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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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#リーダーシップ

偉大なリーダーが失われたことで、その後の歴史が変わったこと

かつて日本の内閣総理大臣に次のような人がいました。 「世界のなかでもプレゼンスが高まっているアメリカとの連携を重視し、かつ政情が不安定であった中国とも友好関係を築くことで、不安定な国際情勢のなかでも日本の安定を図ろうとしました。また、国内においても産業の振興や教育の高度化に努めました。」 この内容を読むと、「アメリカとの連携重視とかって、戦後の首相かな?」と思われる方も多いかもしれません。しかし、これは明治の終わりころから主要閣僚を担い、大正期には首相をつとめた原敬(1856

中小企業における経営幹部の育成と覚悟の重要性

ここのところ、経営幹部育成の課題についてよくご相談をいただきます。私の場合は、中小企業の経営コンサルをしているので、その社長さんからの相談が多いです。 「なかなか次の幹部が育たないんだよね」 そんな素朴なボヤキから始まります。コンサルタントとして、その「育った状態」とはどういう定義なんだろうとまずは理解しようとします。一番多いのは、決めない、決められない、判断を委ねてくるといったものです。「結局、覚悟がないんだよ」とおっしゃることも度々です。 経営者は苦労して、覚悟を育

他責は他責を増殖しているのではないか

企業様にてよく聞く社員に関わる悩みの一つです。もはや典型パターンの一つでもあります。 「社員がうまくいかないことを会社等のせいにして、自分に問題がないかを考え、解決しようとしません。」 つまり、うまくいかないことを自分以外の他者の責任(他責)にして、自分の責任(自責)とは考えないということです。 確かに、こうした姿勢では自分で問題を解決しようと努力、工夫することにはなりません。問題はそのまま、他者がなんとかしない限り良くならない、ということになります。では、自責で考え、自

初書籍の歴史監修を頂いた小和田哲男先生について

先日、私の初著作『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)について表紙カラーのアンケートをさせて頂きました。多くの方からご意見を頂き、大変感謝申し上げます。ありがとうございました。また表紙カラーが決まりましたら、この場でご報告させて頂きます。 Amazonや楽天ブックスをご確認頂いた歴史通の方のなかには、「小和田哲男先生が監修しているのか」と思われた方もいるかもしれません。 今回、日本史を通して現代のリーダーのあり方を考えるというテーマのなかで、執筆は全て私が行いましたが、

リーダーシップの意外な盲点:組織の長期的な原動力を生むのは何か?

リーダーシップ発生の起源 人が二人以上存在すると、リーダーシップが発生します。その二人が、持ち場を分担するだけなら話が早いのですが、仕事はそんなに単純ではありません。最初から答えやアプローチが分かっていることは、ほぼないからです。私たちの仕事は問題解決の連続です。問題が大きくなればなるほど、細かく分解して取り組んでいく必要があります。それを一人で片づけていくと物量的に終わりが見えません。分解して、一人ひとりが自分の持ち場で力を発揮していくことが求められます。 目標達成の重

信頼を失うことの怖さ

今日、世界の耳目を一番集めたニュースだと思いますが、ロシアのモスクワでコンサートホールの銃乱射事件が起こりました。現時点で115名亡くなられているとのことで、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。 事件後、過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出しているそうなので、実行犯はイスラム国である可能性が高いのでしょう。 一方で、米国がロシアにテロ発生の可能性を警告していたという報道もあり、もしそうだとするなら、ロシア・プーチン大統領が何らかの意図があって、そのような警

リーダーとして、メンバーの動向、発言、様子に注意を払い、興味をもっていますか

仕事柄、多くのリーダーの方々とお会いするなかで徒然に感じたことの一つです。 リーダーの大事な資質の一つとして、メンバーに興味をもつことで、メンバーがどんなマインドやモチベーションにあるのか、またどんな動きをするのかを感じとり、それに対して適切な対応をすることがあると思うのです。 例えば、退職が続いている組織のリーダーの方に、「今後、更に退職者がでる可能性がありますか?」とお聞きしたときに、「退職をするという話しは今のところ聞いていません」と答えられることがあるとします。

