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フラワーロスはどのようにして起こるのか?

こんにちは、melliy storeの武藤です。
今回はフラワーロスの問題について書きたいと思います。

まず初めに、フラワーロスとは「生産された花が消費者の手に渡らずに廃棄されてしまうこと」を指します。以前書いた、花き業界の物流に関する記事で使用した画像をもとに解説します。

後半は、フラワーロスの現状を踏まえて、自分がどのようなことを大事にして花屋を運営しているか書きました。


フラワーロスはどのように発生するか?

まず、フラワーロスの発生タイミングは主に3つに大別されます。それぞれの概要は以下の通りです。

  1. 生産時に発生するロス:生産者が花を収穫および出荷する過程で発生

  2. 流通時に発生するロス:流通事業者が花を集荷・分配する過程で発生

  3. 販売時に発生するロス:小売事業者が消費者へ花を販売する過程で発生

次に、どのような要因によってフラワーロスが発生していくのか、各タイミングごとに紹介していきます。

1.生産時に発生するロスの要因・対策

花の生産において発生するフラワーロスの例として、以下のようなものが挙げられます。

ロスの要因

規格に合わなかった
収穫した花が市場の規格に合わず、出荷できないことによるものです。野菜や果物でよく耳にする「規格外品※」にあたります。作物ごとに規格は異なりますが、長さや輪数(蕾の数)が定められているケースが多いです。

※規格外品とB級品の違い:
混同されがちですが、「B級品」と呼ばれるものは規格に適合しますので、出荷することができます。B級品にも当てはまらず、品質が低い花が規格外品となります。例えば、蕾や葉が変色していたり、長さや輪数の規格を満たしていなかったりするものです。

ロットが足りなかった
出荷時のロットに対して本数が足りず、出荷できないケースもあります。切花では基本的に配送コストと品質維持を鑑みて、一定量まとめたロットを定めて出荷します。例えば、ユリの場合は1箱あたり20〜30本で梱包しますが、規格を満たしていても本数が足りなければ出荷しません。1つひとつのロスは大きくありませんが、品種や規格が異なるだけ余りが発生する可能性があります。

他にも、人員不足などの事情により収穫し切れなかったり、出荷するための販路が確保できなかったりすることでロスが発生する場合があります。

ロスへの対策

農園の肥料へ活用
生産時に発生したロスへの対策として、肥料としての活用が挙げられます。例えば、出荷できなかった花を畑の土に還し、次に栽培する作物の栄養源とします。


2.流通時に発生するロスの要因

ロスの要因

需要量と供給量が合わなかった
需要量に対して供給量が上回り、買い手がつかない花が発生してしまうことです。余剰在庫を発生させるだけでなく、取引価格の低下(=生産者の利益減)に繋がるため、可能な限り需要量≧供給量の関係を保つ必要があります。直近の状況や例年のデータに合わせて、市場側が需要量を予測したり、生産者側が生育状況を共有したりすることで、需給バランスのコントロールを測っています。

ロスへの対策

余剰在庫を買い取って販売
農協や卸売市場と直接契約し、余剰在庫を買い取って販売するケースがあります。オンラインの花の定期便サービス等で活用されている方法です。


3.販売時に発生するロス

ロスの要因

仕入れた花が売れ残ってしまった
需要が低迷して、お店で用意した花の在庫が余ってしまうことです。売れ残りだけでなく、イベントの中止などによる注文のキャンセルなども原因となります。一般的に仕入れた量の30〜40%の花を廃棄してしまっているそうです。

ロスへの対策

ドライフラワー等への活用
生花のままだと商品として取り扱える期間が短いため、売れ残ってしまった花は格安で販売する他、ドライフラワーやハーバリウムなどの花雑貨の材料に活用するケースが多いそうです。


まずは花に触れる人を増やすことが大事

以上がフラワーロスの発生ポイントおよび、要因と対策でした。それぞれの事業者の理想形をまとめると、

  • 生産者は、花をまとめて出荷してなるべく高く売りたい

  • 卸売・仲卸事業者は、できるだけ高値がついてほしい

  • 小売事業者は、できるだけ安く仕入れて利益を上げたい

となります。全体的に良い方向を目指すには、まずは花に触れる人を増やすことが大事だと思っています。花を自宅で楽しんだり、プレゼントしたりする人が増えることで、生産された花の行き先が増えることに繋がります。そのために自分は、花と相性の良いお店やイベントに出店する活動をしています。

作り手・売り手であるからこそ

作り手(生産者)かつ売り手(小売)であるからこそ、「生産時に発生したロスを正規の価格で買い取り、需要の高い場所へ花を届けること」だと思っています。それが最も生産者にとって直接的な利益に繋がる方法だからです。また、無店舗で運営しているからこそ活かせる方法だと思います。

最近、イベント出店時に「蕾が小さくて短いユリの方が飾りやすくて良い」という声を何度か聞きました。出荷規格に従うと、丈が長く、蕾が多い方が価値のある評価となります。対して、小ぶりのユリの方がありがたいという意見は売り手の立場にならないと分からない発見でした。
このような、今まででは評価されていなかった花もできる限り活用して、価値を感じてもらえる形で届けていければと思っています。

出荷規格に満たなくても
小さな花瓶で楽しむことができる

最後に

ここまで読んでくださりありがとうございました。実際にはもっと色々な要因や対策が存在するかもしれませんが、参考になれば幸いです。

引き続き、オンライン・イベント出店・配達などで活動していきます。少しずつ取り扱える花の量を増やして、花屋としての実力をつけたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします!

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