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【詩】時間旅行

あの日 郵便受けを 開けて 葉書を 一目見ただけで 文面を読まずに すぐに 引き出しの奥深くに しまった 遠い過去からの 招待状は 時に 紙のやいばとなる 昔の仲間が皆 集まるのは 楽しいことの 筈なのに

一枚の葉書によって 封印が解かれて 記憶が 逆流して 動悸が 止まらない あの頃 はしゃぎ過ぎて 平気で 人を 傷つけて 冠を 奪って 壊すような ことばかり していたことが 意志に反して 次々に 思い出されて 意識が 過去に とどまったまま 動悸が止まらない日々が 続くうちに 季節が 変わり 

おそらく その集まりも 無事終わった頃 記憶を 遡る 時間旅行も 終えていいような 気がして 次第に 鼓動が 平常に 近づき始めた 過去と 再会して 苦しんだ末に 過去の自分を 赦せたような 気がした

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