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愛人麗奈12 陸の孤島編2

はじめに

  • 当作品は「裏社長大河の悪魔版就職斡旋社1話」で使用したストーリーを再構築し大幅にアレンジして加筆修正したスピンオフ的作品です。

  • 「裏社長大河」シリーズの時と状況設定などが大きく異なる場面もあります。

  • もはや別作品と解釈してお読みくださいますと幸いです。

  • 長編小説として連載していくつもりです。

  • 非常に多く性的な表現や暴力的な表現があります、苦手な方や18歳未満の方はご覧にならないようにしてください。

  • 御理解頂けた方は下から本編にお進みください。

愛人麗奈12

 -------休日1日目午前8時------
 私が部屋に戻ると麗奈が既に服を纏っていない状態になっていた。無論、この4日間はそのつもりで居たのだが、まさかの事態でこちらが度肝を抜かされた。
 「一体どうしたんだ、麗奈」
 「会長はこういうのがお好きかなと思って。」
 「お前の裸は大好物だが驚いたよ。」
 「会長とお風呂入りたくて。」
 麗奈はそう言うと、私に近づき上着のボタンを外しズボンのベルトを緩めていく。私も抗うことも出来ず、私も徐々に服を剥がれていく。
 「お風呂で私が思ったことを話します。」
 麗奈はそういうと私の手を引いて露天風呂へと向かった、露天風呂はまだ十分とまではいかないが入るには差し支えない量の水量となっていた。もっとも温泉と言いながら雪解け水を沸かして屋外の岩で作った浴槽に流し込むだけなんだが。
 「ちょっと北海道は寒すぎますね。」
 麗奈は足早に浴槽内に入る。私は念の為、掛け湯をしてからゆっくりと浸かる。この辺りは現実的な年齢差を感じさせる。
 「で、なんだ麗奈、話というのは。」
 私は身体が馴染んできたところで麗奈に問う。麗奈はフゥッと決心したように話を始める。
 「先日の会長の話を聞いてから、私は怖くて怖くて仕方がなくて壊れそうでした。今も、中出しは嫌だし、妊娠もしたくないです。今、してたら『中に出さないで』って私はまた言います。きっとこの後、致すでしょう。致す時も言うと思います。そして、先日の病院受診させるときの目的を聞いて私は本当に壊れるくらい追い込まれました。手帳で生理周期を書く時の手も震えてました。それは女の本能だと思います。孕まされるって。子どもを望む人なら悦びなんでしょうけど、私は違う。恐怖しかありませんでした。しかも、排卵日間近と言われて。頭が真っ白になって。そんな中で私自身でこの人生を終わらせようと思ったタイミングもありました。会長たちの監視があるので出来なかったけど。でも、ふとそんなこと考えてる時に今度はこんな人生にしたのは私のせいなんだよなって。たまたま私はこの形になったけど、夜のお店に行かされてって言うのが当たり前で。だったら私はまだ恵まれてるのかなとか思って。頭の中がぐるぐるぐるぐるして。会長にはお金払ってもらったのは事実だし、少なくとも居場所と食事とか必要なスーツや私服も貰ったし、御礼とお詫びでエッチして子ども孕むくらい当たり前なんじゃないかって思ったり。と、思ったらやっぱり中出し嫌だ、孕みたくないって思ったり。」
 涙を浮かべながら必死に言葉を紡ぐ麗奈を私はただ真剣に見届ける事しかできなかった。ただ、自らに手を掛ける可能性も否定しなかったからにはこれからは監視だけは強化せねば。
 「まだ連れてきてもらったココでもフワフワしてて。でも、ここに来た理由は分かってるから、また怖くなって。だから会長に聞いてもらって、落ち着こうと思って。」
 ある程度話し終えたのだろう、麗奈の口が動く頻度が減ってきた。このあたりがロボットとは違う、人間の愛憎入り混じる感情の生き物と言われる所以が詰まっている。ましてや感度の高い若い女なら尚更だ。ロボットやAIで自分の理想の外観を作る事は出来れども、このような機微に富んだ人間の方が味わい深い。
 「話は分かった。」
 麗奈も薄々は分かっているようだし、わざわざ私がここで追い討ちをする必要もないだろう。
 「私は以前も言った通り、私の望むようにさせてもらうよ。それしか答えようがない。」
