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地方のまちづくりで、ちょうどいい感じのフィットネスクラブとは?

都農町のまちづくりで、町民のみなさんに3年前からかれこれ30回近くワークショップを実施し、さまざまな意見を聞かせてもらってますが、「将来、町にほしいもの」という問いに対して、断トツの1位はフィットネスクラブ

とはいえ、フィットネスクラブの経営目線でみると、1万人の町で採算をとるのは難しく、官民連携でどう実現するかが課題です。

フィットネスクラブと一言では括れないほど、さまざまな業態が出ていますし、最近ではデジタル化・リモートワークの流れで在宅フィットネスも盛んです。

これから1万人規模の町でフィットネスクラブを企画していく上で、ちょうどいいバランスを見つけていきたいものです。

1. 高齢者の健康増進として

スポーツクラブ大手のルネサンスでは、いち早く、自治体向けに健康づくり事業の提供を開始。

高齢者向けに一般会員より安いコースを設定したり、介護予防運動やデイサービスなどに、スポーツクラブ経営で培った健康づくりのノウハウを活用しています。

会員の約30%は60歳以上です。忙しい現役世代の人は会員になってもあまり利用せず退会してしまうケースが目立ちますが、シニアならそういうことはありません。当社はシニア会員の増加に向けた取り組みを、他社に先駆けて行いました。一般会員より月に500円ほど安い「シニア平日会員」を設けたのです。
フィットネス産業の国内市場規模は5000億円程度。5兆円規模の健康食品・健康機器などの市場や、医療の40兆円、介護の10兆円といった市場に比べれば“ニッチ”なマーケットです。そこでそちらのほうへ出ていこうと考えました。介護はともかく、民間企業は直接医療はできませんから、健康づくりとか生活習慣病予防といった、その周辺産業への進出が狙いです。

高齢化率が40%近い都農町では、高齢者にどう健康づくりをしてもらえるかが、まずもっての優先課題です。

ルネサンスとのご縁もあり、「地域活性化起業人制度」を活用して、7月よりルネサンスから1名、都農町に派遣・常勤、一緒に都農町の健康増進都農高校跡地でのフィットネスクラブの企画をしています。

ルネサンスが手がけてきた自治体の実績では、都農町と同じ1万人規模の町、鳥取県伯耆町の事例が一番参考になります。

ルネサンスが開業支援をして公設民営のフィットネス&スタジオ、パル プラス オン を開設、運営は地元の社会福祉協議会が担っています。

2. 若い女性層の潜在需要


小さな町、市場で考える難しさは、高齢者や多世代交流という名のもと、企画が万人受けや安全安心第一となり、面白みや新しさが不足していくことです。

フィットネスクラブの利用者データを年代別に見ると、高齢者の利用が多いのは事実ですが、若い女性層の潜在需要も注目です。

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特に20代・30代女性層での高まりが顕著です。
絶対数は少ないものの、特徴を出して町外からの集客を狙いリピート客を獲得する戦略は、今後の移住者向けの強みにもなりえるのでは?

若い女性をターゲットにしたフィットネスの代表格は「ハンモックフィットネス」「暗闇系フィットネス」「格闘系フィットネス」

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都農町において、女性が行きたくなる施設や店舗が他の町と比べても不足気味、都農高校跡地利用で、ひとつの特徴づけとして、女性が通いやすい施設づくりをこれから進めていければと思っています。

3. 店舗と在宅のハイブリッド型に

もうひとつ、見逃せない視点がデジタル化の流れです。海外や東京では、リモートワークが増えたこともあって、デジタルフィットネスに関連する企業の業績が好調です。

アメリカフィットネスアプリ

日本でも「宅トレ」「リモトレ」という言葉が生まれているぐらい、日常的に浸透してきたオンラインフィットネス。アプリをサブスクで販売するなど、新規参入も増えているようです。

都農町では、65歳以上の世帯にタブレットを配布しています。

これからフィットネスクラブを企画していく際、タブレット配布していることを強みに活用したオンラインプログラムをどうつくるかが重要なポイントになります。

以前、別のメディアで都農町の80代の女性に取材させていただいた際、ご自身のスマホを見せてもらったのですが、毎日の体重から血圧、脈拍、歩数をアプリで管理されていました!

毎日見ていると、今日は散歩の距離をもう少しのばしたほうがいいなとか自分で調節できるので助かるわ。お友達にも教えてあげようと思って。

健康づくりにおいては、運動だけでなく体調や食事のデータを総合的に見る必要があるので、デジタル管理が向いています。

タブレットの活用を進めていく上でも、自らの健康管理のため、という目的が明確になれば、関心を持っていただける人も増えるのではないでしょうか。

高齢者にとって、フィットネスクラブの価値は、日常的な居場所、知り合いと気兼ねなくおしゃべりできる場所だとも思います。

日常はデジタルで管理し、定期的にアナログな場でリアルな交流を楽しむ。そんなハイブリッドな活用を前提にしたフィットネスクラブをつくっていきたいものです。

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