鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(10)
ここはモン・サン=ミシェル島の裏手に当たる位置であった。
島の表側には賑やかな参道(リュ・グランテ)が伸び、修道院へと登る細い通路が造られている。
修道院を中心とした狭い島は、周囲をぐるりと囲むように石造りの道路が設えられてあり、今アミがきらきらした瞳を向けているのは幅の狭い通路の向こう側であった。
彼女があまりに嬉しそうにそちらを見つめるので、ラドムも戸惑ったように眼を凝らす。
彼女の視線の先、石で造られた民家の間を一人の人物がこちらに向かって駆けて来ていた。