【詩】影絵

幼い日
祖母と手をつないで
蓮田の近くを歩いていると
夕空に　コウモリが飛んでいた
私が「コウモリ！」と叫ぶと
祖母は話し始めた
　　　　
　　　コウモリは狡ずるい生き物だから
　　　鳥たちと獣けものたちが喧嘩して
　　　鳥が勝つと「俺は鳥だ」と言って
　　　獣けものが勝つと「俺は獣だ」と言うんだよ

時が流れて
コウモリになった私は
あの日の 
祖母と私の
後ろ姿を　見ている