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少年ジャンプ2024年26号感想

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2024年5月27日 発売
表紙 :鵺の陰陽師
巻頭カラー :鵺の陰陽師
センターカラー :アオのハコ
センターカラー :【読切】飛んで火にいる夏と蛍(里庄真芳)
センターカラー :超巡!超条先輩
読切 :【読切】飛んで火にいる夏と蛍(里庄真芳)
読切 :【読切】受験抗争(柴田将希)

先週のキルアオに引き続き、1周年記念の鵺の陰陽師が表紙。学郎を中心にヒロインが配置される豪華な顔ぶれです。主人公が中央でこっちを見ているからか、1周年と言うよりも新連載って感じがしなくもない。内容的には修行を終えていざ新章へ!というところではあるのでそれはそれで良い感じがしますね。

この号での発表はありませんでしたが、同日にSAKAMOTO DAYSのアニメ化発表がありました。やっぱり本誌に掲載すると早バレが発生するため、対策をしているんでしょうか。

また、今回から作品ごとにAmazonリンクを貼っています。noteのレイアウト上、今までの形式だとすごく文字が詰まって見えるのでAmazonリンクの埋め込みでちょっと緩和できないか試してみたんですが、逆に見にくそうであれば次回から別の方法を考えます。

※ Amazonアソシエイトを利用しています。


鵺の陰陽師

カラー

ジャンプの表紙がPSP新装版、カラー見開きがPC版の鵺の陰陽師っぽいというポストを見かけてから、そうにしか見えない呪いにかかってしまった。悪い意味でそう思っているわけではないので別にいいんですが、そう思ってみると「それっぽさ」がすごくて逆にどうしてそう見えるんだろう……、と言うのが気になってきますね。男+女性キャラ複数で構成されているから、という単純なものでもないような気がする。

第52話 誕生日と先輩

本誌に倣いましたが、これは話数が間違っているような気がしなくもない(私が間違っている可能性もあるので、その場合は修正します)。

複数ヒロイン制バトルものっぽい流れになってきた本作品、代葉編、四衲編と来て七咲編真っ最中といった感じに。それぞれ過去編をやっている辺りもそれっぽい。鵺さんルートは俗に言う「真ルート」的な感じで全てのエンディングを見たあとに開かれるそうなところまで含めてまさにそれと言った雰囲気。

このタイプの人物構成はライトノベル全盛期(具体的にいつかはわかっていませんが)にはよく見た構造ですが、ヒロインレースが荒れがちな昨今ではややめずらしいような気がします。本誌で言えば、夜桜さんちの大作戦、SAKAMOTO DAYS、キルアオ辺りは既に妻子がいる状態から始まってるし……(正確には夜桜は結婚前、キルアオは離婚後ではある)。四衲が家族枠でちょっとスタート位置が悪そうな感じがあるものの、誰ゴールでもおかしくなさそうなところが特徴的ですね。

今回は七咲の過去編から。「恋ではなかった」を強調していましたが、今回の回想を見てしまうと「恋だった方が自然じゃない!?」という気持ちに。正直、恋じゃなかったという話は読者向けの言葉なんじゃないかと疑っていたんですが、この回想を見ると七咲自身がトラウマから逃げるためにその感情に蓋をしている、と考えた方が辻褄が合うような気がします。

許嫁の死に対し、実際に七咲ができたことは「なかった」というのが事実だとは思いますが(残酷だけど)……、「あのとき引き留めていれば」「あの痣のことを口に出していれば」と後悔ポイントが多すぎる過去になっているのがもう、「悲惨」の一言。この過去を経ておきながら復讐鬼にならずに陰陽師を続けている精神力は凄まじい。普通は辞めると思う。

私は前回の感想で、

個人的なことを言えばこういう複数ヒロイン制の話でわざわざ「過去好きだった人を吹っ切る」みたいな展開はあまり好みではない

「先輩には過去の男を吹っ切ってもらうが、自分は先輩一筋なわけじゃない」みたいになると誠実ではないなと思ってしまう

というようなことを書いたんですが、今回の流れを見ると七咲の問題は七咲の問題として処理してくれそうな雰囲気の方が強かったのでちょっとほっとしました。学郎がその「手助け」になるというのは納得。

対峙した敵が七咲の許嫁の形見っぽい+七咲の修行の成果のお披露目と来てバトルが盛り上がる今回、巻頭カラーに相応しい盛り上がりを見せてくれてよかったです。

主力メンバーの行動理由が全体的に「復讐」に偏ってきた気がするけど、これは世界観故か(因縁とか書きやすいのでそれはそれでわかる)、別の理由があるのかは気になるところ。

