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映画「LOVE LIFE」観ました

思い立って観てきました「LOVE LIFE」。しみじみ人生を感じさせてくれる…と予想していたのですが、思った以上に痛かった。いろいろわかりすぎて。
深田晃司監督がインタビューで、この作品は孤独が主題になっていると答えていますが、ほんと、すべての人が知っていてでも見ないふりしている「孤独」を、これでもかと突き付けてくる映画です。
人は孤独、だけどみんな全員が孤独なのが救われる…ある人の言葉を思い出す。
冒頭から仲良し家族ごっこ職場ごっこの場面…あるある、です。こういう茶番、どこか嘘っぽくてもやらなきゃ、それが周りに気配りできるちゃんとした大人というもの…そう思いつつ、参加者それぞれの気持ちを俯瞰で考えてしまい、なんか、心がもぞもぞしてしてくる。
面倒くさくても、社会では、こういうことが大事なんです。人と人との和やかな関係性、思いやり、信頼…。それがここには確かにある、と確認しあう言動と行為が大切。それは相手のことを思ってというより、自分が生きるため。温かな愛情、心通わせる人情に囲まれて暮らしていると思わなければ、生きていけないから。それほど、私たちひとり一人は、圧倒的に孤独な存在だから。
作品には、極悪人も、完璧な善人も登場しません。良心的常識的で温和で明るい人に見えても、人はみんな孤独に怯えてる。そして徹底的に利己的。自分のことを一番に考える。誰の心にも、自分だけがわかる領域を持っている。
どう自分の孤独をなだめて生きていくかは、全ての人にとって生涯の課題。たとえ、愛し愛される人がいたとしても、そこからは逃れられない。
理屈で説明できない情動が人にはあります。平穏に見える関係性にも人の中にも。思いがけない激しさが顔を出すことがある。ときに、禍々しく。人間は複雑です。
作品中、唯一この人やばいと思ったのは、妙子の元夫パクです。聾者で生活に困窮しているけれど弱者ではない。妙子は彼をわかっていると思い込んでいた。人たらしな魅力がパクにはあり…現実にもいそう。そしてなんじゃこりゃ!の展開。笑えます。
人は、ばれなきゃけっこうひどいことをやるし、心の中での悪態や裏切りなんてたくさんやっているものだと思う。自分の思い通りの理想的な人間なんて、絶対いない。
それでも、人は誰かとつながりたい。傷ついても誰かといたい。
お互いの眼をしっかり見られる相手がいることで、初めて、人は、孤独から少し救われるんだろうな…そう思わされるラストでした。主題歌、いいです。

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