ロジカル思考を育てる基本構造とフレームワーク
iCAREマーケティングマネージャーのけいとです。
この記事では、ビジネスシーンで議論をする際に活用できる思考法について、初心者向けにまとめています。
今回この記事を書こうと思ったのは、以下の二つの理由です。
いまの会社に入り3年が経つ中で、多くの方々と議論を交わしてきました。
スタートアップ企業においては意思決定から実行までのスピードが不可欠ですが、
「意見を述べる」→「相手からの意見を受ける」→「より良い意見を醸成する」のサイクルをいかに早く回すか、が鍵となります。
ロジカル思考を育てることは、この一連のコミュニケーションを円滑に進めるために大いに役立つはずです。
私が最初に「ロジカル思考」に触れたのは、大学のパーラメンタリー形式の英語ディベート部においてでした。
パーラメンタリー(議会)形式ディベートは、以下のようなルールで行われます。
一人当たりの持ち時間は最大7分で、相手からの反論にも対応しつつ、主張をすることが求められます。
Judge(審判)に分かりやすく、説得力を持って伝えることが重要なため、意見を整理して伝えることが必須となります。
当時はいかにして目の前の議論に勝つか、がロジカル思考を学ぶ理由でした。
しかし社会人として働くいま、この思考法を身につけることはより良いアイデアを創り出すことに役立っていると感じます。
分量が多くなるため、この記事の要点をまとめると以下のようになります。
それでは、具体的な内容に参りましょう!
①シンプルに伝える
もしあなたが今からプレゼンをするとしたら、
最初の1分で全体概要を伝えることが必要です。
「この話の要点はここだな」と理解させることで、
後から話す内容について、共通認識を持って聞いてもらえるからです。
そのために意識すべきことは、以下の二つです。
・結論第一の原則(Conclusion comes 1st)
・サインポストの提示
結論第一の原則
結論で話すことは、「私は〇〇だと思う」という主張部分です。
主張が最初に伝わることで、後から話す説明が
どうつながるのかが想像しやすくなります。
例えば、
と結論から話すと内容はシンプルです。
しかし一方で
と最後に結論が来てしまうと、この人の好きな食べ物は結局何なのだろう...?とモヤモヤを抱えたまま話が進んでしまい、内容が頭に入ってこなくなってしまいます。
これは極端な例でしたが、結論から話すことで、主張を簡潔に伝えることができることがわかったでしょうか。
サインポスト
サインポストとは「道しるべ」のことで、ここでは要点のことを指します。これはおもに主張を支える理由に使われ、以下のような役割を果たします。
サインポストで重要な点は、以下の2つです。
例えば、
というように主張の内容を分割して整理します。
この場合はスープの味 > コスパ > バラエティと
自分の優先度の順番に話すことで、
より重要な内容を先に印象づけることができますね。
さて、ここまでシンプルに情報を伝える方法を説明してきました。
まとめると、
を意識することがシンプルな情報伝達のコツとなります。
②脳内にフレームワークの箱を作る
さて、ここからは主張のフレームワークを解説します。
今回は
の2つを紹介します。
AREA
AREAとは、
の頭文字です。
AREAを使うことで、
相手に伝えたいことをより論理的に、明快に届けることができます。
それは、
という役割を果たすからです。
「ラーメンのスープは全部飲まないほうがよい」を例にしてみましょう。
というような流れになります。
「なぜ」「例えば」を伝えることで、より具体的になり、説得力があがりましたね。
このように、AREAは論理的、かつ明快な説明を可能にします。
SQ / AP
SQ / APとは、
の頭文字です。
SQ / APを使うことで、
提案の前後比較におけるインパクトを強調することが可能です。
先程の「ラーメンのスープは全部飲まないほうがよい」を
再び例にしてみましょう。
もしAPだけを説明すると、
となります。しかしここで考えてほしいのが、前後の落差です。
現状維持(SQ)した場合の描写があれば、
より施策実施後(AP)の世界観がよく見えるのがわかるでしょうか。
SQを入れた場合、
となります。
いかがでしょうか。
SQの問題点を追加することで、APの内容がより良く見えるのではないかと思います。
このようにSQ / APの概念を活用することで、
提案の前後比較におけるインパクトを強調することができます。
ここまでは主張の構造化について説明しました。
まとめると、
を意識することで、より良い説明ができるようになります。
③議論が噛み合っているかを意識する
さて、ここからは「議論」について考えて行きたいと思います。