ウィッチウォッチ

157 FIRE GIRL FEVER

「現代の魔法」、インターネット(動画配信かも?)をテーマにした回でした。よく考えると魔法を使ってない回なのか……?と思ったんですが、そもそもの発端が使い魔バンちゃんの炎の息だったので使ってると言えば使ってる。

アオリの「好きなおにぎり発表ドラゴン」、よくネットミームをここに……、と思ったものの、今回のテーマときっちり合わせてきているのでちゃんと上手くて悔しい。完敗です。

ネットあるあるを上手くマンガの形に落とし込んだ回という感じで、この辺上手く改編すればある意味教材としても使えるのでは……?という解像度でした。私は「こちら葛飾区亀有公園前派出所」を継ぐ者は「超巡!超条先輩」だと思っていたんですが(単純に警察だから)、それ以前にしっかりウィッチウォッチがその系譜を継いでたんだな……、としんみりしました。絶対そういう回じゃない。

また、バンの「黙っていればビジュがいい」というキャラクター造形に「確かに」となれたところがよかった。こういうキャラクターって読者視点だと元々かわいく見えていて、「なにを今さら……」になってしまうことが多いんですが、バンは結構マジで「確かに」と思えたので作中キャラクターに上手く共感できて読みやすかったというか……(個人差はあると思います)。実際、キャラクターデザインはちゃんとかわいいので、言動・立ち振る舞いの表現でそう見せていたところに「上手さ」を感じました。

ラストでちゃんと持ち直したのも好印象。

ONE PIECE

鬼の子ヤマトの金稲荷代参

vol.5「日和とおトコにお弁当を貰うんだ!」

扉絵連載あるあるですが、その国のエピローグとしてその章に出てきたキャラクターたちが仲良くすごしているのを見るとすごく優しい気持ちになれていいですね。にしても結構進みがゆっくりなのを見ると結構長く続くのか?この扉絵連載……。

第1115話 〝大陸の断片〟

最近のONE PIECE、読むたびに「思ったよりも邪魔されずにベガパンクの話が続く……」と思ってしまう。それと同時に、ここまで情報が開示されるのはこの物語が最終章に入っているからなんだという寂しさも感じます。邪魔する描写が入っている以上どこかでは止まると思うんですが、それがかなり終盤、あるいは最後の一言だけになるというのも十分あり得る展開になってきましたね。

キッドの姿をしているデマロ・ブラック、ジョイボーイに反応するモモの助、と全部に感想を書いていると書ききれないほどの情報が詰まっているのもすごい。これは100巻以上の積み重ねがあってこそだと思うんですが、意外とちゃんと覚えている自分も地味にすごい気がしてきました(一昨年まとめて読んでるからというのもある)。

こうして描かれるとエジソン、ステューシー、カクの動向も気になってきました。もう何もかもが気になる。ここでカクとステューシーにフラグ立つことある!?と思ってしまったんですが、なんでもかんでもそういう捉え方するのもよくないですね。でもあると思います。

今回のベガパンクの話のまとめ。

  • ジョイボーイは「海賊」

  • ジョイボーイの敵は現在の「世界政府」

    • 正確には「世界政府」の前身「連合軍」

    • 20の王国の臨時共同体

  • 〝空白の100年〟はジョイボーイの敗北によって幕を下ろした

  • 〝空白の100年〟の中で起きた〝天変地異〟によって世界は一度海に沈んだ

  • 100年間での海面上昇幅は200メートル

  • 800年前に起きた〝天変地異〟は人為的、「古代兵器」によるもの

  • 「古代兵器」は現存している

すごい量の情報が出てきて、まるでミステリの解決パートのようですが、実際そうなんだろうな……。情報開示だけでここまで盛り上がれるのは、ONE PIECEという作品がここまで積み上げてきた「物語」と「物語への信頼」だと思うので他の作品が簡単に真似できる領域ではないんだろうなというのもひしひしと感じます。

また、この「海中に沈んだかつての大陸」について思ったんですが、この作品で度々語られる「魚人差別」って……、これのせいなのでは!?普通の人間は海中にある過去の遺産を見ることはほぼできませんが(テクノロジー的に)、魚人族はそこをクリアすることができます。彼らは世界政府が隠したがっている海面上昇の事実(多分隠したいのは古代兵器の方だと思いますが)に触れる恐れがもっとも高く、それゆえに発言力を落とす必要があり、差別の対象になった……、と思うと結構辻褄があうんですよね。

