大人の感想文

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確かな希望の物語『BANANA FISH』

1.はじめに「物語は人間の願望である」というのは本当だとわたしは思う。もしも人類がみな自分自身の人生に満足していたら、いま地球上に存在する数多の物語は存在しなかったのではないだろうか。わたしたちは物語の中で、「力がほしい」という願いをヒーローになって叶え、「運命の人を見つけたい」という願いをシンデレラストーリーで叶え、「自由に空を飛びたい」という願いを魔法のカーペットに乗って叶えてきた。今回は、鬱作品として名高い『BANANA FISH』を「希望の物語」であると主張してみたい

    • Femme Fataleを聴いて考えたヒプマイのジェンダー観

      ⚠️前書き  これから私が書くことは、決して現在進行形でヒプノシスマイクを楽しんでいる人に対する批判ではない。しかし、もしこの記事を読んで自分が攻撃されたと感じるのであれば、できるだけ早く読むことを中断するのをお勧めする。    ヒプノシスマイク(以下ヒプマイ)の女性キャラクターの曲が出たと聞いて、久方ぶりにヒプマイの曲を聴いた。結論から言うと、とてもかっこいい曲だと思った。あの世界線においてこれまで男性に虐げられてきたであろう女性キャラクターたちが、自らの女性らしさを放

      • アッシュ・リンクスの持つ「女性らしさ」という記号について

         BANANA FISHはニューヨークでの抗争を描いたハードボイルド作品でありながら、少女漫画のカテゴリーに属する。私はその理由としては、ハードな争いを描きながらもアッシュと英二の絆がメインテーマになっていること、そして何よりアッシュ・リンクスというキャラクターの持つ「女性らしさにあるのではないかと考えた。今日は後者について話をしたい。  まず大前提としてアッシュは生物学上と彼自身の性自認上において、紛れもない男性である。しかしながら、彼は作中ではほとんど男性として扱われて

        • あまりにも苦しく美しい物語BANANA FISH

           夏季休暇に入り、アニメをいっぱい観ようと意気込んでBANANA FISHを視聴した。そして私はそこから身動きが取れなくなった。BANANA FISHという作品はそれほど私に重くのしかかってきた。  神に誓って観たことを後悔していない。それでも、もしBANANA FISHを知らない頃に戻るとしたら……と時々考えてしまう。私にとってそれほどに辛く、痛く、苦しい作品だ。これは、アッシュが懸命に生きた物語だ。自由を求めて運命に抗うたった17歳の孤独な少年と、彼をその運命から救おう

        確かな希望の物語『BANANA FISH』

        • Femme Fataleを聴いて考えたヒプマイのジェンダー観

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        • あまりにも苦しく美しい物語BANANA FISH