

今回は人間を恐怖に陥れる妖怪に取り憑かれた村上くんを元気づけて元の元気な村上くんに戻そう!という回。読み返して気付いたんですが、四天王はあと1人になってしまっている上に、今回戦った(?)震々は別に四天王ではないという謎のバランス。

あの手この手で村上くんを元気づけようとする中、絵のかわいさとテンションでサラッと流してしまいましたが、妖怪とはいえその肉を抉って焼いて食べてるのはだいぶヤバいと思います。天狐がコンロに化けられて火が出るのも相当ヤバいと思いますが、そのヤバさを越えていました。本当にむちゃくちゃしてくるマンガだ……。

そして、最終的に「猫を見せて元気づけよう!」となった結果、立候補?したのは紅院くん。なんで天狐さんがいるのに紅院くんが猫をやったのかはわかりませんが、友情を感じられたので結果オーライでしょう。正直もう四天王を倒すのか!?(もしかして終わりが近い!?)という不安はあるんですが、四天王を倒しても妖怪がいなくなるわけじゃないし、まだイケそうだな……、とも思うので全然先が読めないですね。

少年ジャンプ2024年41号 予告

新連載はまさかの魔入りました!入間くんの西修先生原作、アクタージュ作画の宇佐崎しろ先生作画の魔男のイチ。唐突なビッグネーム(しかも他社看板作品連載中)投入でめちゃくちゃびっくりしていますが、お2人とも好きな作家さんなので純粋に楽しみです。予告を見る感じ、このあと2作品が新連載になる様子。こちらも楽しみです。

2024年9月9日 発売
表紙 :魔男のイチ
巻頭カラー :魔男のイチ
センターカラー :願いのアストロ
センターカラー :キルアオ
センターカラー :あかね噺

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Kei
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