まあ、そんな胸クソ展開あるはずが……、いや……、全然ありそう……。

アオのハコ

カラー

期待していた千夏先輩の浴衣姿がカラーで見られて満足です。欲を言えば全身を引きで見たかったところですが、透明感のある塗りのイラストが良すぎてこれはこれで……という気持ち。

#150 最後の花火

手を繋いだところを見せつけるだけで周りを牽制した千夏先輩の強さが最高の回でした。周りの反応も2人に直撃!のような野暮なことをしない辺りがストレスのない青春譚として上手いな~という印象。「早く言ってよー!」先輩はかわいそうでしたが、なんだかんだ悲壮感はなく、今度会ったときに「頑張ってね」とか言ってくれそうなカラッとした人柄でよかった(来週以降でじめじめしてる可能性もなくはありませんが)。

諦めることと忘れることは違う、と感じさせてくれる雛のカット。賛否ありそうな表現ではありますが、失恋=なかったことにする、ではないという描き方が「青春」の在り方として素敵だなと感じました。その経験は経験として思い出になっている、というのは説得力がある。

今回は菖蒲と咲季の対峙が印象に残りました。今書いてて思ったんですが、花の名前の女と「咲く季節」の女、これって最初から考えられていたネーミングなんでしょうか。深い。

匡視点、もう咲季の方には想いはないように見えるいい雰囲気。そこからの咲季の登場で一気に不穏な雰囲気に……、と思ったんですが、そもそも菖蒲の性格を思い出すとこの「元カレは~」のセリフがマウントとは言い切れないのもあるんですよね。ここどうなるんだろう。

お菓子の指輪の下りはなんかもう、「どうぞ……」って感じで「最後の花火」としての貫禄がありました。このサブタイトルだと、やっぱ千夏の卒業辺りを目処に完結しそうな雰囲気はありますが、そこまでもまだまだエピソードはありそうなので楽しみです。

さいくるびより

3話 朝ごはん

1話2話でも書きましたが、進行が随分ゆっくりな印象があります。今回もマジで朝ごはんで1話使っている。早く進めばいいってものではないし、本作に関しては「日常系」とのことなのでおもしろければいいので、良い悪いではなくそういう印象って話です。扉絵はちょっとコメダ珈琲感がある。

今回は新キャラの本音きょーこさんが登場。「本音」って名前で読心術を持っているんだから、ねむるの方も眠りに関するサイクを持ってた方がしっくり来なかったか?と細かいところが気になってしまう。とはいえことねも別に瞬間移動っぽい名前をしているわけではないので今さらかもしれません。

朝ご飯を食べる、という一幕でサイクが溶け込んでいる日常を上手く描いていて、空気感の操り方が見事だな~と感心する反面、大人キャラであるきょーこさんの倫理観がちょっと微妙なのが引っかかりますね。一応、有給休暇の件も「ブラック会社だから」、ギャンブルのイカサマも「相手もイカサマをしていたから」という理由はあるものの、それとこれとは別の話では?

マンガだし気にしなくていい部分があるのもわかっているんですが(これを言い出すと殺し屋のマンガとか全部駄目になるし)、「日常」の描き方がうますぎるがゆえに引っかかってしまうってところにもったいなさを感じてしまうというのが大きいのかも。とはいえこの辺は話が進んで方向性が定まったら気にならなくなったりするので、その辺に期待しています。

呪術廻戦

第261話 人外魔境新宿決戦㉝

先に書いておくと、今回衝撃的だったのは「乙骨が五条の体を利用したこと」なのは重々理解しているんですが、だからって渾身の攻撃を仕掛けた虎杖をほっぽって行くことないじゃん!!!ねえ!!!虎杖だってすごくつらいことがあったけど無理矢理持ち直して戦ってんだよ!!!という気持ちがすごかった。虎杖が主人公じゃないんかい!!!

