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手放した先にある、満たされた気持ち

何かを手放す

スタートダッシュを切ったはいいものの
着火剤が消え、大きく燃え上がっていた炎は
ちらちらと残り火がくすぶるくらいの大きさに縮んでしまって
先も見えず、天気も鬱屈としている。
自分が大切だと思っていたものさえ、
どうでもよくなって
適当に扱ってしまいそうな自分がいることに気が付いて

そんな自分が嫌になった。

私に必要なものはなんだろう。

きっと今ごちゃごちゃになって
クリアじゃなくなって
分からなくなって
大事なものと要らなくなったものたちが一緒くたになって埃まみれになって
ガラクタの山に埋もれてしまっている。

このままここにいると、埋もれてしまって
自分の声が、火が、消えてしまいそうだった。


もっと軽く、軽くなりたい。

ふわっと飛んでぽわぽわ、飛び回れるように。

今日から長く家を離れる。
母親には、最後の最後までどこに行くか言わなかった。

ちょっと、しばらく出てくるね。

どこに行くの?

不安が伝わってくる。

安心させてあげたい気持ちはあるけれど、
行き先を伝えたのちに言われるであろう言葉を想像すると、
それをするのは難しかった。

これ以上、心に残る火を消さないように
誰からも水をかけられないように
しまいに自分で自分の火を消すことにならないように

「行き先は言わないけど、行ってくるね。」

自分を大切にした。

分かってもらいたい
大切にしてあげたい
認めてもらいたい
愛されたい
愛してあげたい

それらを、いったん、手放してみる。
必要なものだけを残して、あとは手放す。
私らしくいるために。私らしくないものをぜんぶ手放してみる。

実際に、というよりも頭の中でシミュレーションする。
頭の中でイメージできると、手放せた気持ちになる。

心苦しかったけれど
私の心の聖域は誰にも侵させない。

母の気持ちを無視する選択をしたことに、怖くて申し訳なさでいっぱいにはなるけど、

境界線を引くことは、私を生きるのに必要なことだった。

この旅で自分をクリアにしよう
静かに、目をつむって
自分だけの聖域をもう一度ちゃんと作り直そう。

出発の前、ヨガ教室に寄って、大好きな人たちに会った。
辞めてから初めて、先生たちに会った。
怖かったけど、ここに来ることは私にとって大切なことだった。


先生、今から石川に行ってきます。

いいじゃん、何でもやってみなよ。

先生、自分の力で生きていくって、ほんとたいへん~~。

そうだよ。
まずは自分が自分のことを律せてないといけないし。
けど、そういうゲームなんだよ、人生って。その方が楽しくない?
人間に生まれたからにはこのゲームを生きなきゃいけないんだよ。
牛よかいいでしょ?

先生と話すと、自分の状態を見つめることになるから
いつもほっとする。

先生、また通いたいです。

いつでもおいで。
ここはいつでもひかりちゃんの帰ってくる場所だから。

先生がくれた緑の手ぬぐいを握りしめて
大きなバックパックと、
よもぎ色の練習マットを抱えた私をみて

いいね!と笑って先生が歌う。
「若者は〜また〜あるき〜はじ〜める〜」

重い荷物を背負って
心はすっかり軽くなった。

いってきます!

元気に挨拶して
大きく手を振った

楽しんでね!
いってらっしゃい。

恐怖も、不安も、満たされない気持ちも、満たされたい気持ちも手放して
イマ、ココに自分がいることを確認する。

そうしたらすごく
満たされるような気がした。

君のゆくみちは 果てしなく遠い
だのになぜ 歯を食いしばり
君はゆくのか
そんなにしてまで

君のあの人は 今はもういない
だのになぜ 何を探して
君はゆくのか
あてもないのに

君のゆく道は 希望へと続く
空にまた 陽がのぼるとき
若者はまた
歩きはじめる

若者たち(1966)

森山直太朗バージョンでどうぞ。
沁みます。


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