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当たる占いはなぜ長文なのか。

脳は欲しい情報を拾う

きっと、どっちにでも解釈できるよう、言葉をたくさん並べる必要があるからだろう。対面の場合は、早口の占い師が多いと思う。理解が追いつかない速度で話すことで、脳は理解したい内容だけを拾うようになる。

占いは楽しむくらいがいいね。

あたりまえだけど、「当たる」と思う人は、占いにすがるくらい困っていて、悩んでいる。当人は人生の交差点にいて、直進か停車か、左折か右折か、はたまた路肩に駐車か。どうするべきか迷っている。

そんな人と話をすると、本人の中ではもう決まってたりする。本心では左に行きたいなと思ってる。でも……と逡巡する。自己肯定感が低い人は特にそうだ。だから「大丈夫。左折ですよ」と、背中を押してもらいたいのだ。

脳ってやつは都合がいい

冒頭でも触れたけど、人は自分に都合のよい情報を脳にインプットする。脳がそういうつくりになっている。

ざっくり言うと、脳には第一脳と第二脳がある。第一脳は素早い処理を得意とする。直感や「私はこういう人だから」という自己完結の思考などだ。

いいときは早くて行動力がある。裏を返せば安易で単略的だ。

いっぽう、第二脳は深い思考を得意とする。いろんな人に話を聞いて、調べて、熟考して、まとめて、答えを出す。ひとつの決断でかなりの労力を費やす。疲れるのはめんどうだから、人は第一の脳で判断しがちだ。だって楽だもん。

いいときは洞察力があり高い壁を越えていく。裏を返せば遅くて行動力がない。

今回の交差点では、第一脳が左折を肯定する言葉を欲している。左折に関する情報にアンテナが立って、お耳がダンボになっている。「やっぱり左折だ!」と思いたい。何なら「左」でも「レフト」でもいい。シンクロするなどと言われるはこのためだ。

「中村俊輔」でも「イチロー」でも「やっぱり!」という人は、右折して心療内科へ行ったほうがいい。

認知的不協和

もうひとつ。人は認知的不協和によって、自身の行動や態度を正当化する。不協和=わかりやすく言えば「気持ち悪い状態」だ。ここでも第一脳が働き、自分の認知を正当化する。自分の認知と矛盾する情報や状況を歪めるのだ。

「いくら叩かれても私は我慢している。だからやっぱり私はこの人を愛してるんだ」
「私はやりたいことを我慢して、周りの人に合わせて生きてきた。だから我慢しない人や誠実じゃない人を許せない」

とか。よく考えると「?」だったりする。

あるいは、悲しみや喪失を受け入れられず、なんで私が悲しまなければならないのかと、悲しみが怒りに変換される。そして、悲しみの原因とはまったく関係のない人に怒りをぶつける。

周囲は困惑して離れていく。離れていくと悲しい。認知的不協和が働き、悲しみに向き合っている私から離れていく最低な人。となる。

他人にぶつけるのは違うとわかってるのに、支離滅裂になってしまう。他人を巻き込んで、他人を傷つけている自分も嫌になっている。他人が本当に傷ついているのか、そばで寄り添ってくれているのか。周りを見ていないから、まだ気づかない。

パーソナリティの傾向もあって、状況はさらに困難を極める。境界性、回避性、妄想性……。周囲が離れていくのか、自分が壁をつくっているのか。

壁を突き破ってきてくれる人を、あなたは待っている。


ぼくが占い師だったら

こんなことを言うだろう。

「いま光の射す方角は南です。この場所から考えると左ですね。ただ、焦らずに熟考するのがあなたの魅力です。いま左折できなくても大丈夫。多くの人が気づかないところなのですが、道はすべてつながっているものなんです。いま右折しても、いつのまにか目的の場所にたどり着いたりもします。それに、いまのあなたは昨年から続いてる『なんだかよくわからないけど、こんこんと湧いてくるエネルギー』を放出したい時期に来ている。昨年のあなたはほんとうにがんばってきたから。だから、アクセルペダルを踏み込んで直進すると、これまでに体感したことのない加速でぐんぐん進んでいけるんです。で、ここが不思議なんですが、凄まじい加速で周囲をごぼう抜きしても、あなたのエネルギータンクはまだまだ空きがある。それには理由があって、あなたにとって2021年は、ここ10年の中でも特に怒涛の日々だった。でも、あなたは逃げずにやるべきことをコツコツやってきた。いつのまにか新しい技術を会得していて、できることが増えているんです。タンクの容量が増えて、タンクの使い方、つまり燃費もよくなったんですね。気づいていないかもしれませんが、いまのあなたはエネルギーの塊なのです。迷わずにどんどん進んでいってください。ただし、ここ重要なところです。あなたはこれまでの人生で、なぜかいつも傷つきやすいポジションにいることが多かった。なぜかわからないけれど、そんな枠回りが多かった。正義感の強さと、完璧主義が空回りしていたんですね。家庭でも学校でもまめに掃除をするあなたは立派なんですが、掃除をさぼる人を見るとちょっと我慢できなくなる。でも、相手の反応を気にしすぎて注意するのはためらっていた。少しだけ恥ずかしがり屋だったのだけれど、思春期の頃から特に、家族や先生、友人などに嫌われないようにしてきたんです。自分の気持ちに自信が持てないし、感情を表に出すのをガマンしてきた。そのせいもあって、なかなかうまくいかないところも多かったあなたですが、いまは躊躇しないで大丈夫。いまのあなたはエネルギーが貯まっている状態。自分に正直になっていいタイミングなのです。自分の実力を信じて、過大評価するくらいで爆進していっていい。いまのあなたは輝いてますから」

何か言ってるようで何も言ってなかったりする。

そんなぼくが占いに行った。

「え!? なんでわかるの?」「そうそう!」ばかり。まぁ、冷静に考えて聞いていたから、まったく見当違いのこともたくさん言ってたけどね。

行ってよかったのは、結局、自分が何をしていきたいかってこと。軸が揺れてるから迷ってしまうし、選んだ先でもまた迷ってしまう。死ぬまでに自分は何をしたいのか。

悩みの対象について考えるのではなく、自分の信念や軸を定めるのが先だ。死ぬまでにやりたいこと100を書いてみた。58までしか埋められない。さて。

もちろん、人は成長するし環境も変わる。軸は都度変更してもいい。何かあったら、できるだけ第二脳を使うよう意識して整理していけばいい。いまぼくはそんなところにいるのだ。

この文章も、何も言ってない占いのように書いてみた。

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