とはいえ、虎杖が主人公じゃないんかい!!!いうのはみんな思ったと思うので、この辺は乙骨戦が終わったあとになんかいい感じに出番が来るんだとは思っています。とはいえホントにこう、宿儺!!!みたいな気持ちになってしまった。でも宿儺がそういうやつなのもわかる。この辺がホントに上手いですね。

五条が負けた場合、乙骨が羂索の術式を使って五条の体(と言うよりも術式)を使う、という流れ自体に納得感はある。ここで「実際に遺体を使う必要がある」理由として「無下限呪術は六眼に依存している」「六眼は術式ではなく体質なので術式のコピーでは使えない」という解を事前に提示してあるのが芥見先生らしいところですね。

また、模倣できる時間が5分という縛りについてもちゃんと言及済み。これはさいくるびよりで言えば、ねむるのサイクで大きさを変えたものが時限で戻るのか、戻らないかみたいな問題ですね。この辺は作品や能力依存でその都度答えは変わりますが、呪術廻戦としては「現状わからない」というのが答えでした。日車のときもそうでしたが、自分でもやってみないと呪術ルールの詳細がわからないっていうのは結構リアルだし不便ですね。逆に言えばだからこそ修練が必要という説得力もあります。

今回の話の肝である「乙骨が五条の遺体を使用すること」について印象的だったのは、作中のキャラクターが「遺体を利用される五条の尊厳」よりも「遺体を利用する乙骨への心配」の方に論点を置いていたところでした。私はどちらかと言えば遺体の扱いに関しては本人が死んでしまっている以上、どちらかと言えば遺族や残された側の感情の話だと思っているところがあるので、「五条本人が気にしてないならそんなもんかな」とか「呪術廻戦の世界観的に『霊』が明確にあるため、肉体はそこまで重視されないのかも」と思っていたんですが……。

冷静になってこの次の乙骨の言葉と合わせると「五条は怪物だから死後に六眼を使われることも仕方がない」という考えが前提にあるんじゃないか?と気付いてゾッとしました。この辺は解釈の話ですが……、そう大きく外れている考えではないような気がします。

また、五条は五条で自分の遺体を使われることに大きな忌避はない。これは本人の性格や価値観も大きいとは思いますが、そもそも五条には「遺体は遺体」であって欲しい理由がある。夏油の肉体は夏油本人ではない、という認識から自分の肉体に関してもそう考えざるを得なかったという背景がそれだと思います(補足的にだとは思いますが……)。

「俺はあのとき置いていかれたんだから」は最初、「夏油が先に怪物になってしまった」ことを指しているんだと思っていたんですが、このコマに「君ならできるよ、悟」というセリフが書き込まれているということを知ったあとだと「(唯一)自分を怪物にしなかった夏油に置いていかれた」から「無理な話」に読めますね。下のコマの「追いつかなきゃ」を五条のセリフだと思って読んでしまっていたのが最初の印象の理由で、多分この「追いつかなきゃ」はフォント的に乙骨のセリフなんだろうな~と思い直しました。2人分のモノローグを同ページに入れないでくれではある(「追いつかなきゃ」を乙骨のセリフとして読んだ場合)。

また、五条は夏油を「自分を怪物にしなかった唯一の存在」のような言い方をしていましたが、そう言いながらも「硝子が反対しなかったことはちょっとムカつく」と言っていたので、硝子もそうであって欲しかったんだろうなというのが感じられてよかったです。とはいえ、ここで反対しなかったとは言え硝子は硝子で思うところがあったのはわかっているし、この絶妙な距離感のまま五条、夏油が死亡してしまった、というこの状況の作り方が絶妙すぎる。どんな気持ちで五条の体の縫合をしたんだ……。

今回は空港での五条の「花みたいに思ってた」の具体的な行動が示されて結構わかりやすい回だったと思うんですが、それゆえにつらいなと思うシーンが多かったですね。

結局、乙骨は五条の体に移らなければ死ぬ、という状況で術式を発動。このシチュエーションからであれば誰も(作中人物も読者も)強くは反対できない状況に追い込んでから、というところが妥協点なのかなという印象。

無事ラストでは「無量空処」の発動はできたものの……、これがどこまでオリジナルに近いのかというのは次回にならないとわからないというところで〆。引き自体の強さは先週の〆のが強いですが、マジで情報量の多い回だった……。感想も長い……。

【読切】飛んで火に入る夏と蛍

里庄真芳

とにかく完成度の高い読切でした。その上でこの作品に対して「すごいな」と感じたのは、「読切」としても「連載準備」としても完成度が高かったところ。

読切マンガに求められる技術と連載マンガに求められる技術って本来全く別物なので、ジャンプ本誌に載る読切って大抵「読切としては好きだけど連載は難しそう」か「読切というよりも連載マンガの1話」という感想になりがち。でも、本作はそれをめずらしく両立させていたため、とても印象に残っています。この技術が連載に繋げるために必要な技術なのかどうかはわかりませんが、素直に楽しめたので個人的にはとても評価が高いです。

