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「情報編集力」って何?知識・経験・技術を組み合わせて、人生を切り拓いていくチカラを解説

「情報編集力」とは、正解が1つではない問題を解決するチカラ、のことです。文部科学省ではこれを「思考力・判断力・表現力」と表現することがありますし、経済産業省では「社会人基礎力」と呼んだり、経済界では「問題解決能力」と呼んだりしています。

学校では、計算の方法や漢字の書き方など、たくさんのことを覚えます。
それを思い出せるかどうか、記憶力を試すのがテスト。正解をたくさん記憶しておいて、問われた問いに対して速く正確に処理できるチカラが、学校の試験では求められます。このチカラを「情報処理力」といいます。

そして、その情報処理力を活かすのが、「情報編集力」です。身につけた知識・経験・技術を組み合わせて、人生を切り拓いていくチカラ。このチカラが社会に出ると求められてきます。

遊びで例えると、情報処理力は「ジグゾーパズル」をやるときのチカラで、情報編集力は「レゴ」をやるときのチカラです。
ジグゾーパスルは、1ピースに正解の場所がひとつだけ。いかに早くすべてのピースをはめていけるか、を楽しむと思います。
一方レゴは、ピースを組み合わせて思い通りに作り出すこと、を楽しむ遊びです。ブロックを組み合わせることで、宇宙船にも家にも動物にもなる。想像力しだいで何でも作ることができる、世界観自体をクリエイトする遊びだといえます。

このように、「情報編集力」はアタマを柔らかく使って、イメージを広げられるチカラと表現されることもあります。ゲームを作り出すゲームデザイナーや、世界観そのものを生み出すアニメ作家・監督たちは、まさにこの情報編集力を活かして、よのなかを楽しませてくれています。情報編集力についてもっと詳しく知りたい方はこの本を参考にしてください。


情報編集力を高める5つのリテラシー

著者の藤原和博氏は、情報編集力を高めるために「5つのリテラシー(振る舞い)」を磨くことが重要だと言われています。

①コミュニケーション・リテラシー
異なる考えを持つ他者と交流しながら自分を成長させる
②ロジカルシンキング・リテラシー
常識や前例を疑いながら柔らかく「複眼思考」する
③シミュレーション・リテラシー
頭の中でモデルを描き、試行錯誤しながら類推する
④ロールプレイ・リテラシー
他者の立場になり、その考えや思いを想像する
⑤プレゼンテーション・リテラシー
相手とアイディアを共有するために表現する

引用:「10年後、君に仕事はあるのか?」 藤原 和博 75ページ

①コミュニケーション・リテラシー

コミュニケーション能力と聞くと、話し手としての能力、すなわち自分の意見をはっきりと述べることや、豊富な語彙で表現する能力を思い浮かべるかもしれません。しかし、それはひとつの側面に過ぎません。ここでいうコミュニケーションのプロセスは主に3つ。「言う」「聴く」「進化させる」です。

確かに自分から積極的に話すことや、わかりやすい言葉を選んで話すことはとても大切。ですが、会話は双方向のやり取りですので、「聴く」ことも同じくらい重要です。
「聴く」という漢字には耳と目と心が入っています。ただ耳で聞くのではなく、相手を見て注意深く、何を考えているのか心で感じながら、耳を傾けるのが傾聴です。
そして相手の意見を踏まえて自分の考えを再考する。それをもとに自分の意見をさらに発展させることも、コミュニケーション能力の重要な側面です。ポケモンでいうとメガ進化ですね。他者のメッセージを受け入れ、それを参考にして自身の考えを進化させる柔軟性も大切だと思います。

②ロジカルシンキング・リテラシー

これは論理的思考とも呼ばれます。物事を合理的に、順序立てて考えるプロセスを指します。プログラミング思考とも関連がありますが、場面に限定されるわけではありません。日常生活や仕事の中で、誰しもが使っています。例えば料理をする際にも活用されます。料理のプロセスを考える際に、どのような材料が必要で、それらをどの順序で使うべきか、どのような手順で料理を完成させるかを考えることは、ロジカルシンキングの良い例です。

ロジカルシンキングは、物事を考えるときだけでなく、話をする際にも活かせます。何かを依頼する時や他者の協力を得るためには、自分の考えや意見を相手に納得してもらう必要があります。納得してもらうためには、まず相手にどのように話せば自分の意見が正確に伝わるかを慎重に分析することから始めます。その上で、得られた分析結果を基にして、話の構成を考え、情報を順序良く整理してから説明します。このように段階を踏んで考えることで、伝わりやすさも一段と変わってくるでしょう。それをするためにはひとつひとつ個々の事柄を注意深く観察することも大切だと思います。

