【問題の解決パターン03】均一を崩して局所的にする
お店で製品を選ぶ時に、次のような悩みはないですか?
「四角形は機能的な感じで良いが、丸形も好みだし…」
こんな顧客の悩みに対する製品開発で役立つのが、発明原理03 局所性です。
発明原理03 局所性
「発明原理03 局所性」のサブ原理は次のようになります。
サブ原理A:非均一にする
サブ原理B:周囲を非均一にする
サブ原理C:ある部分を最適にする
サブ原理D:異なる機能を持たせる
サブ原理A:非均一にする
自宅などでインターネットを行う時には、Wi-Fiルーターは欠かせない存在になってきました。
ルーターなどの電子機器のデザインは、四角形だと機能的な感じがします。でも丸形もかわいいですよね。
このような悩みに応える製品を開発するうえで、サブ原理A(非均一にする)は役立ちます。
「均一なものを非均一にする」という考え方のサブ原理です。
このサブ原理を使う場合は、まず均一なものを探します。
四角形のルーターの中で「均一なもの」を探しましょう。
四角形は直線で構成されます。直線は均一なものといえます。
また上の図を見ると、ルーターは平面で構成されています。平面も均一なものといえます。
均一なものとして次の2つがありました。
ルーターの直線部分
ルーターの平面部分
この2つにサブ原理A(非均一にする)を当てはめてみましょう。
まず直線部分の一部を曲線に変えてみます。
次に平面部分の一部を曲面に変えてみます。
そうすると、次の図のようになります。
このデザインは、「直線+曲線」や「平面+曲面」という異なる特徴を合わせ持つデザインになっています。
サブ原理A(非均一にする)を使うことで、四角くて丸い形にすることができます。
サブ原理Aの適用例は以上です。
次はサブ原理Bを説明します。
サブ原理B:周囲を非均一にする
サブ原理Bは次のようになります。
サブ原理B:周囲を非均一にする
サブ原理Aでは、改善したい対象を非均一にしましたが、サブ原理Bでは、その周囲を非均一にすることを考えます。
例えばプロジェクターの映像を見ながら、手元の資料も見る場合、部屋が暗いと資料は見えにくいですよね。
その場合は次の図のように「スクリーン部は暗く」して「受講者席は明るく」します。そうすることで、映像も資料も両方が見えやすくなります。
プロジェクターの周囲の部屋の明るさを非均一にする、つまり部屋の中に「暗い部分」と「明るい部分」をつくることで、映像と資料の両方が見えやすくなります。
このように周囲の環境を非均一にすることで改善することもできます。
サブ原理Bの適用例は以上です。
次にサブ原理Cを説明します。
サブ原理C:ある部分を最適にする
サブ原理Cは次のようになります。
サブ原理C:ある部分を最適にする
寒い季節は、部屋全体を暖かくすると電気代などが高くなります。
次の図のようにこたつを使えば、部屋全体は寒くても、こたつの中は暖かくできます。
こたつの中だけを「最適な(暖かい)状態」にすることで、効率よく暖を取ることができます。
「部屋全体を暖かくする」代わりに、こたつを使うことで効率よく暖を取る方法ですね。
サブ原理Cの適用例は以上です。
最後にサブ原理Dを説明します。
サブ原理D:異なる機能を持たせる
サブ原理Dは次のようになります。
サブ原理D:異なる機能を持たせる
次の図のように、コントローラーの十字キーでは、4つの部分(上・下・左・右)に、それぞれ異なる機能を持たせています。
こうすることで、1つの部品で複数の機能を提供することができます。その結果、コントローラーをコンパクトにすることができます。
サブ原理Dの適用例は以上です。
次回は、発明原理04 非対称を解説します。
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参考文献
ゲンリック・アルトシューラー 『超発明術TRIZ シリーズ1 入門編「原理と概念に見る全体像」』の「付録1 典型的手法の表」
Darrell Mann 『TRIZ 実践と効用 (1) 体系的技術革新』の「第10章 問題解決ツール-技術的矛盾/発明原理」
Darrell Mann, Simon Dewulf, Boris Zlotin, Alla Zusman 『TRIZ 実践と効用 (2) 新版矛盾マトリックス(Matrix2003)(技術一般用)』の「第6章 発明原理集(拡張版)」
Yuri Salamatov 『超発明術TRIZ シリーズ5 思想編「創造的問題解決の極意』の「付録 B.発明原理」
高木芳徳『トリーズ(TRIZ)の発明原理 あらゆる問題解決に使える[科学的]思考』の「第2部 40の発明原理」
青戸けい『アイデア発想に役立つ「発明原理コレクション」オールカラーのイラストで分かる!』の「第1章 発明原理とは」
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