米山 知宏

株式会社コパイロツト / DERTA。元三菱総研。関心は、知/情報/コミュニケーション…

米山 知宏

株式会社コパイロツト / DERTA。元三菱総研。関心は、知/情報/コミュニケーション/ナレッジマネジメント/オープンガバメント/民主主義/市民参加/地域活性化 https://twitter.com/kedamatti

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  • SuperGoodMeetings Magazine

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    SuperGoodMeetingsのあれこれをお届けします。

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<野生>のプロジェクトマネジメント――計画性と偶発性をマネジメントする「ブリコラージュ」

レヴィ=ストロースの哲学からプロジェクトマネジメントを問い直す連載企画「<野生>のプロジェクトマネジメント」の第二回は、「ブリコラージュ」がテーマです。 「ブリコラージュ」は、フランス語で「器用仕事」を意味するもので、「ありあわせの手段・道具でやりくりする」という考えですが、これが現代のプロジェクトにおいてどのような意味を持つのか、そして、プロジェクトに関わる我々はそこから何を学ぶことができるかを考えたいと思います。 ブリコラージュとは?そもそもブリコラージュが何を意味す

    • <野生>のプロジェクトマネジメント――レヴィ=ストロースの哲学からプロジェクトマネジメントを問い直す

      従来、対面でのミーティングが当たり前だった時代には、物理的に移動する時間があり、それによって、ある程度「ミーティングではない時間」も存在していました。しかしリモートワークが普及する中で、「1日中隙間なくミーティングが入ってしまっている」という方も数多くいらっしゃるかと思います。 このような状況は、たしかに「合理的」な側面はあり、私も日々、スピーディーに多くのミーティングを行えることの恩恵を感じています。ただ一方で、1時間ごとの枠の中で議題を対処するばかりで、「十分に会話を行

      • プロジェクトを通じての学習――我々は何をどう学ぶべきなのか

        リモートワーク化の流れ、そして、プロジェクト単位の働き方の普及は、そこで仕事をする人がいかに学ぶか、ということにも大きな影響を与えているように思います。 リモートワークについて言えば、従来の対面を前提とした働き方であれば、先輩や上司がどのように振る舞っているかということが日常的に把握することができましたが、リモートワーク環境になると、MTGかチャットツール以外で他者の振る舞いを知ることができず、学びのハードルが高まっています。 また、プロジェクト単位の働き方について言えば

        • ChatGPT:5分でプロジェクト設計・会議のアジェンダ設計ができるプロンプト

          ChatGPTを活用して、5分で「プロジェクト設計」「マイルストーン設計」「会議のアジェンダ設計」ができるプロンプトをご紹介したいと思います。 プロジェクトの「ゴール設計」「マイルストーン設計」「会議のアジェンダ設計」をする際に、ChatGPTはとても良い壁打ち相手になってくれます。 本ブログで紹介するプロンプトから出力された結果を、コパイロツトで開発・サービス提供しているプロジェクト設計・MTG設計ツール「SuperGoodMeetings」に入れて会議を行っていただけ

        <野生>のプロジェクトマネジメント――計画性と偶発性をマネジメントする「ブリコラージュ」

        • <野生>のプロジェクトマネジメント――レヴィ=ストロースの哲学からプロジェクトマネジメントを問い直す

        • プロジェクトを通じての学習――我々は何をどう学ぶべきなのか

        • ChatGPT:5分でプロジェクト設計・会議のアジェンダ設計ができるプロンプト

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          変化し続けるためのふりかえりー様々な視点を行き来しながら自己と対話する

          プロジェクトマネジメント協会の元会長であるアントニオ・ニエト=ロドリゲスが「現代の経済の原動力はオペレーションからプロジェクトへと置き換わった」と指摘するように(出典:「プロジェクトエコノミーの到来」(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー2022年2月号))、現代は「プロジェクトの時代」と言えます。プロジェクトは「必ず、過去に行われたことのない何かが含まれる」ものですが、現代社会はその傾向がより強まっています。そもそも何が問題かということも分からないし、仮に問題が分

          変化し続けるためのふりかえりー様々な視点を行き来しながら自己と対話する

          プロジェクトを始める際に、まず何を考えればよいのか

          プロジェクトを始める際に行うべきことの1つとして、「プロジェクトをどのように行っていくか」という計画(プロジェクト計画書)の策定があります。そこでは、プロジェクトの目的は何か、実施内容は何か、それをどのようなスケジュールで行っていくか、体制・コストをどうするか、コミュニケーションはどのようなツールを用いてどのように行うかなどが言語化されますが、プロジェクトを始めるタイミングで重要なのは、プロジェクトが始まってしまうと問い直されにくい前提を確認することだと考えています。 誰し

          プロジェクトを始める際に、まず何を考えればよいのか

          発酵するのはアイデアではなく自分の目線

          食べ物の残渣(ざんさ)から堆肥を作るには、発酵させるための素材を残渣に一度混ぜるだけではなく、タイミングを見てかき回す必要があるのだという。たまにかき回して、空気を入れないと、発酵せず腐ってしまうのだとか。 アイデアも同じだと思う。 何かを思いつく。 素晴らしいアイデアだと思って書き溜めてみる。 翌日になると、冷め始める。 で、気づけば、アイデアの存在自体を忘れる。 これでは、アイデアに失礼である。 堆肥をかき回して空気をいれるように、アイデアもかき回さないと発酵せず、

