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白黒コンビ誕生

フクちゃんがいなくなって、コハクは、またわがまま放題になった。ちょっと寂しそうにしていたのは、少しの間だけで、また噛み癖や引っ掻き癖が目立ち始め、私たちに対しても反抗的な態度をとるようになった。

とはいえ、私たちも慣れたもので、わざと強気にでると、コハクは、元来の性格が臆病で怖がりなので、「ヒーン」という情けない声を出す。色々あったけれども、この世話の焼けるコハクだけでいいのかもしれないなと思いつつ、フクちゃんと過ごした日々もなかなか忘れることができなかった。

アッという間にいなくなった分、まだそこにいるように感じたし、にゃーちと違って、家の中にいたので、常にその存在を感じてしまうことが逆に辛かった。

初めての女の子(クロミ・保護猫・推定7歳)
クロミは、我が家で初めての女の子である。フクちゃんが亡くなって、どうにも寂しくて、フクちゃんがいた部屋のフクちゃんがいた場所を見るだけで、泣けてくる毎日を過ごしていた頃、ボランティアで猫の保護と譲渡をされている方のことを知り、ブログを読んでいたら、フクちゃんと同じ種類の猫を保護したということで、どうしても会いたくなった。

月2回譲渡会を開催していて、担当者は、偶然にも大阪出身の方で、大阪弁で気さくに色々話ができて楽しかった。普段は、トリミングサロンで、譲渡会の時は、店内いっぱいにケージが置かれて、その中に猫が入っていた。私たちが訪れた時は、猫も人間もたくさんいて、賑やかだった。

私のお目当のフクちゃんと同じ種類の猫は、痩せっぽっちだったフクちゃんの3倍ぐらいはある大きな猫で、割と年齢が高いようだった。こちらが近づいても全く見向きもせずに、ずっと寝ていた。もう少し自分が歳をとって、1匹だけだったらこういう子もいいなと思った。同時に、自分は、どこかでフクちゃんの幻を追っているだけだと思い、また寂しい気持ちになった。

子猫もたくさんいて、どの子も可愛かった。保健所にいたり、捨てられてたりした子でもやはり愛情をかけてもらうとそれに比例してどんどん可愛くなる。動物は、エサをやってればいいと思っている人もびっくりするぐらい沢山いるが、環境を整えることが大前提で、プラス愛情も不可欠な要素なのだ。

どの子も可愛いので、この中でこの子っていうのは無理だし、無理に選ぶ必要もないなと思って、そろそろ帰ろうかなと思っていたら、旦那が1匹の猫を抱いていた。それがクロミだった。

その時は、とりあえず行ってみよう的な感じで譲渡会に参加したので、一旦家に帰って、改めて考えようということになり、一応譲渡希望を出したのだが、すぐに引き取りたいという人が現れた場合は、そちらに引き取られるということを聞いて、普段何事にもあまり執着心のない旦那が珍しく、この子を連れて帰ると言い張り、引き下がらなかったので、意外な展開に驚きながらも、それほど言うんであればと、急遽、キャリーを貸してもらい、トライアルすることになった。

まだ3ヶ月の女の子だったクロミだが、兄弟が多い中で育ったせいか、全く物怖じせず、車の中でも、兄弟と離れる寂しさなど全く見せず、これから始まるかもしれない生活に好奇心が止まらない様子だった。

コハクを車で家に連れて帰った時とは、だいぶ違うなと思った。あの時は、私たちも初めての猫で緊張していたが、それ以上に、コハクは、めちゃめちゃ緊張していた。好奇心よりも恐怖の割合が多かったように思う。クロミは全く逆で、この子は、ちっちゃい見た目の割に根性がすわっていると思った。猫も人間と同じで、性格が色々だし、顔もそれぞれ違う。猫を飼ったことがないと、顔の違いや表情はなかなかわからないかも知れない。

クロミの第一印象は、「マンガみたいな顔」だった。保護されたボランティアさんも「兄弟のうち、この子は、一番最後に貰われると思った」と言われていた。クロミの(おそらく)お姉さんは、なかなかの美形猫で、大人しい感じの子だった。私は、その子と遊んでいて、「いい子だなあ」と思っていたが、コハクの性格を考えると、活発でへこたれない感じの子が理想なので、ちょっと難しかった。

クロミは、おそらく兄弟の末っ子で、白黒、まるで黒いコートを着たように、背中側が黒かった。体は小さいけれども、好奇心の塊のような明るい猫で、この子ならコハクとやっていけるかも知れないなと思った。

初日はとりあえずケージへ


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