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【映画】誰にも言えない秘密。それは僕が有名作家だってこと。

小説家の方が、本来のものとは別の名義で作品を出版する例はいくつか存在します。
ある程度名が売れるとともに、その作家=こういう作風というイメージが付くのでそれを払拭するためや、単純に「作品が売れる要因は自分のネームバリューだけではない」と証明するためなど、理由は様々でしょう。
有名な例を挙げると、ハリーポッターの著者JKローリングさんが、
ロバート・ガルブレイスという男性名でサスペンス小説を刊行しています。

今日の映画の主人公は、架空の作家名で大ヒット作を生み出した小説家。
しかし彼は自分が著者である事を家族にも内緒にして生活しています。
一体なぜ、誇らしい実績を秘密にしたがるのでしょうか?

恋するモテない小説家

「4コマあらすじ」

「作品みどころ」

サイモンがサリー名義で執筆したファンタジー小説「セイレーン」が世界中で大ヒットする。
人間の女性と人魚の男性の恋物語の小説は、大人から子どもにまで親しまれており、ハリウッド映画化にまで話が広がっていく。
しかし著者であるサイモンは、セイレーンの出来に納得がいっていない。
主人公の女性に感情移入しているファンに対して、「それは誰にでも当てはまるような曖昧な描き方をしているからだ。よく読んでみろ、詳細なキャラ設定が練られているか?」と批判。
さらにはサリーを天才だとほめたたえるファンに対して、
「サリーは凡才だ。ただシェイクスピアのような偉大な作家の真似事をしているだけ」と突っぱねる。
いい加減にサリーでいることに嫌気が差したサイモンは、出版社の担当編集者に「サリーという架空の作家を殺そう」と提案。しかし金づるを逃がすまいと出版社側はこれを拒否。さらには契約に違反した場合サイモンを訴えると脅してくる。

セイレーンは凡作だ、と自身のヒット作を否定し続けるサイモン。
意中の相手であるテスはバツイチで娘が1人おり、その娘はセイレーンの大ファンだという。
ハードカバーをボロボロになるまで大事に読んでいる娘を見て、
自分の小説が小さな子どもに夢を与えているのだと実感する。
元は引っ込み思案で誰とも話せなかった彼女が、セイレーンのおかげで
読書友達が出来て明るくなれた。そんな話をテスから聞いたサイモンは、
セイレーンを亡きものにしようという自分の考えを改める。

そもそもサイモン=サリーという事実が世間にバレたのは、人気俳優ペリー・クインのせい。
ペリーは映画化されるセイレーンの主役を務める事になり、作家本人と仕事がしたいのだと言いサイモンと親睦を深める。
その際、サイモンから「自分がサリーであるという事は絶対に口外しないように」と釘を刺されるも、すぐに全国ネットのTVで口を滑らせる。
しかも全然反省していない。
むしろ「有名になってワクワクすんだろ?」みたいな事を言ってくる。


「コメント」

普通は自分の作品が売れる事って小説家にとってこの上なく嬉しい事ですが、サイモンは自身のヒット作と縁を切りたがります。
芸術家の方も、いくら周りが褒めちぎっても自分が納得しなかったら
作品を破棄したりするので、それと似たような心境なのかなと思いました。
ただしサイモンの場合は、恋人の娘がきっかけとなり、セイレーンが多くの人々に希望を与えているのだと知り、彼の考え方は少しづつ変わっていきます。
劇中でサイモンがセイレーンに対する批判として強く用いていた言葉は
「金儲けのために書かれた」というものだったので、
彼が書きたかったのは単に売れるだけの小説ではなかったのでしょうね。



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