システムを成立させるための6つの要素
商品企画や製品開発では、木を見て森を見ず、つまり「ものごとの一部だけを見て、本質を見落としてしまう」ことを防ぐことが大切です。
システム思考では、広い視野で全体を把握します。
さらに深く詳細に分析します。
ものごとを大きく見て、さらに小さく見ることで、本質を見つけます。
今回の記事では、システムを詳細に見る方法を解説します。
さらに「システムを成立させるための6つの要素」を解説します。
システムの空間図
システムを詳細に見ていく前に、前回の記事で大きく見た場合を簡単に振り返ります。
前回の記事では、システムの空間図での「他のシステム⇔システム」間の関係を考えました。
具体的な例として、扇風機をシステムにして考えました。
そして(扇風機が置かれている)部屋を上位システムにして、次のような空間図をつくりました。
システムのコンセプトモデル
前回の記事では「上位システム内の他のシステム⇔システム」間の関係から、扇風機システムのコンセプトモデルも考えました。
扇風機システムがつくり出す効用(風をつくる)が、「涼しくなりたい」というニーズを満足させると、システム(扇風機)は必要とされます。
このような「システム→機能→効用→ニーズ→満足→必要→システム」という循環によりシステムは成立します。
ここまで、前回の記事での「他のシステム⇔システム」間の関係を振り返りました。
システムを成立させるためには、周囲(他のシステム)との関係を考えることが大切です。
システムを成立させるためには、さらに下位システム(構成要素)との関係を考える必要があります。
システムの機能を働かせるためには、システムの構成要素が必要です。
どのような要素が必要でしょうか?
6つの要素
システムの機能を働かせるためには、6つの要素が必要です。(参考文献1と参考文献2)
「システム内の要素」を構成要素と呼びます。上の図での構成要素は、次の4つになります。
②出力要素
③伝達要素
④作用要素
⑤制御要素
「①エネルギー源・⑥対象物」は、システム外の要素になります。
エネルギー源は「システムが働くためのエネルギーを供給するもの」です。
エネルギー源はシステムの外部にある場合もあるので、システムに含めていません。
対象物とは「システムの機能を働かせる対象となるもの」です。システム全体の対象ですから、システムには含めません。
構成要素の機能
システムが機能を働かせるためには、それぞれの構成要素が機能を働かせる必要があります。
上の図8では、矢印で結ばれている要素の間に、それぞれの機能が働いていることが示されています。
矢印の向きにも意味があります。それぞれの矢印の向きに機能が働いています。
例えば、②出力要素から③伝達要素に向かって矢印が出ています。
これは「②出力要素から③伝達要素に向かって機能が働いている」ことを表しています。
図8に示す形になるようにそれぞれの構成要素を関係づけることで「それぞれの構成要素の機能が働いて、システム(全体)の機能が働く」ようにすることができます。
でもシステムの機能は「単に働けばよい」というわけではありません。
正しく働くことが必要です。
そのためには、システムを制御可能にする必要があります。
システムを制御可能にする
システムを「制御可能にする」ためには、構成要素の少なくとも1つが制御される必要があります。(参考文献3)
「②出力要素・③伝達要素・④作用要素」のうちの1つ以上が、⑤制御要素により制御される必要があります。
上の図の「A・B・C」のうちの1つ以上の「制御する」機能が働くことで、システムは制御可能になります。
一般的なシステムの初期段階では「制御される構成要素は1つだけ」の場合が多いといえます。
その後、システムの発展にともない制御される構成要素が増えていきます。
次回は具体的な例を使って「システムの機能を働かせるための6つの要素」について、さらに詳しく解説します。
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関連書籍
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参考文献
Yuri Salamatov 『超発明術TRIZ シリーズ5 思想編「創造的問題解決の極意』の「4.3.システムが始まるのはどこか?」
Darrell Mann『TRIZ 実践と効用 (1) 体系的技術革新』の「17.2.2システムの完全性の法則」
Yuri Salamatov 『超発明術TRIZ シリーズ5 思想編「創造的問題解決の極意』の「4.3.システムが始まるのはどこか?」の「システムの完全性の法則の系」
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