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働き方を変えるためには、「改革」ではなく「革命」すべき理由

最近、連日のように働き方改革のニュースを目にする。ビジネスパーソンであれば、日々の業務で体感しているだろう。

社会問題として顕在化したのは、2015年12月に電通社員が自殺した事件からだ。あれから4年経過したが、本当に働き方が改革され改善してるかと考えると、私の答えはNoだ。日々の業務で組織的に小さな改善は行われてはいる。しかし現場の業務量はそれほど減ってないと体感している。

「改革」というワードばかりが先行し、あなたの現場も疲弊してないだろうか?改革どころか改善止まり、場合によっては改悪になってるケースもあるだろう。

本稿では働き方改革の現状と、「改革」ではなく「革命」することをテーマに論考していく。小手先のテクニックでは限界がある。もっと根本的な部分を変えていく必要があると、私は思っている。

働き方改革とは

日本の人口は2008年をピークに減少に転じています。人口が減れば、労働力不足となります。この労働力不足を解消させる為、働き手を増やし、出生率を上昇させ、労働生産性を向上させる必要があります。これを実施させようとする政策が「働き方改革」です。

2019年から「働き方改革関連法」が施行されている。この法律で政府が推進しているのは3つある。

1.長時間労働の是正
2.正規・非正規の不合理な処遇差の解消
3.多様な働き方の実現

私は法律や働き方改革の専門家ではないため、詳細な説明は割愛する。どこにでもいる営業マンとして思うのは、「長時間労働の是正」が「残業の削減」と単純に同一視され、トップダウンで現場が疲弊している現状への問題提起だ。

日本の実情

働き方改革において一番優先されているのは「仕事を効率化して、生産性を上げる」ことだ。

しかし現在の実態は「残業の削減」のみがフォーカスされすぎている。生産性が上がったから残業を削減しているわけではない。残業の削減目標ありきで生産性を上げろ!というのが経営サイドの本音であると思えてならない。順序が逆ではないだろうか?

本質的な問題は何も解決していない。
仕事の内容と量が変わってないのに労働時間を削減すれば、現場は疲弊する一方だ。

実際に、管理職が身代り残業していることも問題化している。

根本的に業務の見直しをせずに、残業削減を進めるのは無理筋である。

まず仕事の棚卸しをして、何の業務にどれくらい時間をかけてるかを測定する。その業務を投下時間効果で色分けして、低いものから業務自体を無くさねばならない。そのうえでパフォーマンスを維持しながら勤務時間を減らしている人には給与インセンティブを付与する必要がある。

また多くの企業が業務改善のため、AIやRPAの導入を進めている。その動きに対して本質を鋭く指摘している記事がある。

【企業は手段と目的を履き違えている】
いくら素晴らしい手段を持っていても、正しい目的が設定されていないとうまくいきません。働き方を変えるというのは、目的ではなく手段です。にも関わらず、働き方改革をすることが目的である企業が大半です。最新のAIを導入して人事制度を変えたものの、社員の利用率は10%未満というのが典型例です。
働き方改革を通じて目指すべきは、会社が儲かることと社員が幸せになることを両立させることです。その実現に向けて問題を抽出し、その発生原因を突き止めてから解決策を講じていく必要があるのです。

上記の記事内容に私は非常に共感した。

一番本質的な問題は、「何のために働き方を変えるのか」という目的を多くの企業が定義せず、社員も考えていないのではないかという点だ。法律が作られても組織と個人レベルで腑に落ちていないと、表面的で画一的なものになってしまう。

「働き方を変える」ということは、ビジネスパーソンにとって「生活を見直す」ことに他ならない。就職して退職するまでの約40年間、就業日においては一日の1/3以上の時間を使っているからだ。

仕事という狭い枠組みでなく、人生という大きな枠組みで仕事を再定義することが第一歩ではないだろうか。

働き方革命

本気で働き方を変えるためには、根本から変える必要がある。日本での慣習を「今の時代に合っているのか?」と疑問に思い、「こうすると、より良い仕事ができる」と誰もが考えないといけない。

私は「今までの延長の改革では、働き方は永遠に変わらないのではないか」と思っている。つまり「改革」ではなく「革命」が必要だ、と。

それぞれの言葉を辞書で調べてみた。

【改革】
基盤は維持しつつ、社会制度や機構・組織などをあらため変えること。よりよくあらためること。
【革命】
権力体制や組織構造の抜本的な社会変革あるいは技術革新などが、比較的に短期間に行われること。

