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地方のまちづくり、ダメ事例をポジティブに研究して企画のヒントに

都農高校跡地活用の企画ネタを求めて、先週久しぶりに東京で事例視察をしてきました。

都農町に移住してまる2年、日常の情報には事欠きませんが、仕事柄、不動産や建築の企画をするうえではリアルにモノを見ないとイメージの引き出しが枯渇してしまうのは課題です。

東京はやはり物件の宝庫。収穫だらけで帰路につきました。

何件も見た中で、改めて、6年前にUDS梶原文生さんのノウハウを、慶應SFCの井庭崇さんにパターン・ランゲージでまとめていただいた企画のコツ『PROJECT DESIGN PATTERNS』の No.9『ダメ事例の研究』を思い出しました。

1. ダメ事例の研究

このパターンは、わかりやすく言うと「人のふり見てわがふり直せ」的な内容ですが、ポイントは、「失敗しようとして失敗する人はいない」というところにあります。

以下は『PROJECT DESIGN PATTERNS』の本文より抜粋

魅力的ではない建物や空間、サービスを見つけたとして、

ダメな事例を「見るに値しないもの」と捉えると、そこから学ぶ機会を逃してしまうダメな事例にしようと思って企画をつくる人はいない。うまくつくられていないものに、ダメになってしまった理由が必ずある。それを知らなければ、自分も同じ失敗をしてしまう可能性がある。

そこで

評判の悪い事例や、自分にとって魅力的ではない事例もよく見るようにし、その結果を生み出している原因を分析し、学ぶ。失敗が起こってしまったロジックを自分なりに導き出し、同じ過ちを繰り返さないためにはどのようにすればよいのかを考える

その結果

悪いものに対しても、あら探しをして切り捨てるのではなく、学びのある宝探しのような心持ちで向き合えるようになり、自らの成長の糧にすることができる。

2. ネガティブに見た方が盛り上がる?

企画者・同業者として見に行く(視察)と、往々にして粗探しに走ったり、なにかネガティブなことを見つけて、一緒にいた人たちで盛り上がったりしませんか?

ぼくも人のことは言えず、どうしても悪いところのほうが目につくしネタにもなりやすいのが正直なところ。

なにかホッとしたり、自分の優位性を確認できたり、みたいな防衛心理も働くのかもしれませんね。

とはいえ、時間やお金をかけて視察にいって、ダメだよね〜で盛り上がってもまったく意味がないので、ポジティブに研究することが必要です。

うまくいってない、魅力的でないと見えたとして、その原因について、自分が当事者としてやったと想定して考えるとイメージが広がります。

3. ダメ原因を探る

モノにもよりけりですが、建物や空間の場合でいくと例えばですが

・各担当は一生懸命つくったけど横串とおす人いなかった
・設計者に企画者の意図伝わってなかった
・企画者が現場の運営わからずつくっちゃった
・一つひとつ流行りのものいれただけで考え抜いてなかった
・とりあえず「えいっ」て感じでつくっちゃった
・企画から運営まで通しで見る人がいなかった

などなど、実はこれってぼくが自覚している過去の自分の失敗要因なんですが。。

少なくても原因が見えてくれば、自分が企画する際のヒントになります。

そうなれば、忙しい中、見に行った甲斐があるもの。

4. ダメ事例から思考の軸を整理する

他の要因で、結構、自分として勉強になったのが、もう時効なので実名ですみません、キッザニア東京を企画しているとき見に行った「私のしごと館」

早々に閉館になってるので、客観的にもダメ事例だと思うのですが、理由はさまざまメディアでも書かれてるので詳しいことは割愛します。

ぼくがここで得たヒントは、「なんのためにやるか」と「体験してどう思ってもらいたいか」という思考の軸をはっきりさせたほうがいいということでした。

「私のしごと館」は、職業体験施設としては、キッザニアとケタの違う投資をしているだけに、作り込みや精度は相当ハイレベルでした。

問題は、なぜここまで投資したのか?そこまで必要だったのか?というところ。

つまり、「なんのためにやるか」かが曖昧でした。(あったのかもしれないけど感じ取れなかった)

ぼくなりには、子どもたちが
・「仕事っていろいろあって楽しそうだな」
・「これ面白そうじゃん!」とどうワクワクする
が一番重要な思考の軸であるとおかげさまで整理がつきました。

「私のしごと館」にはそれを感じられなかったので自分的には違和感があったんだなと。

5. 自分の企画もダメ事例として検証

ダメ事例といっても、先にあげた「私のしごと館」のように閉館になったりしてたら別ですが、特に明確な基準や客観性はありません。

自分がダメだと思っても、実は他の人たちの評価は高かったり、デザインはダサくてもむちゃくちゃ儲かってたらそれでいいじゃない、とか、定義を探ってもゴールはありません。

要は、自分なりの尺度と時間軸をもって、事例を見て、その尺度と軸にあってなかったらなぜだろう?自分だったらどうするか?を考える。

あとは、自分の企画も、他人から見ればダメ事例になってることもあると思うので、自分なりに(自虐的に)検証する習慣もつけたいものです。


※企画やパターン・ランゲージに関心ある方はこちらもぜひ〜


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