見出し画像

まちづくりにおける、図書館の役割を考える

都農町図書館で打合せをしてきました。都農高校跡地に移転するか、しないかを企画していくうえで、現状の課題や現場の要望をヒアリング。

図書館の数と、利用者数は増加傾向を続けており、まちの中での存在感を高めているように感じます。

世界ではより早く、本を借りる・読むだけでない公共施設としての利用が進んでいます。

都農町のまちづくりを考える上でも、図書館や書店のニーズは大事。本は文化の象徴。移住してきて、一番残念なのは書店がないこと。隣の日向市までいってかろうじて蔦屋書店がある程度。地方あるあるですね。

これから町内外のたくさんの人たちと意見交換して、みんなが腹落ちする図書館を企画してみたいと思い、まずは自分が見てきたものを振り返り。

1. 図書館の概念が変わった!?オランダ&デンマーク

8年ぐらい前にコワーキングスペースやイエナプランの視察で初めて行ったオランダ。ここだけは見といて!と言われて行ったアムステルダムの図書館。

入口にいきなりピアノがあったり、白熊がいたり 笑。

画像6

とにかく、いろいろその気になれる図書館でした。

本を見る気になる
本を読む気になる
勉強する気になる
仕事する気になる
人と話す気になる

遊び心いっぱいだけど、意外に合理的だったり

画像7

画像8

2年前に行ったコペンハーゲンの図書館も、すべてが使う人たちのニーズにあわせた空間になっているのが印象的でした。

画像1

画像2

子どもに読み聞かせると見せかけて、大人の隠れ家にも最適w

画像3

フィンランドでは、550万人の人口に対し、年間に6800万冊が貸し出されているそうです。おそるべし。

図書館のデザイン意図を、サービス担当ディレクターのカリ・ラムサさんは次のように説明しています。

「この建物の設計コンペを実施する前に、市民から大規模な聞き取り調査を行い、その結果ふたつのアイデアをベースに図書館をつくることが決まりました。ひとつは、読書や勉学に集中できる、静かでリラックスできる雰囲気があること。もうひとつは、コンサートなどの文化イベントが開催され、ものづくりや学びの場として人々の創造性に触れるような場であること。従来の図書館の役割をもちながらアクティブなプログラムを実施するために、フロアごとに完全に異なる雰囲気と機能を持たせることにしたのです」

音楽スタジオキッチンスタジオも併設され、ここにくれば文化的なことがすべて実践できるような場。欲しい。。

住宅情報求人情報もあるのは合理的。すべての情報が図書館に。便利!

スクリーンショット 2021-09-19 22.53.56

カフェは必須。チョコレートブランドの会社がプロデュース。

スクリーンショット 2021-09-19 22.54.11

必ず課題にあがる人手不足。ロボットやAIがもっとも活躍できるところ。

スクリーンショット 2021-09-19 22.54.30

2. 国内事例から見る、1万人の町の図書館とは?

オガール紫波にある紫波町図書館は、町の規模としても参考にしたい事例。

運営方針が明確に3つ

「子どもたちと本をつなぐ」
「地域に関する資料を網羅的に収集・保存する」
「紫波町の産業支援をする」

本を読み、勉強するため、静かにしないといけない場所。

これは誰もが抱くであろう、従来の図書館像。

そのイメージを変えることが、紫波町図書館をつくるうえで、ひとつの大きな挑戦だったと。

実際に視察に行ったのは3年ぐらい前。

平日にもかかわらず企画イベントが開催されていたり、農業へのリスペクトも感じる蔵書、とにかく居心地のよい図書館でした、人の魅力もあるのかな。。

「紫波町図書館の最大の特徴は、コミュニケーションを土台に、情報と人、人と人をつなぐことです。子どもたちや障害がある人、どんな人でも許容し合える空間にするために、貼り紙は極力せずすべて司書を介したコミュニケーションで解決しています。図書館は、ハコモノではなく『装置』だと思っています。固定概念やこれまでの図書館のイメージを破るアイデアを考えて、多くの人に『ここは自分の居場所だ』と思ってもらえるような工夫をしています」

都農町も農業が基幹産業なので、農業の情報が充実していることは一番のリスペクだし、産業支援にもつながるのかなと思いました。

宮崎県では、規模は大きいけど、グッドデザイン賞でも話題になった都城市のMallMallは、個人的にも好きでよく行く図書館。

まちとのつながりや展示の工夫、ティーンズコーナーなど、共感する企画。

めっきり買うことの減った雑誌も、こういう展示だと手に取りやすくなる

画像12

木箱風の展示、感じいいですね〜

画像13

都農町でも、ティーンズにどう来てもらうかは重要なテーマ。

画像14

こういう専用ルーム、秘密のアジトっぽい場づくりも研究の余地あり

画像15

カフェもいいけど、地方の小さな町だと、持ち込みありが現実的

画像16

3. 蔵書や空間ではなくソフトで勝負する

2019年に、自分が担当していた神保町ブックセンターがグッドデザイン賞を受賞、その年に書籍系が多かったこともあり、受賞展で講演、その時に、「あかし市民図書館」の田中さんとご一緒し『たこ文庫』の存在を教えてもらい、その後、あかし市民図書館にもおじゃましました。


グッドデザイン賞

自分のことを他人に紹介してもらうのは「他己紹介」。他「人」じゃなく「本」に自分のことを紹介してもらうのが「たこ文庫」

スクリーンショット 2021-09-19 22.01.59

さりげなく、本を身近なコミュニケーション・ツールにして、多世代でも同世代でも集まったときのアイスブレイクになるしくみ。

こういうのやりたい。

4. これから企画するにあたって

実際に、都農町の図書館をどうするか、これから企画提案していきたいと思っているのですが、国内外の事例を見ると、論点としては6つぐらい?

①蔵書 
②空間 
③読書環境 
④学習・研究環境 
⑤交流 
⑥情報・ソフト

いま、僕らが9/13に開業した、まちづくりホステルALAの企画で、まちづくりカレッジというオンラインサロンを開催してます。

画像17

その中で、Slackに登録してくれた人を対象に、隔週で「いろりNight」という、リアルなまちづくりのアイデアだしをする場があり、そこで図書館の企画をしようと思ってます。

これから10年、20年、必要とされる1万人の町の図書館はどんなものなのか?より多くの人とディスカッションしながら深めていきたいと思ってます。

ご興味ある方はお気軽にご参加ください。
10月5日(火)20:00-21:00
【オンライン】まちづくりカレッジプレイベント vol.2







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?