ストーリーがすっと入ってくるところはもちろん、慣用句を使ったタイトルと「蛍輝」「花火」「夏」というそれぞれの名前を上手く組み合わせた「オチ」をしっかり作ってきているところに作品のエンターテイメント性をすごく意識しているんだな、と感じました。読者がおもしろいと感じるように、という部分に力が入っている作品はおもしろい上に読んでいて気持ちいいですね。

また、当たり前のように絵が上手い。個人的にはヒロインの容姿がめちゃくちゃ好みだったので、これが連載化されて欲しいし、もっとヒロインの姿も見せて欲しいと思いました。

僕とロボコ

第186話 大親友とロボコ

言ってしまえば「身内ネタ」で1話回した回なんですが、結構「あるある」ネタとしておもしろかったので最近の話の中では好きな方に入ってきます。身内ネタでツボに入っている側も、それを見ている側も共に解像度が高い。

あるあるネタだけで終わると思わせてからの展開と、〆への転がり方もよかったです。ただ、ボンドはジャンプよりもガチゴリラを心配した方がいい。今回はよりによってサブタイトルに「大親友」って入ってるんだし……!!!

超巡!超条先輩

カラー

なんだこの背景!?作品が作品なので普通にこういう背景なのか、ネタなのか判断に悩む……。と思ったんですが、書いている内に「これ特撮回だから特撮っぽくしたんだな」って気がつきました。ジャンプ感想を書いているのもたまには役立ちますね。

第15話 変身!巡査長

「ヒーロー」、これはヒロアカパロ!?と思ったらもっと広義の戦隊回でした。

超巡が命じられた「お前は嫌われてるから顔を隠していいことをしろ」をいうのはかなりブラックな命令にも関わらず、本人が「チンレンジャー」になることで前向きに解決してしまったのでなんかそのノリで進んでいく勢いがすごい。

そもそも人助け自体は嫌いじゃないんだな、とか意外とチンレンジャーの人気の上にあぐらをかいたりしないところとか、「根は悪い人じゃない」の描き方が上手いですね。更に言えばそれを作中で「善人」起因ではなく「男児の感性」起因にすることでただの「いい人」になってしまわないバランス感覚も上手い。

しかし、「一人でレンジャーものか……」と思っていたところ、まさかの次回に続く展開でちゃんと戦隊が結成されそうな引き。意外と「他県に逃走」辺りが話の広がりに関わってくるんでしょうか。気が早いとは思いますが、社員旅行(あるのか?)で京都回とか見たいですね。

願いのアストロ

第6話 兄

完全に前回で決着がついたと思っていたので、ここからコウが結構抗ってきたのが意外でした。「往生際がわりーぞ」「素直に負けをみとめろよ」を味方側が言うことあるんだ……。

コウの兄、ボタンとクランの関係性はここで話を1本書けそうなエモエピソードなのでこの戦いの後にもうちょっと詳しい話を聞かせて欲しいところ。

先週こんなことを言っていたらちゃんと今回描いてくれたので大満足。故人だと思いたくないくらいボタンがいい兄であり、親友だったと言うのがたった3Pで伝わってくる表現力は流石でした。蓋を開けてみればコウはコウなりにクランのことを想っていたということもあり、主人公がちょっと邪魔した感じになってしまったのはご愛敬って感じ。まあ、ヒバルの介入がなかったら和解もなかったと思うので結果的には良かったと思います。

クランのアストロ、「チシャ猫」のアストロは「変化」のアストロとのこと。戦闘系ではない上に、急に洋風の名前がついている。早速なんでもありになってきたな……、という印象。これから勢力を拡大していくのなら「変化」はかなり使える能力だと思うんですが、ヒバルはあんまりそういう交渉をしなさそうなので宝の持ち腐れにならないかどうかはちょっと不安。

こうやって兄弟を「掟の決闘」で倒して傘下につけていく、というのがこれからの話の流れになっていくんでしょうか。わかりやすい反面、ちょっと物足りなさがあることも否めないので、そこは兄弟たちのアストロを含めた個性で盛り上げていくのかなと期待しています。

しかしこのやり方だとどう見てもヒバルが組長になるのが正しい感じになってきてしまっていますが、それでいいのか?テラスはそれでいいと思ってそうなのでわかってるけど黙っている可能性がだいぶありそうですね。

