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福岡の元気の源

今年の『博多どんたく港まつり』、演舞台での催しも中止となった。どんたくと言えば一番に思い浮かぶパレードの中止は、先日発表されていた。それに加えての演舞台の催しも中止。事実上、ほぼ全面的な中止である。

加えて今年の『博多祇園山笠』も、早朝からテレビ中継されることで有名な舁き山は中止。福岡市の各所に展示される飾り山のみとなることが発表された。

福岡県民であれば言わずもがな、九州に住む人たちは知っているであろう、福岡の二大行事だ。今でこそオクトーバーフェストやクリスマスマーケットなど、毎年行われる恒例行事は増えている。けれど、老若男女が心待ちにする地元の催しといえば、やはりこの2つが最初に浮かぶだろう。

やっと安定して暖かくなり、日も長くなってきた5月、博多から天神まで続く大通りを、様々な衣装で行列を組んで練り歩く。駅前や主要スポットのスペースには特設ステージが設けられ、小さな子から大人までダンスなどを披露し、沿道ではところ狭しと大勢の観客が見守る。GWの風物詩がどんたく。

梅雨時期から初夏の数週間の間、博多の街には白いハッピに締め込み姿の男性があふれる。街の各所には、それは高く華美に彩られた飾り山が展示され、期間中を通して眺めに来る人、写真を撮る人でいっぱいになる。最終日には男性人が集って山を舁き、いつもなら街が目覚めていない時間帯も、その日だけは早朝から熱気が博多に一気に集中する。福岡を代表する夏の行事が山笠。

昨年も中止・延期となって、2つの行事のために1年を過ごしてきた人たちは残念な思いをした。その時は、「来年はきっと開催できるように」と目線を先に向けて我慢したと思う。ところが今年も中止・延期。予想された結果ではあるけれど、今年もなのだと思うと、やはり昨今の状況の厳しさを一層強く感じるばかりだ。自分は熱を入れて参加したり観覧したりするほうではないと思うが、それでもこのニュースに思うところはある。参加者・当事者の思いは、自分の比じゃないだろう。

青々とした空の下で大通りを練り歩く行列の姿や、初夏の夜明け前に男性たちが猛々しく声を上げて山を舁く姿。いつ見られるのだろうか。もちろん安全な生活をするための一番の選択。でも福岡の元気の源でもある行事。今年のどんたくや山笠もまだ迎えていないけれど、来年こそはしっかりと開催できることを願っている。

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