施設で過ごすのか自宅で過ごすのか?
(電話中)はあ…うん…そうなんだ…わかったよ。聞いてみるね。
(電話終了)
尾藤さんどうしたの?
あ、施設長…
実は、実家の祖父が骨折して入院していたんですが、今回、介護申請をする事になったんです。
でも、まだ歩けないみたいで老人保健施設への入所を打診されたみたいなのですが、祖父が自宅に帰るの一点張りで、老々介護で祖母一人では介護は難しいですし、他の家族も同居はしていないので母から困ってると電話が来たんです。
本人は施設には入りたくない。祖母や私の両親は体調や足腰が良くなるまでは施設でと考えているんですが。
中々、考えがまとまらなくて…
施設か在宅か…
うーん。難しいよね。
本当は、家族や本人としっかりと話し合いが必要なんだけど。中々病院のワーカーさんも本人の意思と乖離した事を無理くり進めることは難しいからね。
祖父は施設と聞いただけで、家族の話は全然聞いてくれないみたいで、治った。運動はもういい。の一点張りで…
祖母は諦めたみたいに、気落ちしてしまって、ワーカーさんも困っているみたいです。今の電話も、私が働いている老健でなら本人も納得するんじゃないかって電話だったんです。
家族が働いているからね…
本来なら、入所する併設の老健があるならそこのスタッフさんや病院の主治医やワーカー。看護師といったメンバーが本人や家族を交えて老健に行く理由をちゃんと説明してあげないといけないんだ。
老健はあくまで自宅復帰の為の施設だからね。
でも、病院によっては退院調整看護師やワーカーだけが窓口になっていて全体で話し合ったり、本人がどこまで理解できているか、家族がどう考えているか、話し合う場が必要だったりするんだけど、実際は業務に追われてしまって退院か、自宅復帰かを選ばせて、施設は自分たちで探してください。ケアマネさんにお願いしてください。なんて風に言われてしまうことがあるって事も事実だし。
祖父の入院している病院は、ワーカーさんも看護師さんも親身になってくれてくれているので、そんな病院もあるんですね。
色々な業務が重なってしまって、大変になるのは福祉の業界も、病院も、特に退院や入所といった支援に関わるときは、意向をしっかり確認する。中々決まりがつかない時は、選択肢を何種類か用意して提案してくれるワーカーさんもいるんだ。
ここでの話は、もう少し尾藤さんのおじいさんと家族の方が話し合う際に、仲介者としてワーカーさんが入ってくれていると思うから、もし在宅に戻るという選択をするなら、ケアマネにも同席をお願いすると、在宅に戻った際の不安も少なくなると思うよ。
そうですね。施設か自宅かで悩むなら、両方の専門家の話を交えて聞いて貰うのも1つの方法ですね。
もう少し、家族で相談してみます。
補足
対象となる患者様の認知症状や身体的機能、医療行為の必要性に鑑みて、病院では施設入所か退院し自宅復帰か、リハビリ施設(老健)を経て、自宅復帰という場合もあります。
入所の申し込みや契約は家族が行う事が基本です。施設の紹介は病院のワーカー・ケアマネ・地域包括支援センターといった所で紹介もしてくれます。
また、在宅か施設かで悩んでいる場合は地域包括支援センターや既にケアマネとの契約をされている方であれば、悩み相談にも対応してくれます。
用語解説
①老人保健施設(略語:老健)
介護を必要とする高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すために設立された施設です。医師による医学的管理の下、看護・介護といったケア。作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、また、栄養管理・食事・入浴などの日常サービスまで併せて提供する施設です。
②地域包括支援センター
地域包括支援センターとは、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」です。お住まいの地域に必ず設置されています。高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護サービスや介護予防サービス、保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じており、介護保険の申請窓口も担っている事が多く、最初に相談に行く場合が多いです。
③ケアマネージャー(介護支援専門員)
介護を必要とする方が介護保険サービスを受けられるように、ケアプラン(サービス計画書)の作成やサービス事業者との調整を行う役割を担い、保険利用がある場合はほとんどの場合で関わる事が多いです。
主な職場は、自宅介護を受ける人のための介護サービスを展開している居宅介護支援事業所や、老人ホームなどの施設、行政の介護相談の窓口となる地域包括支援センターなどです。
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