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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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2022年10月の記事一覧

就職は大手かスタートアップか

「就職活動の会社選びで、大手企業がよいと思うか、スタートアップ企業がよいと思うか?」 ある方からの問いかけです。昔は、大手企業が就職先の目標とされていましたが、最近は日々ダイナミックでやりがいのあるスタートアップ企業を求めている学生も増えています。日経COMEMOでもテーマになっていることから、学生にとって関心の高い問いなのだと思います。 前提として、「大手企業」「スタートアップ企業」といっても、各社によって様々です。それぞれ一括りにするのは無理がありますし、それぞれ一長

10/23-10/29日経新聞レビュー

この1週間で気になった日経新聞の記事を5つほど取り上げてみたいと思います。 「「リスクマネーの触媒」狙う」(10/25 朝刊金融経済面) 日本政策投資銀行(DBJ)会長のインタビュー記事です。DBJは優先株や劣後債等の資本性資金の供給を行っており、再生局面にある企業等にリスクマネーを供給しています。昔の話ですが、資金調達側の企業様のご支援をさせて頂いた経験がありますが、多少政府系ということもあり救済色もあるような気もします。政府系とはいえ、民間マネーも原資としている緊張感

「海賊と呼ばれた男」を読んで

出光興産の創業者である出光佐三さんの生涯を描いた「海賊と呼ばれた男」を先日読みました。 実は映画の方は2度ほど見ていて、とても感動的だったのですが、原作の方は読み損ねていました。 読後の感想としては、映画同様に感動的だったのですが、それと同時に自分のまだまだの至らなさを痛感して、多少落ち込むほどのものがありました。 出光佐三さんの生涯は、石油の大規模小売業を展開したいという思いから始まり、小売りだけではなくて原油の輸入、石油精製等と事業を拡大し、出光興産を石油業界のリ

異なる立場で学び合う対話が真のDXを促進する

DXは手段とよく言われます。だとすると目的は何でしょうか? #日経COMEMO #NIKKEI こちらの日経の記事は、見出しこそ「DX人材が武者修行」となっていますが、工場側の社員もDX人材から学び、考え方が変わっていく様子が書かれています。 記事からの抜粋です。 太字は私によるものですが、データサイエンティストとの対話を通じて、「DX、使えるじゃないか」と工場のベテランも意識が変わるというわけです。 記事の最後の方に、以下のように書かれています。 この記事で取り

採用候補者へのトップからのメッセージ

一度退職した人材がまた元の会社に戻ってくる、出戻り社員の採用に積極的な会社が増えています。LinkedInのデータによると、2021年に企業が採用した社員の4.5%が出戻り社員(ブーメラン社員)で、2019年の3.9%よりも増えているそうです。 日本企業に限った場合は、まだここまでの比率ではないのかもしれませんが、私の周囲でも出戻り社員を採用した(再度社員にした)という話を聞くことも増えました。 リファーラル採用(自社の社員による紹介採用)が各社で盛んになっています。社員

基本的なことができていないと、学んでも実践できない

子いわく、「弟子、入りては則ち孝、出でては則ち弟。つつしんで信。ひろく衆を愛して仁に親づき、行いて余力有らば、すなわち以って文を学べ」 (先生が言われた。「年少者の心がけとしては、家の中で孝を尽くし、外では年長者に仕えて弟を尽くし、つつしみ深く、誠実であること。そして、世の中の人々を広く愛し、仁者に近づき親しむ。こうしたことを行ってまだ余裕があれば「詩経」、「書経」などの書物を学ぶことだ」) (論語、学而第一) 私自身も自分自身を振り返って気を付けないといけないことですが

「諦める」というのは「明らめる」こと

人間学入門(致知出版社)という書籍に掲載されている、渡部 昇一氏の記事を読みました。渡部 昇一氏は、日本の英語学者、評論家で、上智大学名誉教授だった方です。劣等感を味わいながらも学問と実践を究めていったその生き方には示唆があふれています。 「諦めるというのは、明らめるなんです。」 同書に出てきた言葉です。 「諦める」という言葉は、物事を途中で投げ出すかのような、ネガティブなイメージがあります。しかし、諦めるべきことを諦めるのは、自分の人生を主体的なものにするために必要な行

