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ワニの詩

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noteで今まで発表した詩です。
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#ポエム

【詩】クロデメキン

墨汁のような色の 小さなクロデメキンは 水槽の中で 動き回り 躍動する その姿を 上から…

ワニ_K
1年前
29

【詩】信号待ち

近所の 横断歩道は 赤信号が 長くて 退屈だから 傍らの 植え込みで動く テントウ虫を …

ワニ_K
1年前
36

【詩】アサガオ

アサガオは バンザイするように あどけない姿で 地上に 現れ それから 頼るものに沿うて…

ワニ_K
1年前
40

【詩】いのち

ある日 皿を洗いながら 窓の外を見ると 生まれて間もない ちいさなカマキリが 塀の上で 春の…

ワニ_K
7か月前
30

街なかで 昔の知り合いに よく似た人を 見かけて 二度 振り返って みつめ合った けれど 人違いだと思って また 前を向いて 歩いた 
もう 振り返らない 以前 同じように 互いに振り返り みつめ合っても 声を掛けたら 見事に 人違いだったことがあるから     

ワニ_K
1年前
25

【詩】宝探し

中東の バザールに 迷い込んだ 気分で 輸入雑貨の 店で 象牙色の 首飾りを みつけて …

ワニ_K
1年前
30

【詩】ボート

いつの頃からか 陸上で 古いモーターボートを 見かけるようになった 空き地や 野原の片隅で 傾きながら 自生する木のように 辺りに とけ込んでいる ボートは きっと   暗礁に乗り上げた日々の モニュメント 運命の景色に 埋め込まれていたのだ

【詩】伝言

啓蟄の日 カメムシが 家を訪ねてきたので 業者からのハガキに カメムシを乗せて送り 外へ帰し…

ワニ_K
1年前
29

【詩】ガラス

人通りのない 旧市街を歩くと とうに 閉店した 木造の古い商家がある ガラス戸の 波打ちガラ…

ワニ_K
1年前
28

【詩】時計店

昔 私が住んでいた町にも 大きな時計店があった 塵一つ見えない ショーウィンドーの中では …

ワニ_K
1年前
13

大掃除をしていたら 昔流行った ウォーキービッツが 現れた 脚光を浴びた頃より 艶が出て 電池が切れてから 命が宿ったように 思えて 久しぶりに 部屋に飾ったら 真夜中 夢うつつで あの 小さなモーター音を 聞いた

ワニ_K
1年前
20

【詩】街灯

歩き慣れた坂道に沿って 燃え尽きそうな カンナの赤が 時折 光る 色褪せて 倒れかけ 古傷を …

ワニ_K
1年前
25

【詩】シーサー

初めて沖縄に行った時 体験工房でシーサーを作った 油粘土で作るように 簡単にできると思っ…

ワニ_K
1年前
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【詩】夜の音

子供の頃 皆が寝静まってから 静寂の中で キーンと 幽かな音がした それは コウモリの発する 超音波だと信じていた このところ 真夜中に 耳の中で 小さな音が鳴る 歳を重ねて 聞こえ始めた 楽譜にならない旋律 きっと 眠りに落ちる前に きこえる音があるのだ