福岡に慣れるとは、とんこつラーメンに慣れることだ

福岡のローカルニュースで、こんなものを読んだ。

外出自粛を前に、福岡のスーパーから「うまかっちゃん」が売り切れ、姿を消したという話題。

うまかっちゃん。福岡のソウルフードのひとつ。
自分は生まれが山口県なのだけれど、うまかっちゃんは子どもの頃から知っている。CMがよく流れていたことが要因だ。

販売エリアは「近畿、中四国、九州、沖縄県」に限定されています。

記事にはこう記載されている。うまかっちゃんを知らない人がいるのは、テレビ番組か何かでやっていたような、いなかったような・・・・・・。
改めて全国流通している商品ではないのだと知った。

福岡はラーメンというと、「とんこつ」ラーメンである。名物として全国区、福岡・九州に住んでいない人でも、言わずと知れている。わざわざ「とんこつラーメン」と書くところはおそらく無いはず。「ラーメン」はイコール「とんこつ」なのだ。

今でこそ味噌ラーメンや塩ラーメンなど、他のラーメンを主にするお店は見られる。博多・キャナルシティには「ラーメンスタジアム」があり、そこでも福岡・九州以外のラーメンが食べられる。(けど今ラインナップを見るととんこつラーメンの店が多いな・・・・・・)

だけど、自分が福岡に来た10数年前は、ほぼ「とんこつ」ラーメンのお店しかなかった気がする。
このとんこつラーメンに慣れるまでが、とにかく時間がかかったのだ。

それまでとんこつラーメンを食べたことがないわけではない。何なら、山口に住んでいた時に一番家から近く、よく食べに行ったのは「とんこつ」ラーメンだった。(そのお店は「九州ラーメン」と名が付いていた)
そこのラーメンは好きだったけれど、子どもの頃に住んでいた地域では、「ラーメン」というと醤油がスタンダードのお店もあった。

それから岡山に引っ越すと、今度はとんこつラーメンがスタンダードでは無くなった。そんなに多くのラーメン屋に行ったわけではないけれど、ラーメンというと「醤油」ラーメンがメインだった気がする。

そしてやってきた九州・福岡。車で街を走れば、窓を閉めているのにそれでも香る「ドとんこつ」。食べれば美味しい、だけども匂いは強烈。正直な話、匂いが気にならなくなるのに、短くても半年、もしかしたら1年近くかかったかもという記憶がある。

いつからか、はたと匂いは気にならなくなった。歩いて店の外、屋台の側を通っても、全く「うぉっ」と思わない。おそらく匂いに馴染んだのだと、そこに福岡への「慣れ」を感じていた。

九州・福岡に生まれ、ずっと育ってきた人は、店の外に香るとんこつラーメンの匂いに、強烈さを感じないものなのだろうか。
いま初めて福岡に来た人は、10数年前の自分のように、とんこつの匂いに抵抗を感じるのだろうか。

どちらでもない自分は、どちらの感じももうよく分からない。でも今や普通に、屋台やお店でとんこつラーメンを食べている自分は、生粋ではないけど福岡人に近づいているのかなと思ったりする。

記事を見た後で、自分の家にある即席麺のストックを確かめてみた。

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・・・・・・
福岡人への道は、まだまだ険しいようだ。

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