コントロール欲求という支配欲が渦巻く世界 (Part2)
コントロール欲に関する分析考察の(Part2)です。
『運や偶然でさえ、コントロールできると錯覚する』
「コントロール欲」とは貪欲なものです。
例えば、サイコロの出目、トランプ、宝くじからパチンコまで、
自分の努力でコントロールできると思っています。
そしてそれが偶然に当たったときに、これ以上ない快感が訪れます。
ギャンブル中毒の人は、「コントロールできないものをコントロールできたと感じたときの快感が忘れられないため、中毒になってしまう」と言っても過言ではないでしょう。
コントロールできると思っていなくでも、誰かに祈ったり、手を合わせて願ったり、何かにすがろうとします。
そんなところにも「コントロール欲」が表れています。
まあ厳密にいえば、100%当てられなくても、人間同士でのゲームや決まった数値のあるゲームにおいては、偏りが生じます。そういったものは除きますが、確率自体は変えられません。
コントロールできないものをどうにかコントロールしようと考え、法則やパターンを探してみたり、複雑な計算をしてみたり、統計的なデータを集めたりしています。
それが「運」か「運でない」かを考えずに、コントロールしようとします。
しかし、これらのゲームには運は付き物です。
いくら念じても麻雀のツモ牌は積まれた以上変わることはありません。
『カスタマイズ可能という罠』
日本の研究者の方もこの「コントロール欲」というものを研究しています。
コントロール欲求の高い人は、低い人に比べ、カスタマイズ商品に対して、支払意思額が高くなることが明らかになった。そして、この「コントロール欲求の高い人は、カスタマイズ商品に対する支払意思額が高くなる効果」は、商品に対するコントロール感が促進されると生じることが示された。加えて、コントロール欲求の低い人は、カスタマイズ商品よりも、通常商品に対して、支払意思額が高くなる一方で、コントロール欲求の高い人は、そういった差がなくなることも示された。
引用元<コントロール欲求の個人差がカスタマイズ商品に対する支払意思額に及ぼす影響 井関 紗代, 北神 慎司 https://www.jstage.jst.go.jp/article/psychono/38/1/38_38.8/_article/-char/ja/>
商品をカスタマイズ出来るというサービスが、支払金額を引き上げるという研究です。
例えば、パソコンもカスタマイズできますよね。
この研究通りであれば、「コントロール欲」の高い人はハイスペックなPCにする傾向があるということです。
もちろん、この傾向を利用した販売・サービスもあるでしょう。
パッと思いつくだけでも、高級な4色ボールペンや車、バイク、住宅にもカスタマイズ要素があります。
「コントロールできる」というだけで、人間の行動に傾向が出るということを示していることが重要ですね。
カスタマイズできるということにより、自分で選択しているという感覚が心地よく感じてしまうのかもしれませんね。
『コントロール欲は、進歩であり横暴である』
この章のタイトルは「進歩」と「横暴」の2つです。
まず「進歩」から。
ここ数百年で人間はとてつもない進化を遂げて来ました。鳥のように空を飛び、魚のように水に潜り、ついには地球の外へ飛び出してしましました。
この進歩の裏側にあるのが「コントロール欲」です。
例えば、100年も前に今回のような世界的なパンデミックが起きたとしても、当時の人々は何もできなかったでしょう。何もできずに何千万人もの犠牲を払っていたことでしょう。
そしてその経験から、人間は薬やワクチンを作り、医学を発展させてきました。
「人間の死をコントロール出来れば」という「コントロール欲」が医療・医学の発展に大きな力を与えたことは間違いありません。
その他にも、一年中快適に過ごしたいと考えて家を作り、冷蔵庫を作り、エアコンまで作りました。
遠くに移動したい、しかも早くと考えた結果、馬を捨て、車を作り、新幹線を作り、リニアまで出来てしまいそうです。
「コントロール欲」は「支配欲」とも言い換えられます。
人間が地球を支配し、さらにより快適に住むために、すべてをコントロールしようとした結果、人類はものすごい進歩を遂げました。
しかしその一方で、人間のコントロール欲が地球環境に与えた影響も、それ相応のものになります。
昨日の豪雨は雲の発達によるものです。雲の量に関連するのは海の水蒸気を発生させる太陽光などの熱になります。
つまり地球温暖化により、日本は打撃を受けているのです。
日本は四季があって、様々な方向から吹く風によって雲の通り道になりやすいことも考えると、数十年後は今回以上の大雨が日本を襲うと予想できます。
化学によって作り出されたプラスチックは海に溶けず、他の生物の住む環境を奪っています。
食用、装飾品ように狩られた動物は絶滅し、危険な動物は保護活動をしなければならなくなりました。
これらのように、「人間が地球をコントロールしようとした結果の代償」というものはあちらこちらに点在しています。
これがやりすぎた結果の「横暴」と表現するものになります。
まさに作用反作用の法則ですね。
人間の進化の過程で、その代償を地球に肩代わりさせていたのですが、地球はわれわれの住処です。
その代償が積み重なった結果、現代に生きるわれわれは苦難を強いられているのでしょう。
このように「コントロール欲」とは諸刃の剣です。
自然の流れに逆らえば、その代償は必ずどこかで返ってきます。
人間は最終的に、地球も丸ごとコントロールする日が来るのかもしれませんね。
『自分でコントロールすること』
まとめに入ります。
人間はスイッチで電源が入ることでさえ、「コントロール欲」が満たされるそうです。
「そんなことを言ったら意思決定すべてにコントロール欲が絡んでいるではないか」と思われるかもしれませんが、その通りだと思います。
僕はまるで「コントロール欲」が悪者であるかのようにこれまで書いてしまっていたかもしれませんが、「コントロール欲」が悪いのではありません。
「コントロール欲」を振りかざして、他人との折り合いもつけずに、横暴な行いをする人から逃れるために、「コントロール欲」というものの存在を理解し、危険を察知するようにしてほしいだけです。
誰にでもある「コントロール欲」を多くの人は折り合いをつけながら生活しています。
しかし、あなたをコントロールしようという意図は、SNSの発達とともに複雑かつ巧妙になっていっています。
それがたとえば、「自己投資」「あなたのため」といった言葉に隠されているとしたら?
そんなこんなの考察もまた別の記事で書いていきたいと思います。
一旦(Part2)まででストップしておきますね。
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