          発酵するのはアイデアではなく自分の目線

          選挙の後が大事

          明日は、衆議院選挙の投開票日ですが、思いつくままに何点か。 (この記事は、2016年の参議院選挙時に書いたものに若干手を加えたものです) --- 1)ある候補者に投票した理由をメモしようまず、今回、ある候補者に投票をした理由をメモしておくと良いかと思います。過去のどのような実績を評価したのか。今後の政策のどこに期待をしたのか。衆議院の任期は4年(参議院の任期は6年)。4年もしくは6年もたてば投票した理由を忘れてしまいますが、今回の投票理由は次回の投票時の評価基準でもありま

          選挙の後が大事

          対話とは、まちづくりの中で連綿と受け継がれる言葉を生み出すもの

          いま、とある公共施設の検討に関わらせてもらっているが、あらためて地域の公共施設は対話的プロセスの上で検討されるべきものだと思う。 行政的には、対話なんかせずに、一部の限られた関係者で検討した方が楽だし、思い通りのものを作ることができるのかもしれないが、それでは、あまりにも失うものが大きい。施設への愛着が生まれなかったり、行政に対する不信感・無関心が増すということだけでなく、何より、地域の人たちが地域のことを自ら考える機会(学習の機会)を奪ってしまう。 対話とは、ある施設を

          対話とは、まちづくりの中で連綿と受け継がれる言葉を生み出すもの

          Web会議をどうファシリテーションするか

          コロナウィルスの影響から、Web会議を行うケースも増えているのではないかと思いますが、慣れないWeb会議では、参加者はもちろんのこと、会議をファシリテートする方も負担を感じられているのではないかと思います。 私が所属しているコパイロツトのブログに、Web会議のファシリテーションについて書いてみましたので、お読みいただければ幸いです。 (1)考え方編、(2)会議準備編、(3)会議時〜会議後編の3記事で構成されています。

          Web会議をどうファシリテーションするか

          政策立案パターン・ランゲージ:自ら「知」を生み出すプロセスを通じた「学習」と「組織変革」

          昨年(2019年)の夏から、「政策の作り方を作る」という活動を新潟市役所と新発田市役所の有志メンバーと行っている。 以前から知人と「地域シンクタンク」を作りたいという話をしていたのだが、テーマを検討する中で「行政が良い政策を作るためにはどうすればよいのか、何が必要なのか」というところに双方の問題意識があったので、「政策の作り方を作る」ことを地域シンクタンクとしての活動の最初のプロジェクトとすることにした。 この記事では、背景と実際にやっていることを紹介したい。 ▶「政策

          政策立案パターン・ランゲージ:自ら「知」を生み出すプロセスを通じた「学習」と「組織変革」

          周年日記のすすめ

          飽きっぽい私が、ずっと日記を書き続けられている「周年日記」というスタイルがあるのだが、とてもオススメなので書いてみたいと思う。 周年日記は、同じ日付の日記を同一のページに書き加えていくものである。 私の場合は、Scrapboxというツールを使って日記を書いているが、そこに日単位のページがあり、毎日、該当する日付のページを上書きしている。 周年日記のフォーマットフォーマットはこんな感じ。 このフォーマットで書かれた複数の年の日記が一つのページに蓄積されている。 (下記の※は

          周年日記のすすめ

          知的生産ツールとしての議事録

          一般的に、「議事録」というものは実に可愛そうな扱いをされているように思う。 議事録を書かなければならない人にとっては面倒くさい作業で、議事録を読む側もさらっと目は通すものの、それほどのありがたみを感じていない。 しかし、本来、議事録は創造性の源泉であり、これがどのような内容でどのように作られているか、ということはその組織やコミュニティの創造性の度合いを表しているといっても決して言い過ぎではないと思う。 この記事では、議事録とはどのような内容であるべきで、また、それはどのよ

          知的生産ツールとしての議事録

          真鶴の「美の基準」:大切なものを守り、新しいものを生み出す

          パターン・ランゲージで有名な事例の一つに、真鶴(神奈川県)の「美の基準」がある。「美の基準」は、建築家のクリストファー・アレグザンダーが提唱したパターン・ランゲージを参考にしながら1994年に作られた「まちづくり条例」で、「真鶴町の住民が昔から受け継いできた『生活が息づくための作法』」(http://machinale.net/manazuru.html)を言語化したものである。私は以前から「美の基準」に書かれている言葉がとても大好きで、是非実際の風景を感じに行ってみたいと思

          真鶴の「美の基準」:大切なものを守り、新しいものを生み出す

          「具体と抽象」、そして「過去と未来」を行き来する情報と知

          前回の記事では、組織内で情報・知が流れることの重要性について指摘したが、今回は、組織内で情報・知が流れるとはどういうことなのか考えてみたい。 単なる「情報共有」ではなく、「理解」と「仮説」を生み出すこと組織は何かしらの共通的な目的に向けて活動を行う集団と言えるが、だとすると、組織内で共有すべき情報や知も、単に物理的に共有をすれば良いというものではなく、それぞれの部署やメンバーが理解し、次の行為(仮説)を導くことができるものでなければならない。 そのような情報・知を創出する

          「具体と抽象」、そして「過去と未来」を行き来する情報と知

          情報処理機能としてのティール組織/ホラクラシー

          今年の1月に「ティール組織」の日本語訳が出版されて以来、「ティール組織」や「ホラクラシー」という組織についての新しい考え方がしばしば話題になっている。それらは、一般的には「上司と部下、肩書などに基づく一般的なピラミッド型の「ヒエラルキー組織」とは違う組織形態」(日本経済新聞*1)と言われるもので、組織を「生命体」のようなものとして捉える考え方であるが、それぞれ以下の特徴がある。 ティール組織 ・【セルフ・マネジメント】 階層やコンセンサスに頼ることなく、仲間との関係性のなか

          情報処理機能としてのティール組織/ホラクラシー