SAKAMOTO DAYS

DAYS 167 深淵を覗く

まずはアニメ化決定おめでとうございます。2025年が楽しみです。

ここ最近の展開が爆速すぎてジェットコースターとかいうレベルじゃなくなってきた。それでなお、アクションのすごさが一切色褪せないのですごい。

ラストでやられたハルマですが、よく見ると体が真っ二つになっているのでそれこそ断面がきれいすぎてくっつきでもしない限りは退場の可能性が高そうですね。

先週のこれ、今見ると我ながら何を言ってるんだろう感がありますが、今回めちゃくちゃ真っ二つを強調されていたので多分……もう……。というか逆に言えば、同様に致命傷を受けていそうな楽は真っ二つになっていないからセーフかもしれないという気もします。少年マンガにおける大怪我って割と治るのでここまで描写しないと「死」の表現として弱いというジレンマはありますね。奇しくも今週、乙骨が真っ二つになってもしばらく生きていましたが、これは「呪術」というイレギュラー要素ありきの話だし……。

そして「全員死ぬ」からの有月の覚醒。「極度のストレスを受けたときにその苦痛を引き受けるために別の人格が形成されることがある」と言うのは前々から言われていましたが、形成時の様子とその後の力を見る限りただの多重人格とは明らかに違いそう。「入ってくるな」というセリフから推測するに、「極度のストレスを感じたとき、相手(もしくは側にいる人間?)の人格・記憶を自分の中にコピーしてしまう超能力」という感じでしょうか。これなら知っているはずがない赤尾の情報を知っているのも納得。と言ってもまだわからないことが多いのでこの辺はそろそろはっきりわかるといいな~~~。難しそう。

1話からエスパーのシンがいるにも関わらず、意外にもここまで「別のエスパー」という存在はいなかったので、ここで有月が!?というのはアツい展開。シンが過去にアルカマルメンバーと面識があったかもしれないところも含めて、新章の空気を感じます。

有月は幼少時から受けていた虐待のことを考えるとかわいそうではあるんですが、今回に関しては「どうして家族を奪う」と言われても……、そっちが攻め入ってきたから……、感があるんですよね。相手が麻樹ならともかく、篁さん視点だと「危険人物の処分」というのが任務なのでこっちの方が道理に適っている。とはいえ、「いつも」のセリフから、これが今回のことに限らないことはわかるので破綻って程ではありませんでした。というか、「家族」の枠に赤尾リオンが含まれているような描写があるんですが……、それは……。

個人的に赤尾リオンを推しているのでマジでこの〝空白の1年〟の話を早く知りたいところです(ONE PIECEの〝空白の100年〟みたいに言ってしまった)。南雲、それまで一緒に苦しんでくれ。

しかしここまで篁さんの力が圧倒的だと、坂本・南雲はある程度手加減されていたのか?という気がするんですが、篁さんが退場してしまったため永遠に闇の中になってしまった可能性が高いのはちょっと残念。

篁さんはここで退場だと思いますが、最終回とかにしれっと再登場して欲しいです。

極東ネクロマンス

第5話 聴け

今回は人型死霊討伐回。薫の現在の戦力についての解説、耀司がちゃんと死霊術について教えていますよというのを踏まえてから戦闘に入ってくれたのは安定感があってよかったです。

また、シシが言語でコミュニケーションを取れるタイプの相棒だと思っていなかったので普通にびっくりしました。父から指輪ごと受け継いだシシですが、薫に対しても友好的で一安心。ここからどういうスタイルで戦うんだろうと思っていたんですが、冒頭の空手に絡めて死霊を自己強化に使う感じっぽい。耀司との差別化をしつつ、ジャンプ主人公っぽい戦闘スタイルですね。

逃げ出した死霊の「あれ…〝血垂リ〟じゃないのか?」「じゃああのガキが連れてた死霊は…」というところで耀司側の設定にも踏み込んで〆。結構な時間出しっ放しになっているのが気になっていたんですが、こうして敵側から「怪物」と言われているとドキドキします。チタリとシシに因縁があるのか、薫の父親と耀司のコンビが有名だったのかは現時点ではまだわかりませんが、どちらにしても詳しいことが気になります。

それにしても走って逃げる死霊がだいぶおもしろくてよかったです。

あかね噺

第111席 軽すぎる

いやらしくまいけるを追い詰め、全生の印象をがっつり下げてからの「私と同じタイプ」はズルいでしょ。どんな過去があったとしても現時点で「嫌なやつ」であることに変わりはありませんが、だからこそ的確に「嫌なところ」を突いてくるというのが敵キャラとしての格の高さを感じさせます。