主張は一方通行であるのに対し、
議論とは相手とのコミュニケーションの中で、
より良い内容を築いていくプロセスです。
ディベートでは賛成派と反対派が戦い、
どちらの主張が優れているかが判定されて終結します。
しかし実際の議論においては、
どちらかの主張が100%正しいとされることは稀です。
ヘーゲルの「弁証法」は一般的な説明として、
という三段階のプロセスが踏まれ、
新しい解決策が生み出される、とされています。
一見矛盾するような2つの主張がぶつかり議論が生まれることが、
よりよい施策を生み出す手法なのです。
しかし主張が正しく噛み合わなければ、
良い議論は生まれません。
前提の噛み合わせ
議論において一番大切なことは、それは前提です。
これらがお互いの主張の中で共有されていないと、
水掛け論に陥りやすくなります。
「ラーメンのスープは全部飲まないほうがよい」の主張においても、
誰が誰に主張しているのかによって、内容が大きく変わります。
例えば「ラーメンのスープは全部飲んではいけない」という
ルール制定がされたとします。
小学校が生徒に対して
義務教育において食の教育を行うという観点ですね。
子供は判断材料が大人に比べて少ないため、
健康を保護するという観点では制定する意義は大きいように思います。
また背景として、肥満児が増えているという状況であれば、
更に取り組む必要はあるといえます。
会社が社員に対して
小学校のケースと違うのは、対象が大人であることと、義務教育などの強制力が先程より弱いということです。
この場合はよほどのことがなければルール制定がされるのは難しいでしょう。
就業規則に加えるなどがあれば、社員からの反対も大きくなるといえます。
仮に上記のような背景だとしても、
制度化をするには、まだ弱いかもしれないですね。
これが「喫煙禁止」などの制度の場合は、
制度化されることがあるかもしれません。
この場合は
など、より緊急度の高い背景が設定されるケースがあるからです。
同じ議論のようにみえて、主語や背景が違うだけで、
全く違う議論になることがわかったでしょうか。
つまり、前提を揃えることが
より良い議論を生むためのポイントなのです。
反論の噛み合わせ
議論において反論(対立主張)はつきものです。
反論と聞くとネガティブな印象を持つかもしれません。
しかしヘーゲルの弁証法を思い出すとわかるように、
一見矛盾するような主張があってこそ、より良い施策を生むのです。
反論において重要なことは、
何に対する反論なのかを明確にすることです。
主に以下の3つの反論が考えられます。
ラーメンのスープ議論をここでも使ってみましょう。
小学校で「スープ飲み干し禁止ルール」制定をすることを例にしてみます。
具体的な反論をみていきましょう。
その論理プロセスは成立しない
この場合の反論ポイントは
という因果関係に対してです。
反論側は食よりも運動習慣が肥満に影響している、
という主張をしています。
その結論は主張を取らなくても達成できる
この場合の反論は、スープ飲み干し禁止ルールがなくても
健康改善は達成できる、という点にあります。
その結論は重要ではない
この場合の反論は、健康改善における重要性が焦点となっています。
ゴールに対する施策の結果が正しいものなのか、改めて問い直しています。
3つの反論例を見てきました。
このように的確な反論をし、それを議論に落とし込むことで、
より良い施策づくりが可能となります。
ここまでは議論の噛み合わせについて説明しました。
まとめると、
ということです。
終わりに
ロジカル思考はなぜ必要なのか。
それは、良いアイデアの魅力をそのまま相手に届けられるからです。
どれだけ良いアイデアであっても、相手に伝わらなければ、
魅力は半減してしまいます。
また、ディベートについて少し。
ディベートで磨けるのは論理力ですが、
ビジネススキルとしては不十分です。
「理論と実践」でいうと、ディベートは理論の部分にあたり、
ビジネスでの議論においては、相手がいて、目指すべき目的があり、長期的な連続性のある対話が必要となります。
マーケティングも同様です。
大学で学ぶことのできるマーケティングも理論であり、
実践には、現場で考え、学び、体験し、生み出すプロセスが必要です。
最後に、いま論理的なマーケティングを実践したいと
考えている方がいましたら、ぜひ一緒に働きましょう!
iCAREではマーケティングチームの仲間を募集しています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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