違いは「構造を変えるか否か」だ。では日本における働き方の構造は何かを考える必要がある。皆さん御存知の2つの構造だ。

1.終身雇用
2.年功序列

日本は敗戦後、世界が驚く高度経済成長を果たした。国民総生産が世界2位となったのは1968年。敗戦してから僅か20年程度という短期間である。1991年のバブル崩壊まで日本経済は発展していった。

それを支えたのが、終身雇用と年功序列であるのは疑いようがない。雇用を確保し、働いた年数に給与が連動する。経済成長率が高いので、企業も給与を支払う余裕があった。当時、世界的に見ても日本の教育水準は高く、真面目な国民性とマッチしていたと言えるだろう。つまり、2つの雇用制度は順回転していた。

しかし今の時代とマッチしていないと考えている。今や日本の経済成長率は1~2%でほぼ横ばいだ。先日、春季労使交渉が始まり、経団連も「今までの働き方や賃金体系では限界がある」と発表した。

とは言え、いきなり終身雇用と年功序列を廃止するのは急すぎる。終身雇用は働き手にとっても大きな安心材料だ。まず見直す必要があるのは年功序列という賃金体系、曖昧な役割分担である。

結論を言うと、3つの革命を提案したい。

1.各人の役割とその成果を明確にする。
 (職務内容)
2.給与面での成果主義の比率を大きく上げる。
 (年功序列廃止)
3.時間給を廃止にする。
 (残業にインセンティブをつけない)

役割と成果については、営業担当であれば比較的分かりやすくなっている。しかし事務職などの内部勤務担当は非常に抽象的だ。(ちなみに銀行の場合は、事務ミスなどのマイナス評価)私は尺度を時間にするべきと考えている。例えば、今まで2時間かかっていた業務を効率化して1時間に短縮できたとする。そうすれば1時間を別の業務に充てることが可能となる。正に生産性向上だ。そして効率化できた業務は社内で必ず共有する。そうすれば同じ業務をしている社員全員の生産性向上に繋がるはずだ。効率化した事務担当に対しては、削減できた労働時間コストの何割かを対価として給与還元すればいい。

次に成果主義の比率について説明する。日本企業において成果が適正に給与に反映しているのか、私には疑問だった。理由は営業担当者が1億円稼いだとしても、収入面で反映されるのはボーナスの特別加算と昇進くらいだからだ。例えば営業担当で毎年1億円稼ぎ続ける人もいれば、全く稼げない人もいる。40年間でみると、両者の貢献度は40億円の違いとなる。しかし両者の給与の違いはせいぜいが数千万円だろう。貢献度に応じたリターンが得られてないのが実情だ。だからこそ終身雇用が機能しているとも言える。稼いでいない人も安心だからだ。まず年功序列は廃止して、適正なリターンを得られる賃金体系に変更すべきだ。

最後に時間給を見直すべきだ。何故なら給与において、残業代が大きく影響してるからだ。残業が減らない一因は、働いてる時間が収入に連動してることがあると思う。今の働き方改革で仕事を効率化して残業を無くしても、給与収入が下がるだけならビジネスパーソンが報われない。残業の給与インセンティブを成果に振り替えるべきだと考えている。今や定時という概念自体、古いものになりつつあると思う。

終わりに

今や日本の労働生産性は、先進国でも最下位に近い。経済成長率も低く、バブル後は「失われた30年」とまで言われる。過労死や違法残業も頻繁にニュースになっている。

本稿では、私から見た働き方の実情と私なりの解決策を書いた。

日本経済が世界的に見劣りして、「それなりの生活」でいいのであれば、働き方を変える必要はない。しかし成長を求めるならば、今までのやり方を捨て、革命する必要があると思っている。


【あとがき】
読んでいただいてありがとうございました。
本文3,500字!最長記録更新です。
如何だったでしょうか?あなたが思う改革の方法、実践している働き方などがあれば、是非コメントで教えていただければ嬉しいです。


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宇宙旅行が夢の一つなので、サポート代は将来の宇宙旅行用に積み立てます。それを記事にするのも面白そうですねー。