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トレーニングが免疫機能に与える影響(オープンウィンドウ)

久しぶりの運動や過度な強度のトレーニングをすることによって当日以降に体調不良や風邪を引くといった経験をした人は少なからずいらっしゃると思います。
これは運動やトレーニングが免疫系機能に影響を与えるためです。

レジスタンストレーニングを行うと筋損傷にともなう急性の炎症、いわゆる即発性筋痛や、またその後何日か続く遅発性筋痛といった炎症反応が引き起こされますが、これらの炎症反応や骨格筋収縮によって、サイトカインの一種であるIL-6(インターロイキン6)等が増加したり、運動後にはlgA(免疫グロブリンの一つ)が減少するといった現象が起きます。
全身の粘膜に存在するlgAは病原体やウイルスの侵入を防ぐ役割を担っており、運動によるlgAの減少によって免疫系の抑制が起こり、病原体の感染に無防備な状態になってしまいます。

以上のような、高強度の運動によって免疫機能が抑制され、病原体の感染に無防備な状態のことをオープンウィンドウと呼びます。
したがって、高強度の運動の後には感染予防の対策が必要不可欠であり、手洗いやうがい、アルコール消毒、栄養補給やしっかりとした休養を取る等の身体や心のケアが大切となります。

また、高強度な一過性の運動だけでなく、長期的に高強度なトレーニングを継続することで好中球(白血球)の遊走能力や貪食能(ウイルスの取り込みと分解消化)の機能低下がみられ、免疫機能の持つ様々な細胞の機能の低下をもたらします。その結果として、体調不良を起こしやすくなるといった慢性的な免疫機能の低下をもたらすこととなります。

しかし、上記のような免疫機能の低下は''高強度''なトレーニングによって引き起こされるもので、中強度のトレーニングではその効果は逆になります。

中強度のトレーニングでは、NK細胞(ナチュラルキラー細胞:いちはやくウイルス等を破壊する細胞)数の増加、好中球の機能向上、一酸化窒素産生の促進により血管が拡張され、免疫物質の流量が増加することによって、感染防御機能を高めることが出来ます。

以上のことから、高強度なトレーニングでは免疫機能の低下がみられますが中強度なトレーニングでは逆に免疫機能が高まることが分かります。
個人には筋量や筋力の他にも、精神的ストレスを感じる閾値や、免疫機能にも違いがあるため、その辺りも考慮してトレーニングに取り組んでみると面白いかもしれません。



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