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素材開発ベンチャーを考える①~成長の要諦~

個人的に日本の素材開発には期待をしている(というかこの分野でくらいは世界をあっと言わせてほしい。。)
今回は素材開発ベンチャー成長の要諦(仮説)について、新材料でユニコーンと呼ばれるSpiber・TBMのネット記事等を見てその検討結果を、以下3回に分け書いていきたいと思います。
①素材開発ベンチャー成長の要諦(本日)
②成長の要諦に照らした、Spiberの考察(今週末)
③成長の要諦に照らした、TBMの考察(来週末)

素材ベンチャーの課題

私が以前素材ベンチャーのコンサルをすることがあり、以下が素材ベンチャーのあるある課題なのかと感じた。(PJ自体は限定的なテーマだったので、本投稿はあくまでその傍らで私の頭で考えたものです)
①工業化(量産化・実製品搭載)の壁が思いのほか高く、開発期間が長期に
(東レの炭素繊維とかは50年かかっている)
②世にない新材料のため、本当に実用化に足る用途が不明(個別の素材の性能はすごいけどなぜか実用化されない)
③量産と価格のニワトリ卵問題(価格を下げるには量産化が必要だが、量産品としてマーケットに普及するには価格が低いことが必要

要諦①:量産化までの資金は、エクイティでかつ国や、業務提携先となる事業会社のマネーで調達

→償還期限のあるVCから調達すると、開発が長期化しているのに償還期限のタイミングで変に現金化を急がされたりする(なのでそもそもVCが投資しずらい領域か?)。なお、研究設備等をリース等のデットで借りるのはご法度(普通このようなリスクマネーにデットはつかないがたまにリースとかしている会社を見かける。デット借りて返せなければそこで会社はジエンドです。。。)
本来は大企業の研究開発部で行われるような分野であり(投資原資を創出する安定した本業があるため)、これをベンチャーでやる以上はコア技術は国の補助金等でやるべきかと。

要諦②:早期の社会実装のため、一部技術をオープン化し窓口を広げる

 →新素材でどのような用途にFitするかはある戦略的に検討は可能だが、実用化に向けては一部ためしてガッテンの人海戦術的な点は否めない。
なので、早期に共同研究先を増やしたり、ライセンス供与を認めたりと一部技術をOpen化し、早めに実社会に認知し、実装てもらうことは必要なのではないか。かなり昔の話だが、日本の知財でよ出てくるネオジム磁石は初期より十数社へライセンスし、用途拡大に成功している。

要諦③:一定ボリュームの出るキラー製品を見つける

実製品に搭載されるまでには、その生産技術や周辺技術(含む設計等)の開発・検討等も必要になる。また素材は価格が重要だが、初期は価格も安くなく、量産すれば下がる可能性があるという点を信じるしかない。(量産しも下がる見込みがない材料はそもそも厳しい)
そのため、Nice to have(あったらいいな)の領域ではなかなか採用が進まず、Must have(その材料がないと実現できない)の領域を探す必要がある。そうでないと、まだ世に出てない材料の価格が下がることを信じ、生産技術の開発をしてくれるユーザーはいない。Nice to haveの領域は、量産化ができ、価格も下がってくれば一気に代替が狙える。あくまで量産まではMast have領域の探索にこだわるべき。

余談

材料は市場規模(TAM)で捉えるととてつもなくでかい。ベンチャーの場合数千億あればOKといわれるが兆円規模になる。ただ現実的には様々な特性で使い分けがなされていることが多く(この素材では特に防水性、こちらでは伸縮性がXX以上でないと不可等)、セグメントをしっかりすると大したマーケットにならにどこらか、市場ニーズがないという可能性もあるので要注意

最後に

次回以降の投稿で新素材ベンチャーのユニコーンと呼ばれるSpiber・TBMが上記要諦に沿った取り組みをしているか検証してみようと思う。多分足りない視点はいっぱいあるはず。。。。日々勉強。

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