育てにくいと感じたらHSCかも。ひといちばい敏感な子供は甘やかして大丈夫。
甘やかすから我がままになると言われ、厳しく躾することを求められることもありますが、それは必ずしも全員に当てはまる事ではありません。
5人に1人という割合でとても敏感な子供が存在し、その子供たちは敏感さ故にとても傷つきやすく、ストレスも大きいため、パニックになることがよくあります。
そんな敏感な子供にとって、甘えは必要な事。
甘やかしは我がままを育てるのではなく、安心を育みます。
5人に1人の子供を育てるには、一般的なやり方や、ママ友のアドバイスは当てはまりません。
敏感な子供にとっては刺激が強すぎるのです。
例えば、
子供が時間になってもまだ遊びたいという時。
「うちだったらそんな我がまま言わせないよ。
オモチャを片付けてしまえばついてくるよ。」
と言われ、アドバイスに従ってみます。
すると、泣き叫びこの世の終わりみたいに大変なことになってしまいます。
「無理に止めさせるとこうなっちゃうんだよ。」
どっと疲れるお母さん。
「気持ち分るよ。もっと遊びたかったね。」
「よしよし。」
「家まで抱っこして帰ろうね。」
結局いつものやり方で帰ります。
このように、手のかかる子供を育てていると、
「過保護」とか
「子供の言いなりになりすぎ」
などと、周りから言われてしまうことがあります。
子供を保育園に連れて行くと激しく泣いて、母親から離れない子供に対してもそうです。
どんなに泣いてもさっと離れるべき。
親が間違った育て方をしているから、こういう子供になるんだと言われてしまいます。
この心無い一言に、困っている親は余計に追い詰められます。
「過保護すぎる。」
それは、間違っています。
決して、過保護ではありません。
過保護だから保育園になじめないのではなく、もともと敏感な特性があって新しい環境になじめず不安が強いから、母親が子供の相手をせざるを得ないだけ。
親の育て方は、子供の行動の「原因」ではなく、「結果」です。
それまで色々な方法をやってきて、この方法が一番この子に合っていると分かったからこそやっている結果なのです。
一般的なアドバイスは、5人に1人の子供には当てはまりません。
ひといちばい敏感な子供には、ひといちばい安心感が必要です。
子供のペースを尊重することで、一歩踏み出す勇気に繋がります。
どうか、親子で培ってきた今までのやり方を信じて続けて下さい。
アドバイスを聞き、子供を追い詰めるようなことはしないであげて下さい。
5人に1人と言われるひといちばい敏感な子供を
「HSC」 (Highly Sensitive Child) と呼んでいます。
HSCには、このような特徴があります。
◆よく気がつき深く考えて行動する。
◆雰囲気、表情、匂い、音などに敏感。
◆免疫システムも敏感で、アトピーや喘息などアレルギー症状が出やすい傾向にある。
◆悲しみや喜びを他の子よりも強く感じる。
◆感受性が強く、豊かな想像力がある。
HSCというと、慎重で、内向的で、引きこもりがちの子供と思われがちですが、ほとんど真逆のタイプの子もいます。
刺激を求めるタイプの子供は行動的ですが、すぐに押しつぶされてしまい、求めている平和が簡単に崩れます。
また、感情反応の強い子供は、かんしゃくが激しく文句が多いです。
些細なことで大げさに騒ぎます。
傷つくと上手く表現できないため、かんしゃくを起こし、親に八つ当たりします。
親がイライラしてくると、自分を否定されたと思うので、余計に問題行動がひどくなります。
我がままとしか思えないこともあり、育てにくいと感じることが多いです。
こういう時は「大丈夫だよ。」と声をかけ、
抱きしめて安心させてあげることが出来たら一番です。
ですが、親も疲れてしまい、温かい気持ちでハグすることは簡単ではありません。
問題行動が起きた時、「傷ついているのかもしれない」と考えてみることが大事です。
努力が必要ですが、子どもの気持ちに共感し、抱きしめてあげることが出来れば、すぐに落ち着きを取り戻します。
お互いにとってそれが一番の方法です。
HSCは不安な状況になると、自制心を失い、言う事を聞かなくなるので、
それを避けるために、子供の要求を受け入れることは決して「甘やかし」ではなく、必要な事なのです。
私の子供もHSCでした。
当時はそんな言葉があるとは知らず、子育ては大変だと思いながら育ててきました。
イヤイヤ期はオムツを一日中取り替えさせてくれないなど、全てに反抗し大変でしたが、小学3年生頃から始まった2回目の反抗期は更に激しく、意味もなくイライラすることが増え、特に習い事(ピアノと習字)で上手く行かない時のかんしゃくが強く憔悴しました。
かんしゃくを起こした時は抱きしめてあげることが一番だと先に書きましたが、私は見ていることすら出来ず、子供の前から離れいつも逃げてばかりでした。
初めて実践できたのはほんの数日前、なんと12歳にもなってからです。
泣きじゃくりかんしゃくを起こした娘をハグしたら、すぐに呼吸が深くなり泣き止んで落ち着きました。
もっと早くにやってあげられたらと反省しました。
今までどんなに悲しかったかと。
かんしゃくを起こしている時に私が近づくと、硬くなり首を縮めて頭に手をかざし、私に叩かれる恐怖で怯えた娘。
その反応を見て、自分がいかに怖かったかを痛感しました。
うまく出来ないことばかりでした。
「泣くのは止めて。」
