見出し画像

「やわらかさ」がある顔って。

歯医者さんにいくと仰向けになった状態で、先生はグイっと「真上」に鏡を持ってくる。口を大きくあけた無防備な自分の顔を見ながら、私は「新鮮だなぁ」と思う。だって普通に生活をしていると、自分の顔を真上から見る機会ってなかなかない。いつもは真正面に鏡を置いて、わりとキメ顔で向き合うことが多い。

今日はとくに待ち時間が長かったせいか、自分の顔と向き合う時間がたっぷりあった。そしてまじまじと色んなパーツを見つめて、こう思った。

『 いい顔になってきたじゃないか...... 』

30代になってから肌コンディションは確実に悪くなってきている。
ハリツヤはなくなっているし、日焼けのせいか、もともとあったそばかすも濃くなってきた。しみも大きくなって肝斑のようになってきちゃっている。ちゃんと寝ているのに目の下にくすみも出来ているし、たるみのようなふくらみも見え始めた。ほうれい線も、見て見ぬフリはしているけど、うっすらと線のようなサムシングが潜んでいるのが分かる。

本当にマジで最高に認めたくはないんだけど、確実に「老い」はやってきているのだろう。そんなことわかっている、わかってはいるからこそ、今日は自分の顔を見て少しホッとできたことが嬉しかった。

表情がやわらかくなってきたのだ。
少し前までは、目と眉がもう少し吊り上がっていて、眉間のしわがあったような気がする。当時の写真を見比べると本当にわかる。忙しさと焦りが自分の心を支配していたし、何をしていても、満足できなくて気が散る状態だった。誰に会っても何をしていても自分の中にあるさみしさの根っこが埋まらない。そういう波が何年か続いたことがあって、ちょうどその時期に重なる。

最近は、その頃よりも少しだけリラックスして生きることができるようになった。相変わらず人との比較で軸がブレがちなところはまだまだ変わらないけど、それでも自分の中で「これでいこう」という方針がだんだんと形になってきた。そしてそれを発信をするようになってから、出会う人も変わってきた。時間やお金をかけるもの、洋服や生活品など使うものも変わってきた。それから、きっと私の顔は変わってきたんだろうなと思う。


オーラは見えないけど、顔の印象って眉、目、鼻、口の一つひとつのパーツから沸き立つものが合わさって、「やさしい」「こわい」「おしゃれ」とかの雰囲気を決めるのだろう。

その中でも私はずっと「いい雰囲気をまとった顔」に憧れてきた。
はっきりと言葉の定義はできないんだけど、今まで出会った中で私が「いい」と思う人に共通しているのって、『やわらかさ』だ。笑っても泣いても怒っても、表情にやわらかさがある。ただ、フニャフニャなわけではなくって一本筋が通った芯があることがチラリとわかる、やわらかさ。

今日見た自分の顔は、少しだけやわらかくなっていた。これからもシミやしわは絶えず増えていくだろうけど、やわらかさが増していくならけっこう死ぬときはいい顔になるんじゃないかって。そう思うと、これから年齢を重ねていくのが楽しみだなぁとワクワクした。これからも自分の顔がどう変わっていくのか、楽しみながら人生を歩んでいきたいな。


たまには、自分の顔を真上から見るのも悪くないよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?