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ワニの詩

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noteで今まで発表した詩です。
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#自由詩

【詩】クロデメキン

墨汁のような色の 小さなクロデメキンは 水槽の中で 動き回り 躍動する その姿を 上から…

ワニ_K
1年前
29

【詩】水売り

例えば モロッコの水売りのことを 知りたいと思ったら 指一本で 様々な情報が 目の前に現…

ワニ_K
1年前
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【詩】冬のアサガオ

もう 十二月なのに 踏切の近くに アサガオが咲いている 夏に見た時より小さな アサガオの…

ワニ_K
6か月前
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【詩】ハイビスカス

小さい頃 家にあった マホービンの絵柄で ハイビスカスの花を知って 実物を見ないまま 最…

ワニ_K
7か月前
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【詩】語感

天気予報で聞く 気圧の単位が ミリバールだった頃 ミリバールと聞いただけで  降り続く大…

ワニ_K
8か月前
29

【詩】羽化以前

ある夏の午後 玄関を出ると 脱皮する前の 翅のないセミが 仰向けに倒れ もがいている肢が…

ワニ_K
1年前
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街なかで 昔の知り合いに よく似た人を 見かけて 二度 振り返って みつめ合った けれど 人違いだと思って また 前を向いて 歩いた  もう 振り返らない 以前 同じように 互いに振り返り みつめ合っても 声を掛けたら 見事に 人違いだったことがあるから     

【詩】影絵

幼い日 祖母と手をつないで 蓮田の近くを歩いていると 夕空に コウモリが飛んでいた 私が「コ…

ワニ_K
1年前
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【詩】夕景

久しぶりに 夕刻 高校の通学路を 歩いた シャッターが 目立つ通りは 薄暗く すれ違う人…

ワニ_K
1年前
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【詩】扉

昔 あの町を通り過ぎた時 大通りの左手に 古い木製の門を見た 閉ざされた その大門の奥に 何…

ワニ_K
1年前
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【詩】赤

一番好きな色も 一番嫌いな色も赤だ 色合いが違うだけで 魂がふるえるほど 美しいと感じる…

ワニ_K
1年前
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【詩】ガラス

人通りのない 旧市街を歩くと とうに 閉店した 木造の古い商家がある ガラス戸の 波打ちガラ…

ワニ_K
1年前
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【詩】まれびと

会いたくても もっと 話したくても 離れたくなることもある   そのうちに 十何年 何十年…

ワニ_K
1年前
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【詩】耳鳴りのメロディー

ある日 突然 耳の中で ジーと音が鳴り始めた 加齢による 耳鳴りが 始まったと 思っているうちに それは 原始人の 儀式音楽のような 単調で 土俗的な旋律の 反復となり 男声コーラスも 重なり始めた それから 次々に 曲が 耳の中で 生まれ プリミティブな旋律が 次第に 洗練されていく どの楽器の音にも 似ていない 音色 聴いたことのない メロディー それを 覚えることも 採譜することも できない ハミングで 歌ってみることも できない 地球の音ではないような 時に 荘厳な