実際、「笑い」は空気に左右されるが「音」は左右されない、と堅実な作戦で挑むまいけるは苦戦している様子ですが……、全生が「同じタイプ」だと思っているからこそ、ここから「同じタイプ」としてぶち上げて成功を収めたときの全生を見るのが楽しみでもあります。真に迫ればそれこそが「全生の見たいもの」というところにハマる美しさを見せて欲しい。そのためにはまいけるがぶち上がらないとならないのでぜひ頑張って欲しいと思います。

逃げ上手の若君

第157話 応酬1338

ついに開戦。しかしここであの狂気の石合戦が伏線だったんだと気付くことになるとは思いませんでした。マジでただ狂気を見せるためだけの石合戦だと思っていました。反省。

今回のメインは海岸側の神力対決……、と見せかけて雫は「人として生きる」ために神力に頼らない作戦を実行。実際、このマンガにおいて「歴史つじつま合わせに神力を利用する」をやってしまうと途端におもしろくなくなる恐れがある以上、雫と魅摩の扱いはかなり難しいところだと思います。落とし所として「神力は体を蝕む」というのは想定内かなと言う感じ。

とはいえ、高師直と魅摩の性格上、相手側はバンバン神力を使ってきそうなので、そこをどうやって人の力で抑えるかというのがポイントになりそうですね(絶対吹雪来てるし……)。

夜桜さんちの大作戦

作戦227.裏切り

この作品も掲載順位の乱高下が激しい。といっても最終章に入っているし、ある程度安定した位置を保っていくような気はします。

夜桜側が圧勝してしまっておもしろみに欠けてしまう気もするので、旦側にはまだ何か手はありそう。

先週のこれに対するアンサー回でした。

ここに来て旦に寝返りというのはもず・龍の時点である程度予想はできたものの、「金級スパイが揃って」とまでは思っていなかったのでかなり驚きました。中でもやはり一番気になるのは狂一郎の友人であり、協会会長である灰。灰はわざわざ回想まで挟んでいるので、他のキャラクターよりも深い掘り下げが来そうな気がします。

先週までの圧勝ムードが一気に緊迫感のある構図になり、最終決戦に相応しくめちゃくちゃ盛り上がってきました。どこから描写されるんだろう……、楽しみです。

キルアオ

page 54 蜜岡別荘六角館殺人事件

もう「殺人」って言ってしまっていますが、大丈夫なんでしょうか。アバンにあたるシーンがちゃんとミステリマンガの文法で描かれているのも芸が細かくて面白い。

今回は謎の提示回ということで内容は「事件の証拠」としての描写が多かったですが、そこを単なる情報にならないように2人ずつの組で描写してくれていたので退屈しなくてよかったです。というか、「思ったよりもしっかり調査と謎解きするじゃん……」状態で、自分でもちょっと解けないか考えてみたんですが全然わかりませんでした。まあ……、そういうこともある。

アオリ文に「みんなも一緒に考えよう!!」って書いてあるので解けるんだとは思うんですが、これで「マンガ内の描写では証拠不十分で元々解けない」ってオチだったらちょっと怒るかもしれません。

カグラバチ

第34話 役目

漣家の回想、この回想だけを見てるといい家族だな~、と思わされそうになります。しかしその実態は「蔵」を使った犯罪行為を行っている一族なので「う~ん」と言うところ。そもそもこの行為自体を罪だと認識していないんだと思うんですが、そのズレに気味の悪さがあっていい敵キャラクターだと思います。

また、濤は全員兄弟なのかと思っていたんですが、兄弟はハクリ含めて3人ぽい。

父はハクリに愛情があるような描かれ方をしているのに、実際の状況はそうなっていない、という気持ち悪さも父の「歪み」を強調していていいですね。天理に自爆アイテム的なものを渡しているところもそんな感じ。

流石に戦闘がキツくなってきた柴さんの前に飛び込んでくるチヒロのかっこよさは相変わらず。助けられて「最高や!」と軽口で返す強キャラっぽさも流石。

この章のキーは「父と息子」らしく、自分と父の関係と天理とその父の関係を想い、だからこそ「弔う」という選択肢を選ぶところもカグラバチらしい世界観が出ていてよかったです。でも天理は本当にかわいそうなのでどうにか助かって欲しい気持ちもある。

威葬を兄に放つハクリで〆。壁を超えるか!?というワンシーンでもちろんかっこいいんですが、結局我々は威葬のことをよく知らないままなのでどうなったら勝ちなのかあまりよくわかっていない。来週しっかり見せてくれたら満足です。

