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アラビア太郎 - 感想・引用


著者プロフィール: 杉森久英
1912(明治45)年、石川県七尾市に生まれる。東京帝国大学国文学科卒業後、熊谷中学校(現・埼玉県立熊谷高等学校)教員、中央公論社、大政翼賛会文化部、日本図書館協会などを経て、戦後に河出書房に入社。『文藝』編集長などを務めながら、自らの作品を『中央公論』に発表、その後に退社し、作家専業となる。『天才と狂人の間』で第47回直木賞を受賞。とくに伝記小説を多く手がけ、『近衛文麿』(第41回毎日出版文化賞受賞)など多数の作品がある。

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今回の記事は、アラビア石油創業者の山下太郎の物語です。満州で莫大な財産を築くも、二時大戦の敗戦で全てを失いました。しかし、戦後復興の核となる石油の欧米資本依存を危惧し、69歳で創業します。世界中から「山師」と揶揄されながらも、日の丸油田を見事打ち立てた彼の偉業には心踊るものがあります。

この記事では、本の要約をするのではなく、輪読会を行うにあたり、私が読んだ感想や本からの学び、一部引用を紹介するものです。輪読会用のメモなので、一般的な記事のようにきちんと整理されているわけではないのでご了承ください。

感想

  • 満州で得た資産を失ってから、海外で石油会社を設立して、成功させるバイタリティがすごい。

    • このエネルギーは一体どこから来てるのかと思わされる。

      • 「少年よ、大志を抱け」

        • 「少年よ、大志を抱け」に実際に感化され、大事を成した人というのを初めて見た気がする。

      • 見栄っ張りなところ。

      • 派手好きな一面がある。

      • 楠木正成の25代目の子孫である(?)というところ。

    • 人は何か信じるもの・すごいと思わされる何かがあると強くなるのかなとも思った。


  • 人のネットワーク

    • 信頼の貯金は大事

    • 親戚に政治家がいたりして、良い家系なのだなと。

    • 人脈の大事さはあまり語られないけど、この本を読むとやはり大事だと。


  • 満州の開拓、日本の躍進がすごい

    • 今からすると考えられない時代なのだと思った。

    • 昔の荒くれ者たちの物語は面白い。

    • 国を考えて、民族が誇りを持って、一つになっている感じがすごくする。


  • 仕事・Personality

    • 決断をする時は臆病で、綿密な調査を必要とし、押されるように決断する。意外な一面に見えるけど、家康を彷彿とさせる。

    • これだけ仕事にかけていたのならば、仕事をしながら亡くなったのは本望だったのではないか。


引用

法律というものは、表通りだ。表通りには、かならず裏道というものがある。表通りには、かならず裏道というものがある。表通りがふさがっていたら、裏道を通ればいい。法律によって禁じられているからといって、へい、さようですかと、ひっこむのは、商人のやり方ではない。

商人には、どうしてもある程度の駆け引きは必要です。しかし、最後には、良心に恥じないこと、誠意をもって事に当ることを念願しております。

事業家としての山下は、人と人とのつながりを大切にする男であった。一つの事業に永年取り組んで、根気よく育て上げてゆくタイプの事業家は、人をたよりにしたり、人の力を利用したりすることを、あまり考えないが、山下のように、創意と機略と、駆け引きと度胸で生き抜いてゆこうとする型の男は、どうしても人のつながりを大事にする。それぞれの分野の重要人物に、知人が多いということは、彼にとって有力な武器であった。

戦争という手段に訴えたのは、軍部のまちがいさ。しかし、産業と貿易という平和的手段をもって、日本人が世界に活躍するのに、誰に遠慮することがあろう。日本人が敗戦のために自信を失って、外国へ出かけていることを罪悪と思うようになったのは、情ないことだ。

山下太郎にとって、脇村義太郎は煙たい存在であった。これからイチかバチかの勝負をしようとする実行家にとっては、冷たい現実を並べられるより、嘘でもいいから、希望に満ちた甘い言葉をかけてもらう方がありがたいのである。失敗するときまっている仕事に金を出す馬鹿はいない。多少あぶないところがあると思っても、なるべく知らぬふりをしていてほしいというのが、山下の腹の中であった。

暑さが激しくなるにつれて、みんなの神経がおかしくなった。今ではもう、勝っても負けてもいいから、一日も早く、決着がついてほしくなった。

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