③シミュレーション・リテラシー

シミュレーション、これが起こったら次はこれが起こるだろうなと勘を働かせることです。直感や推理、そして様々なシナリオを頭の中で描くことにより、未来の出来事を予測することです。

「風が吹くと桶屋が儲かる」という言葉をご存知でしょうか。一見無関係に見える事象が連鎖反応を起こして、予想外の結果につながるということを表すことわざです。
風が吹くと、埃が立つ
→その埃が目に入ると、失明する人が増える
→失明した人は、三味線で生計を立てることが多い
→三味線の胴を張るためには、猫の皮が必要になる
→猫が狩られるので、ネズミが増えて桶が齧られる
→その結果、桶の需要が増える
→需要が増えた分だけ桶屋が儲かる
これはまさにシミュレーション・リテラシーの良い例です。

ある出来事が起こった場合にそれに続く可能性のあるシナリオを予測し、それに基づいて行動を計画する。それはつまり科学力と言ってもいいかもしれません。
科学的なデータや理論を基にして、頭の中でモデルをつくって実験し、未来を予測する。頭の中でモデルをつくるのは「仮説を作り出す」とも言い換えられます。
仮説を立て、それが違ったら「なんでだろう?」と考え修正する。何度も試して修正する、試行錯誤の繰り返しがシミュレーションリテラシーを育みます。私たちが日々活動しているロボットプログラミングもそのひとつです。

④ロールプレイ・リテラシー

ロールプレイは、「役割(role)」と「演じる(play)」を組み合わせた言葉です。営業担当者などが実際の現場で適切に対応できるように、事前に疑似体験する「ロープレ」がそうですね。お客様の役割を演じてみることで、お客様の視点から営業のあり方を理解することができます。

すなわち、他者の立場に立って考えるということです。イメージを働かせて他者の視点を理解しようとすることともいえます。これは社会でどんな役割を果たすことになるにしても、欠かせません。商品やサービスを必要とする人がどんな生活をしていて、どんな考え方でどう振る舞うのか、それを頭でイメージしてロールプレイすることが必要です。営業職はまさにそうですね。お客様になって考え行動してみることで、お客様でも見えなかったニーズを拾うこともできるでしょう。

また、情報が溢れかえり、変化が激しい現代社会において、頭の中で情報を再構築する意味でもロールプレイリテラシーは重要ですね。SNSで世界がつながり多様な価値観が許容される中で、自分とは違う立場で考えること、異なる視点で物事を見ることは、人々と協働する基盤になるでしょう。

⑤プレゼンテーション・リテラシー

プレゼンと聞くと、これも話す技術と思われますが、それだけではありません。これは、自分の考えや気持ち、感性をさまざまな形で表現し、相手に伝わるようにする技術のことを指します。それは身体でも音楽でも絵でも、ツールは問いません。重要なのは、自分のメッセージが相手にしっかりと伝えることです。

伝え方という意味では、ロジカルシンキングとは異なる側面を持ちます。ロジカルシンキングが合理的に順序立てて伝えるのに対し、プレゼンテーション・リテラシーはより感情や気持ちで伝える技術と捉えられます。言葉だけではなく、身振り手振り、表情、声のトーンなど、全身を使って伝えたい思いを表現する。欧米の方をイメージすると分かりやすいですね。
また、アーティストやスポーツ選手が自分の感情や情熱を表現することもプレゼンテーション・リテラシーの一例と言えるでしょう。


以上の5つのリテラシーを包括して「情報編集力」と呼びます。
人々とのコミュニケーションで自分にない情報を取り入れ、シミュレーションとロールプレイングで自分なりに情報を咀嚼し、ロジカルに、あるいはパッシブなプレゼンテーションを通して情報を発信する。このように情報を「編集する」チカラがあれば、仕掛ける立場に回ることができるでしょう。仕掛けるとは、サービスを受けるのではなく、提供する立場。すなわち主体的に行動し、何かコトを起こすと言い換えてもいいです。

私たちは今、価値観が多様化、複雑化し、様々な考え方が混在する成熟社会にいます。SNSをはじめとするデジタルメディアは世界中の人々を瞬時に繋げ、膨大な量の情報が絶えず流れています。このような環境下では、何が正解かを判断するのが困難で、情報を受け取ってばかりじゃ生きづらい世の中だと感じます。
そこで重要となるのが、情報を編集するということ。情報を柔軟に組み合わせ、その場その場で判断しながら自ら仕掛けていくチカラ。いかに頭を柔らかくして思考を高めていくかが鍵になってくると思います。あなたはどう思いますか?


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