健やかに忘れる

金曜日、久しぶりに夫氏と大喧嘩をした。喧嘩といっても私が一方的にブチ切れただけなのだが。
きっかけは些細なことなのだけど、それまでに溜ていたストレスが一気に爆発して大惨事となった。

翌日、私はまだもやもやを抱えていた。ストレスで胃が痛いし、泣きすぎて頭も痛い。
かたや夫氏は引きずることなくいつも通りの顔で、でも前日にぶちまけた不満を解消するべく、朝から台所に立って家事を引き受けた。

「実際にやってみないと大変さがわからないから」ということらしい。

それならと、家事育児のひととおりを託して私は日中のほとんどを寝室にこもってゴロゴロした。
眠いのに頭がさえて寝られず、スマホ片手にネットサーフィン。久しぶりに電子マンガを読んで『恋つづ』の無料配信分にときめいてうっかり続きを購入しようか思う親指をすんでのところで止めた。

怒り続けるのはエネルギーが非常に必要で、そんなことをしてるうちにもやもやしているのもバカらしくなって、台所に戻り食べチョクで初めて買った野菜を下処理・下茹でしているうちに、いつもの自分になった。

日曜日にはもういたっていつもの夫婦で、夫氏は届いたワンタッチテントを開封してバルコニーに出し、3人で日光浴をしながらお昼ごはんを食べた。

夫婦を長いこと続けていくために必要なことの一つに「健忘力」があると、いつかの新聞に書いてあった。
今回の喧嘩で健忘力が一つレベルアップしたことは間違いない。ちなみに夫氏は私より遥かにこの健忘力に優れている。

息子氏よ、あんなに大喧嘩しても寝続けていた君はわが家の大物だ。