 現実としては『どんな格好もどんなプレイも受け入れる。』『私の意図に反する事を行えば大河くんの下に送り返す』という約束だけが生きている。そこまで伝えるのは興が削がれるような気がしたのだ。
 麗奈は黙って私の方を見続けている。敵意があるわけではない、かといって艶かしく見つめているわけでもない。私のリアクションを待っている、観察している。いわゆる手待ち。相手の動向を見て判断をしたいという事なのであろう。ビジネスや勝負事ではままとして使われる手法であるが、これは使い手も受け手も実力が問われる手法だ。まさに駆け引きそのものだ。
 こういう時は変な策を練るよりも直球に限る。男よりも女の方がこういう時の勘が鋭い、いや、感がいいと表現して方が良いだろう。これは男性と女性の本能の差から生まれる生物としての性質の差だ。この差は埋められない。だからこそ墓穴を掘らない為には直球に限る。
 「会長は私をどう思いますか?」
 「先程から言っている通り、お前は最高の女だ。幸か不幸か、お前がこういう事をしでかさない限り永久に巡り会う事は無かっただろうな。」
 そして、私は続ける。
 「だからこそ、居なくなられたり逃したりは絶対に出来んのだ。今後、お前のような存在が現れる確率は海で硬貨を見つけるようなものだからな。」
 私は麗奈を見ながら締めに入る。
 「物事に絶対はないが、裏切るような行動や私が麗奈に飽きる事がなければな。少なからず私のそばにはいてもらうよ。」
 本音としては60もなって面倒を見る気はさらさらない。が、麗奈の美貌であれば40代でも素晴らしいだろうし、その頃には子どもがおるだろうからな。子どもから突き放すほど私もそこまで冷酷ではない。
 「一体どうしたらいいのか、どう考えたら良いのか私はまだわかってなくて…」
 このちょうど良いくらいの頭の抜け方が私にとっては愛人として最高だ。感が良すぎたり賢すぎてはこちらも考えることが増えすぎるのだ。
 「なぁに、至極簡単な事だ。もっとも私が知っている君は大河くんところに現れて以降の話になるが、結論としては私の愛人になるか、キャバクラかソープかは知らんが夜職に就くしか選択肢がなかったのだろう?」
 「恥ずかしながら…」
 北海道の空を見ながら私は答え始める。
 「つまりはだ、自分の健康を脅かすほどの酒量と酒焼けしていく声を自覚しながら見ず知らずの男の自慢話につきあい、時には枕を交わしてその割には大した事ない収入からがっぽり返済で抜き取られる人生を十数年か、2時間を数万円で買われ、見ず知らずの男が君を慰み者にする。1日に何人も相手をさせられ、性病に怯え薬用ピルが絶対に手放せない環境。週に4-5回は出勤し、20人ほどを相手にするだろうな。もしかしたら、父親が誰か分からない母親になるかもしれん、収入はそれなりだろうが、そういう店は提携しているわけだ、裏社会とな。返済が終わるまでに何年も掛かる可能性もあるだろう。そういう人生か…」
 私は麗奈の方を向き直し続ける。
 「あるいは、誰かが借金を全額返済し、衣食住職が与えられる環境を得る代わりに誰かが望む事に応え続ける人生か。その場合は金の心配は要らんし、相手も誰かわかる状況。強いて挙げるなら意思が通しにくい。これらの状況でどれが理想の道だったかを考えるしかあるまいな。」
 ほとほと茹ってきたので私は先に風呂から上がり、自室に戻ることにした。
 「私は先に戻るから、大自然の中、考えを巡らせておけ。」
 私は麗奈を置いてベッドルームに戻った。どうにも大自然は雄大で素晴らしいのだが、こと文明を全て捨て去ったような環境なので音がなく建物全体がシーンとしていて都会では感じない不安感を刺激してくる。そんな中でじっとしても仕方がないし、建物を暖房しているとは言え、ほとんど人の出入りのない家だ、冷え方が尋常ではない。ルームウェアに着替えて私は麗奈と愉しむために用意した秘密の段ボールを開封することにした。おそらく我々の姿を配信などしたら世界有数の変態と思われるだろう、ここが陸の孤島で誰も見ていない2人だけの世界だからこそ披露できると言って良い。
 会社の人間に見られたら会社存亡の危機に関わる。
 そんなことを考えながら私は段ボールを開封し始めたのだった。

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