電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任だ
もはや、遠い昔の話のように感じてしまいますが、昨年は日本でラグビーワールドカップがあったんですよね。one teamという言葉が流行りました。さらにさかのぼると、前回大会では、奇跡の勝利で盛り上がりましたね。南アフリカに勝ったあの試合です。youtubeを見てたら、NHKのアナザーストーリーズの特集がアップロードされていました。
何回見ても良いですね。
指揮官の徹底ぶりが勝つビジョンをチームに植えつけた
この勝利は、勝ち方について、明確なビジョンを持ってトレーニングを重ねてきたことによるものです。最後の逆転の場面で、ペナルティを得たジャパンの全員が、当然のようにトライを取りに行った場面、グッときてしまいます。このときエディ・ジョーンズHCは、PGの指示だったんですよね。しかしながら、選手たちは自らトライを選択して逆転勝利。五郎丸選手が番組のインタビューで「蹴ってたら外していたと思う」とコメントしているのがとても印象的です。チームとして目指してきたビジョンと異なることを求められたら、良いパフォーマンスが発揮できないということです。
これはメンタルの問題だけではありません。あの場面でトライを取りに行く組織能力が備わっていたからこそ、選手にとって当然の選択になったのです。ジャパンの勝ち方を徹底し、実現のためのストイックなトレーニングを課しつづけたヘッドコーチの力です。そして最後は、選手がそのエディ・ジョーンズを超えていった。これは、エディさんにとって、指導者冥利に尽きることなのではないでしょうか。
結果が出ない責任は指揮官にある
「結果がでないのは、部長たちのマネジメントの問題」。先日、ある社長さんからそんな言葉が出てきました。この会社の部長さんたちの働きぶりは、だいぶプレーヤーよりです。部を経営する者としての意思決定が不十分と言えます。社長いわく、何かあると、判断を社長に委ねてくるとおっしゃいます。「なんでも社長が決めてたら、部長要らないじゃん」というのが社長の本音です。
さて…、これからじっくり社長と話していかないといけないな、と思っています。おっしゃることは分かるものの、やはり「結果が出ないのは、社長の私の問題」と捉えていただかないとなりません。
社長は、部の方針については、意見を聞いて、どうしたいかを部長たちで決めさせている、と。なのに色々と都合をつけてできなかったと言ってくる。しかも、どうしたら良いですか、と聞いてくる、そこが責任感、使命感、覚悟にかける、というのです。ただ、当の部長からしてみれば、色々考えて、部の方針を提案し、社長にご承認いただいたと思っているのです。部長さんの立場に立てばそうなりますよね。ここで、結果がでないのは自分の責任だと捉えられるかどうかが良い社長と悪い社長の分かれ道となります。
伝説的な経営コンサルタントである一倉定さんは「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任だ」という言葉を残しています。そんなバカな、という感じですが、それくらいの責任感を持て、ということです。最近、復刻した著書のなかでは、こんなくだりがあります。
相談してきめたことは必ずといっていいくらい、常識的なムリのない線に落ちつく。これで会社がうまくいったら、つぶれる会社は一つもない。会社の方針は、社長の信念から、社長の責任で、高い目標を設定しなければ、生き残れるものではない。決定はワンマンでなければいけないのだ。チームというのは運営の面で必要なのである。
出典:『マネジメントへの挑戦復刻版』 一倉定
先ほどの社長さんに限らず、真に信念を持っている社長さんは、残念ながら多くありません。特に創業社長ではない方に多いと思います。部下である部長さんに自ら考えることを求めるのは間違っていません。ただ、自分が責任をとることから逃げてもいけません。
エディ・ジョーンズの信念とハードワークを見習うべし
エディ・ジョーンズHCがジャパンに課したトレーニングは過酷なものでした。自身も寝ても覚めても、勝つことだけを考えてハードワークしています。一方で、様々な人の意見に耳を傾けたり、スタッフの意見を取り入れています。ただ、選手に甘えは許しません。自分で考えてプレーし、トレーニングすることを徹底して要求しました。そうすることで日本が強くなるという信念があったからです。選手と衝突することから逃げませんでした。
部下や組織に物足りなさを感じた時、それを自分の責任として捉えられるかどうか。結果が出ないとき、自分の信念を本当に徹底できているかどうか。
経営者の皆様が向き合うべきことに向き合えるよう、わたしも逃げずにぶつかっていきたいと思います。
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