傾聴ができないと、チームも自分も成長しない

お客様との対話や会議などの場を振返っていて、ふと、話していて議論が深まる人とそうでない人がいるなと思いました。やはり、傾聴ができているかどうかが大きいように思います。でも、傾聴はみんな意識はしていますよね。もうちょっと深掘りして考えてみました。 まず、議論が深まる人は、結論を急ごうとしません。対話のキャッチボールによって、自分も含めた参加者の考えが深まったり、気づきを得たりすることを楽しんでいるように思います。 こういう人は、傾聴の姿勢も素晴らしいです。話していて心地が良

素直な「ありがとう」が開かれた組織文化をつくる

質問への感謝の姿勢 「質問を受けたら、ありがとうございますって、いいましょう。」 あるディスカッションの場でそうお伝えしました。 質問には、意見が隠れていることがあります。結果として、反論しあうこともあります。でも、意見の違うことなんて当たり前です。質疑応答をすることで、互いの考えが深まれば良いわけです。 でも、質問されると、ガードがあがってしまうこともあります。自分を守ろうとして、ファイティングポーズになってしまうのですね。そうすると、互いの意見が深まらなくなります。

リーダーシップの強さと企業の盛衰

先週、「伊藤忠 財閥系を超えた最強商人」(ダイヤモンド社)を読んでみました。最近、江戸時代からの商人や明治以降の企業の歴史にも興味をもっており、そうした観点からも読み進めてみました。 本書は伊藤忠さんの繊維の専門商社から総合商社に発展した歴史、そして現在、未来に向けた事業開発について多角的に描いていて、どの章も大変興味深かったのですが、全体を通して感じたのは社長のリーダーシップが強かったということです。リーダーシップの強さが新規事業や事業変革を可能としてきたのです。

リーダーは踏み込み、一人で逃げ出さない

執筆活動のなかで、江戸幕府の最後の将軍、徳川慶喜のことを書かさせて頂きました。 私は徳川慶喜の評価は難しいと感じています。幕末の最終局面で新政府との泥沼の内戦を回避し、比較的円滑に幕府から新政府に政権移行した功績は大きいと思います。もし泥沼の内戦となっていたら、欧米諸国が日本を侵略していた可能性がゼロとは言えませんでした。徳川慶喜の大局観があったからこそでした。 しかし、鳥羽伏見の戦いで情勢が不利ななか、1万人以上の家臣を置いて大阪城を脱出し、海上で江戸に逃亡したことは、

リーダーシップの真髄:自然な感謝から生まれる、共感と変革の力

「あなたは、もっとリーダーシップを発揮しなさい」 リーダーシップを考えたり、人に話したりするときにこの言葉を思い出します。尊敬する上司に言われた言葉です。 15年近く前ですが、正直、当時はピンと来ていませんでした。入社したばかりのタイミングでそのように言われたのです。そういうポジションでもないし、そもそもリーダーとかガラじゃないんだけどな、なんて漠然と思いました。 でも、その意味するところは何だったんだろうと、ずっと心の中に残っている言葉です。 幼いころから、割とリーダ

時を告げるリーダーシップから、時計をつくる変革へ

あらためて読み返して、グッときました。「ビジョナリー・カンパニー」の有名な一節です。 私たちがコンサルタントとして、ときに求められるのは、「時を告げること」のように思います。私たち自身も、お客さまが抱えている課題を解決するソリューションを提供することをいつも考えています。ただ、それが単発で終わってしまっては意味がありません。 では、「時計をつくる」ためにはどうしたら良いのでしょうか。 まず、時計はどのようなものか、考えてみます。 時を告げるためには、時刻を正確に示す仕組

夢を共に紡ぐ、自己実現の舞台:カリスマ創業社長の遺志が息づく組織の魅力

「会社は、社員みんなの自己実現のツールです」 ある創業社長の言葉です。 10年以上前に急逝したこの方は、大変なカリスマとしていまでも社内に大きな影響を与えています。飲食店のチェーン展開に成功した方です。最初は、フランチャイズ店の経営から始めたのですが、独立し、10年も過ぎると店舗数が100を超えるようになりました。 ある程度、組織が大きくなると、求心力が弱くなります。カリスマと称される彼も決して例外ではなかったと思います。ただ、彼自身が経営という仕事を楽しみ、夢を追いかけ