読書感想#21「教養としてのアメリカ短篇小説」

13篇のアメリカ短篇小説が紹介されていて、読んだことがない作品の章でも、あらすじが詳しく紹介されていて面白く読めました。ネタバレはもちろん含んでいるのですがそれでも、自分で細部を確認するために読んでみたいと思えるような紹介の仕方でした。
紹介されている中で読んだことがあるのは最初のポーの黒猫だけでしたが、それも、子どもの頃読んだ時に感じた恐怖だけがテーマではない、アメリカの歴史や思想が複雑に絡んだ作品なのだと知りました。黒猫を殺すシーンがかつてのアメリカでの黒人奴隷へのリンチと重ねて読めるとは衝撃でした。それを思うと、ポーの別の作品の「モルグ街の殺人事件」の犯人がオランウータンであるのも、単純に動物というだけではない別の意味があるような気がします。

小説というのは、やはり作者の生まれた国の文化や思想が深く根ざしているものなのだと感じました。アメリカは、近代に急成長を遂げた国で、あまりに急成長だったためか、黒人差別、戦争など、いびつな物も色々と内包している国なのだなと思いました。


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