冷たい言葉をかけることしか出来ませんでした。
戻れるものならもう一度やり直したいです。
でも、親に当たれるのは、今までの子育てが上手く行った証です。
私は愛情深いやり方で慰めることはできなかったけれど、それでもどうにか愛情をつなげることが出来ました。
大変だった反抗期。
乗り越えるしかないと思い、嵐が過ぎるまで約2年頑張りました。
親が子供の気持ちを受け入れ、側にいて聞くようにすればするほど、幼い時は「問題」が多くなります。
何故なら、子供は怒りやイライラ、傷つきという気持ちをそのまま表現していいと感じるからです。
反対に、子供の気持ちを受け入れないことが続くと、子供は受け入れてもらいたいと思い、自分の気持ちを隠してしまいます。
すると、いつかもっと困った行動や症状で気持ちを表に出してしまうことになります。
だから、子供がかんしゃくを起こしているという事は、子育てが上手くいっている証拠です。
安心できる環境だからこそ、自分の気持ちを素直に出せているのです。
育児は成功しています。
お母さんは頑張りました。
自分をたくさん褒めてあげなくてはいけません。
手がかかればかかるほど成功です。
間違った育て方をしているような気がして不安になるのですが、これで大丈夫なのです。
その証拠に、反抗期の終わった娘は、今とても素直ないい子に育ちました。
どこへ連れて行っても褒められます。
本に書いてあったことは本当だったと、ほっと胸をなでおろしています。
また、HSCはとても育てにくく、感覚の敏感さ故に発達障害と誤解されることもありますが、「気質」のため、障害とは全く異なります。
自閉スペクトラム症は他人の気持ちを読むことが苦手なのに対して、HSCは、むしろ人の気持ちを察するのが上手です。
娘はよく、道を歩いていて幼い子供が泣いていると、側に寄り声をかけ助けてあげる子供でした。
一緒にアニメを見ると悲しい場面では大泣きし、悲しすぎて見られなくなることも。
共感力がとても高く、まるで自分のことのように感じます。
そのような点が、自閉スペクトラム症とは異なるようです。
育てにくいと悩み、もしかしたら発達障害かもしれないと思ったら、子供をよく観察してみると良いかもしれません。
この記事は、
「HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子」
という本を読んで学んだことをまとめたものです。
忙しいお母さんが簡単に読めるように、一部分を抜粋し、自分の子育てを振り返りながら書きました。
イラストが豊富で、様々な例がマンガで描かれており、とても分かりやすい本です。
HSCの特性を知ることが出来、どんな対応をしたらよいのか丁寧に書かれています。
もし、自分のお子さんに育てにくさを感じたら、ぜひ読んで見て下さい。
大きな気づきがあるはずです。
たとえHSCでなかったとしても、育て方は人それぞれなんだと考えさせられ、ひといちばい敏感な子供が、周囲のかかわり方次第で大きなストレスを抱えてしまうことがあると知ることは、様々な子供と関わっていく上で、とても勉強になります。
ぜひ、一人でも多くの方に読んで頂きたい本です。
また、子供がHSCの場合、お母さんも同じ気質である場合が多いです。
私もそうですが、大人は、
HSP (Highly Sensitive Person) と呼ばれています。
HSPにいて学びたい方は、こちらの本がお勧めです。
HSCチェックリスト
最後に、HSCかどうかを判断するためのチェックリストを紹介します。
23の質問のうち13個以上に当てはまる場合、おそらくHSCです。
1.すぐにびっくりする
2.布地がチクチクしたり、ラベルが当たるのを嫌がる
3.驚かされるのが苦手
4.躾は強い罰より優しい注意の方が効果がある
5.親の心を読む
6.年齢の割に難しい言葉を使う
7.いつもと違う匂いに気付く
8.ユーモアのセンスがある
9.直観力に優れている
10.興奮した後はなかなか寝付けない
11.大きな変化にうまく適応できない
12.たくさんのことを質問する
13.服が濡れたり砂がつくと着替えたがる
14.完璧主義である
15.誰かがつらい思いをしていることに気づく
16.静かに遊ぶのを好む
17.考えさせられる深い質問をする
18.痛みに敏感である
19.うるさい場所を嫌がる
20.細かい事(物の移動、人の外見の変化)に気づく
21.石橋を叩いて渡る
22.人前で発表する時には、知っている人だけの方が上手くいく
23.物事を深く考える
* 「はい」が1つか2つでも、その度合いが極端に強ければ、HSCの可能性があります。
ちなみに、娘は19個当てはまり、完璧なHSCでした。
HSCは育てにくさ、生きにくさばかりではありません。
「思いやり」「愛」「笑顔」「親切」「美しい景色」「芸術」「お笑い」など、世の中の良いことにも、より強く反応します。
感受性が強いため、誰よりもプラスのメッセージを受けやすいのです。
良いことをたくさん吸収したHSCは、ひといちばい幸せに生活しています。
理解ある大人に育てられることで、ちゃんと試練を乗り越えて、成長していくことが出来ます。
敏感な子供の子育ては大変ですが、HSCの知識を得て、ぜひ、子育てを楽しんでほしいと思います。
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