まず始めることから始まる

2022年10月20日の日経新聞で、「金融教育、ESGの一環で」というタイトルの記事が掲載されました。大学教授としての視点から、金融教育に関する考え方をテーマにしたものです。 同記事の一部を抜粋してみます。 水泳の型の基本を何も学ばずに海に飛び込むのは危険。一方で、泳ぎ方を学び続けるだけだと泳げるようにはならない。教育や人材育成で古くからよく言われているたとえです。同記事の示唆する通り、興味を持たせて実践につなげていく、一連の流れが大切だと思います。 同記事に関連しポイ

本物にしびれる

前回は、株式会社 致知出版社 藤尾秀昭社長の二宮尊徳氏に関するビデオ講話から感じたことをテーマにしました。二宮尊徳氏の、目の前のご縁と機会に集中して取り組む姿勢が、成果を上げて生成発展する生き方につながったのではないかという内容でした。 同講話から思いを新たにしたことの2つ目は、「本物にしびれる」ということです。 同講話では、次のようなお話がありました。 何に「しびれる」か。しびれているものの中身が自分の人格、運命を決めていく。だからこそ、常にしびれるものを持っている必要

分度を守った挑戦と無謀の違い

株式会社 致知出版社 藤尾秀昭社長のビデオ講話を拝聴する機会がありました。講話は、二宮尊徳氏をテーマにした内容でした。改めて、二宮尊徳氏の教えが時代を超えて学ぶべき生き方だということを認識すると同時に、その実践の徹底度合いに圧倒された次第です。 同講話からは、大きく3つのことについて思いを新たにしました。ひとつは、目の前のご縁と機会に集中するということです。 「至誠」を本、「勤労」を主、「分度」を体、「推譲」を用とする。報徳思想の4つの考え方とされていることです。この4つ

人生はピットインできる場所が必要だ

昨日、半年間に渡る出版ゼミの最終講義がありました。当初は自分なんかがという思いと、ただでさえ本業の仕事が忙しいなかでそんな時間的な余裕が確保できるのかという思いがあり、申し込みを躊躇しました。しかし、環境を変えることが自分を成長させることだと思い思い切って申し込みました。 実際参加してみると、参加者は各分野で道を究めた一流のヘンタイばかり。最初はちょっと引いたものの、それぞれ人間的に素晴らしく、志の高いメンバーばかりでした。 プログラムとしては8月に一段イベントのプレゼン大

2022年度中小企業白書

先週末、中小企業庁が発行している2022年度の中小企業白書を通読しました。 色々と参考になることも多かったのですが、この1週間の中でお客様にもご紹介した部分を2つご紹介したいと思います。 ・KPIによる経営管理 経営の結果である財務指標だけでなく、業務プロセス上の取組み成果指標であるKPIの設定や運営状況、またその効果をまとめたものです。 白書によると、KPIを設定している企業は36.7%と約3分の1としています。このKPI設定企業の中でも、KPIを認識し、意識してい

10/16-10/22日経新聞レビュー

この1週間で気になった日経新聞の記事を5つほど取り上げてみたいと思います。 「越境EC、円安で再脚光 2年で8割増」」(10/ 朝刊1面) 足元の円安もあり、ECを使って日本から海外に販売する越境ECが急拡大しているとの記事です。円安は原材料高、物価高等のネガティブ面も大きいですが、海外に向けては大きな武器になります。今後も更なる越境ECの活用が課題となりそうです。 「「改革開放」言及目立たず 活動報告キーワード分析」」(10/17 朝刊国際面) 中国で開催された中国

ソ連崩壊時から考えるウクライナ侵攻

先日まで、旧ソ連の最後の指導者であり、この8月に逝去されたミハイル・ゴルバチョフ氏の回想録「ミハイル・ゴルバチョフ 変わりゆく世界の中で」という本を読みました。 ご記憶の方も多いと思いますが、ゴルバチョフ氏は共産国家であったソ連の最高指導者として、民主化・経済改革をを目指したペレストロイカを進めながら、対立関係にあった西側諸国と「新思考外交」と言われる平和外交を進め、核軍縮を推進しました。 その改革姿勢は共産化されていた東ヨーロッパ諸国の民主運動を促し、1989年には