受験抗争

柴田将希

受験生×殺し屋ギャグマンガ。本誌もプラスもマジで殺し屋マンガが増えてきたような気がするんですが、それが最近の話なのか元々題材として多いのかあまり把握できていません。

閑話休題。

本作は細かいところに突っ込むと倫理的にヤバいものの、受験生×殺し屋×ギャグをやろうとしたらこんな感じにはなるな……、という基礎をしっかり押さえた読切でした。マンガとして基本的なところをしっかり押さえているのでおもしろいんですが、ベタな感じも残っていた感じ……。ただ、ベタなだけで終わらないようになのか、キャラクターの動かし方に個性があって、そこがよかった。

戦闘中に「習った公式で相手までの距離を割り出せる!」みたいな、意識しないと薄くなってしまいそうな「受験生」の要素をしっかり目立たせていて、堅実なストーリー構成が得意そうだな、という印象。もっと作品読んでみたいな~、と思ったのでジャンププラスの読み切りを検索して読んでみたんですが、こっちもよかったです。

グリーングリーングリーンズ

第24話 「追い風」

王賀の怪我の話を扱っていたため、重い印象だった前回から一転してオリバーとのゴルフ回。練習風景が続くのは大変そうだな~とか言っていたんですが、「9H(ハーフ)」だけ回ることも可能と言うことでちゃんと試合形式でゴルフが見られたのがよかったです。私が気にするようなところは作者もちゃんと気にかけて話を作ってるんだな、と当たり前のことを考えてしまいました。そりゃプロだもんな……。

よいショットを打ちたい八枝崎に対し、オリバーの「最高のコンディションを出したいシチュエーションなら、人の真似をするのではなく自分の最高を再現するべき」というぐうの音も出ない正論パンチ。これはスポーツに限らず、何にでも言えることだなと思ったので結構刺さりました。もちろん「人の真似」自体が悪いわけではなく、そういうステップだからという理由もしっかり提示してくれる。相変わらず競技と人間に対して真摯なマンガでかっこいい。

Dear Anemone

第14話 ウサ耳

貼ってから気がつきましたが、まだ書影が出てませんでしたね。

急に展開が変わってからの、松井先生の真骨頂とも言えそうな書き込み量の邪悪なくリーチャー出現というホラー展開に痺れました。ウサギ側が裏をかくことなく、真っ向から敵だったというのはわかりやすくてよかったです。爆発事故で発生した「強制的な進化」にはデメリットがあった……、というように見えますが、実際「動物」であることを思うと「凶暴性が増す」こと自体が退化とは言い切れないのも難しいところですね(知性と理性を失うのは普通にデメリットだと思うので総合的には退化っぽいですが)。

パーティーにいるウサギたちのどれだけがこの裏側を知っているのかは気になるところ。特に、この場に案内してきてくれたウサギの思惑は気に掛かります。

また、このタイミングでのロベリアとの再会は結構びっくりしたんですが、この展開になるから初期の女子2人とは別行動になったのか~というメタ的な納得がありました。

作者コメント

里庄真芳先生の「うれしくて口内炎消えた」が絶対そんなはずないのにうれしさが表現できていていいな……、と思いました。勢いがいい。

和久井先生は前の連載(東京卍リベンジャースだろうな……)と今回の連載の間で家族旅行に行ったとのことで、週刊連載の最中もやっぱある程度休みは取れるべきなんだろうなとか色々考えてしまった……。でも実際、先に書きためて~とか言うのも難しいんだろうなと思います。

アンデッドアンラックの突発休載は心配でしたが、今は体調も戻っているとのことで安心しました。やっぱりもうちょっとまとめて休みが取れるような体制になってくれるといいですね。

少年ジャンプ2024年27号 予告

掲載時は表記がありませんでしたが、SAKAMOTO DAYSの表紙・巻頭カラーはアニメ化記念のものなんでしょうね。おめでとうございます。

アンデッドアンラックはファンアートコンテストの結果発表があるらしいので、これも楽しみです。来週も読切がある号。最近読切が多いような気がしますが(好きなのである分にはうれしい)、私の気のせいなのか本当に多いのか……。

2024年6月3日 発売
表紙 :SAKAMOTO DAYS
巻頭カラー :SAKAMOTO DAYS
センターカラー :アンデッドアンラック
センターカラー :超巡!超条先輩
センターカラー :【読切】でんでんナイト(武鴨樹)

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