見出し画像

第1回公認心理師試験 問128

こんにちは。
京都コムニタスの吉山です。
8月に入りました。記録的な暑さが毎日続いています。
体調を崩さないように皆様も気をつけてくださいね。

第1回公認心理師試験の問128!

 前回も書きましたが、第1回公認心理師試験の午前(問4)にも出た森田療法が午後にも出題されました。
 記念すべき心理師の国家資格試験の第1回ということも影響してか、森田療法以外にも内観療法や動作法など、日本の心理療法に敬意を払った出題がみられたようにも感じられます。
 ということで、問1から順番にやってきましたが、いっきに問128に飛んで、まとめてやってしまいましょう!


問128 日本で開発された心理療法について、正しいものを2つ選べ。
① 森田療法における入院療法では、最初の1週間は終日横になったままで過ごす。
② 森田療法では、不安を「あるがまま」に受けとめた上で、不安が引き起こす症状の意味や内容を探求していく。
③ 内観療法における集中内観では、指導者を含め他人と一切話をしてはならない。
④ 内観療法では、「してもらったこと」、「して返したこと」、「迷惑をかけたこと」及び「して返したいこと」という4項目のテーマが設定されている。
⑤ 動作法では、心理的な問題の内容や意味を心理療法の展開の主な要因としては扱わない。


答えと解説をみてみましょう!

正答 ①と⑤
 
この問題は、
「正しいものを2つ選べ」
となっています。
過去問を解いたことがある方は、ご存じかと思いますが、
急にこのように
「2つ選べ」
という出題や、
「不適切なものを1つ選べ」
という出題がみられますので、
しっかり問題文を読んでくださいね。

①正しい。森田療法の入院治療では、絶対臥褥期、軽作業期、重作業期、生活訓練期が設定されています。絶対臥褥期にあたる最初の1週間は、何もせずにひたすら横になる時期で、患者を個室に隔離して、面会、談話、読書、喫煙、その他全ての慰安を禁じ、食事、排便以外ほとんど絶対臥褥を命じます。これは、心身の疲労を調整し、不安にとらわれた状態から脱する状態を体得させるためのものです。
②誤り。森田療法は、患者の訴える症状を直接は取り上げず(不問技法)、不安を“あるがまま”に受け入れます。さらに、できることを気分にかかわらずこなしていくことを促します。それによって、不安で何もできない状態から不安を抱えつつも必要な行動ができるようになります。不安の裏側にある生の欲望を原動力として行動するなかで、もともとの不安はとらわれなくなるのです。つまり、不安が引き起こす症状の意味や内容の探求は行いません。
③誤り。内観療法における集中内観では、外部からの刺激を遮断した薄暗い狭い静かな屏風に囲まれた空間で内観を行い、1~2時間ごとに訪れる面接者に数分にまとめて報告します。そのため、「他人と一切話をしてはならない」というのは誤りです。
④誤り。内観療法では、自分の身近な母、父、夫(妻)、子、先生、知人に対して「していただいたこと」、「して返したこと」、「迷惑をかけたこと」を思い返します。選択肢にある、「して返したいこと」はテーマとして設定されていません。
⑤正しい。動作法は、自分の意図どおりの身体運動を実現しようと努力する主体者の能動活動の過程である動作を課題として、クライエントこころの活動を援助する働きかけを行う心理療法です。

覚えておこう!ワンポイント!

 今回は、森田療法や内観療法、動作法と日本で創始された心理療法がいくつか出てきますので、すべてを挙げるとワンポイントに収まりません。
内観療法に絞りましょう。
ということで、内観療法で覚えるべきは、
自分の身近な母、父、夫(妻)、子、先生、知人に対して
「していただいたこと」
「して返したこと」
「迷惑をかけたこと」
を思い返すところですね。
ここは、頻出で問われやすいところですので、しっかり覚えておきましょう。

文献情報

・下山晴彦編(2009)よくわかる臨床心理学改訂新版 p.175 ミネルヴァ書房
・中島義明ら編(1999)心理学辞典 p.645 有斐閣
・氏原寛ら編(2004)心理臨床大事典 [改訂版] p.350-351,367 培風館