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【中編】大阪・関西万博を見据え、世界に羽ばたく日本のコワーキングカルチャーを。コワーキングフォーラム関西2022 in 大阪「コワーキング祭会(さいかい)-会うことから始まる共創-」

第三部の「アンカンファレンス」は参加型のテーマ別ワークショップ。参加者は興味関心に合わせてテーマを選び、各部屋に分かれて参加しました。

用意されたテーマは「万博をテーマにした共創プロジェクト」「ライフスタイルの多様化と地域」「コミュニティマネージャーの育成」「イベントを軸にしたコミュニティ形成」「コワーキングスペース活用法」の5つ。メイン会場では、当日アンケートで募集したテーマごとにワーキンググループが立ち上げられ、全ての参加者の興味関心に応える万全の体制が組まれました。

以下各アンカンファレンスの様子について、担当者からのレポートをもとにご紹介していきます。

<701号室>万博をテーマに具体的な共創プロジェクトを生み出そう by demo!expo

株式会社⼈間の花岡氏と、ミクル株式会社代表取締役CEOの福井 直樹氏が進行を務めた701号室。テーマは「万博をテーマに具体的な共創プロジェクトを生み出そう by demo!expo」ということで、実際にどのようにプロジェクトアイデアを生み出すかを考えるアイデア創出ワークショップが盛り上がりました。

「大阪・関西万博の会場はこれまでの万博と比べると小規模。全国的に盛り上がれるような仕組みをつくろうと、『街からもうひとつの万博をつくろう』をテーマに数多くのイベントを仕掛けてきました。ゲリラ的に誰もが楽しめること。それが一番大事」

と花岡氏。「EXPO酒場」の例を挙げながら、プロジェクトに参加する、つくる、応援するといった万博との関わり方を提示したことで、会場の参加者と万博との距離がぐっと一気に縮まります。

続いてアイデア創出ワークショップについて福井氏が説明。3つのダイスを用い、出てきた組み合わせからアイデアを考えていくというゲーム性の高いワークショップで会場は大盛況。「こんなアイデア面白そう」「それってこうしたらもっと良くなるんじゃないか」と議論が盛り上がりました。

トークセッション1で深澤氏が話していたように、どこかの誰かの万博ではなく、自分たちが主役になれる万博が実感できるカンファレンスとなりました。

<702号室>ライフスタイルの多様化における地域の意義〜信州リゾートテレワークを例に〜

ワーケーションへの関心が強い方を中心に、関東・北信越・東海・関西・中四国・九州と、さまざまな地域から参加者が多く集まった702号室。一般社団法人日本ワーケーション協会代表理事の入江 真太郎氏と、トークセッション2でスピーカーを務めた松下 慶太氏が進行。

冒頭では、暮らしと働くを考えられる地域を多く擁する長野県のリゾートテレワークの紹介がされ、なぜここまで注目を浴びる先進地になったのかが説明されました。中でも代表的な地域である軽井沢では、元々ライフスタイルとしてリゾートテレワークが根付いており、近年周辺の地域を交えて「働き方」が大きく変わってきたとのこと。若い人を中心に豊かなライフスタイルを求めている傾向にあるそうです。

その後は4~5名で4つのグループに分かれてディスカッション。「今のライフスタイルの変化をどう考えるか?」のテーマでは、オンラインでのつながりが当たり前になった昨今、対面以外の選択肢が増えてオフ・オンラインを選べるようになった現状について議論が盛り上がりました。

また「変化を元に、自分たちの地域・場所でできることは何か?」のテーマでは、参加者から「今日この場で結論を出すのは難しいが、ここでの出会いをきっかけに、各地域に会える人や目的地ができた。次なる共創が生まれる可能性を感じられた」といった今後につながる嬉しい声も。

ワークスタイルはもちろん、より広義なライフスタイルの領域で、地方の持つ可能性に胸を躍らせるカンファレンスとなりました。

<703号室>コミュニティマネージャーの育成

コワーキングスペースのソフト面を支える「コミュニティマネージャーの育成」がテーマの703号室。トークセッション1で登壇したコワーキング協同組合代表理事の伊藤氏と、enspace コミュニティマネージャーの可野氏、そして関西大学梅田キャンパス「KANDAI MeRISE 倶楽部」の甲斐氏が進行を務めました。

ファシリテーターは参加者の中から決まる立候補制。テーマについては参加者たちがその場で出し合い、議論したいものを選択するという、メンバー全員が場づくりに参画する形で進行しました。また、ディスカッションで意見を戦わせるのではなく、ダイアログ(対話)によって互いに気づきを共有するといった「共創」を体現することで、参加者からは積極的に対話を楽しむ空気感が生まれました。

「交流や繋がりをどう生み出すか?」とのテーマでは、「交流や繋がりを生み出すにはイベントが必要不可欠。しかし参加ハードルが高いと意味をなさない。そのため、参加ハードルを下げるような食を通したイベントが効果的ではないか」といった意見が出たり、「コミュニティごとに目的があり、そのためにつながる必要があるけれども、自然発生的につながるコミュニティもある」といった知見の共有がありました。

興味関心の高かった「コミュニティマネージャーの役割」については、例えば「サポーター」「監督」「チャンスメーカー」「ストライカー」など多岐に渡り、それぞれ必要なスキルが異なる、ということを前提にしつつ、コミュニティの最終ゴールとそこに集まる利用者の最終ゴールは繋がるはず、という意見が交わされました。

これらの対話の中には、マネージャーとしてするべきことのハウツーやノウハウの前に、「そもそもイベントって必要?」や「コミュニティマネージャーって必要なの?」という、極めて根源的な意味を問う場面もあり、コワーキングを運営する当事者として真摯にこの仕事に向き合っていることを感じさせるアンカンファレンスとなりました。

<704号室>ピッチイベントの見える化とイベントを軸にしたコミュニティ形成

コワーキングのソフト面を担う「イベントとコミュニティ」をテーマに、全国各地のコワーキング関係者が多く集まった704号室。これまで数多くのイベントを手掛け、熱量の高いコミュニティを創設・運営してきたコワーキングスペースGRANDSLAMの吉永 亮氏やPeatix Japan株式会社の畑 洋一郎氏、GONENGO LLC Founder/CEOのXin Suzuki氏といった実力派の面々が揃い、イベント告知・集客、そしてその後のコミュニティでのつながりづくりについてディスカッションを行いました。

中でも盛り上がったのが、会場の参加者が抱えるお悩みについてのディスカッション。「イベント参加からコミュニティ参加にあまり繋がっていない気がする。一回の参加で終わらせない施策が知りたい!」といった参加者からの切実な声に対し、「来てくれた方とSNSでつながり関係を深める」「他のコワーキングスペースに足を運んでどんな工夫をしているか観察する」といったそれぞれの経験からアドバイスがありました。

また、「自習スペース化していて、イメージしているコワーキングになっていない。変えていきたい」というソフト面の強化についての課題には、「黙々と作業している様に見えて、案外話したい人はいる」とのヒアリングの大切さや、「お菓子を配って話すきっかけをつくる」「部活・サークルをつくってみる」「集中札を立てた人に話しかけない工夫をする」などの具体的な施策の提案もありました。

お悩みに対して登壇者・参加者を交えてアイディア提案や工夫していることをシェアし、双方向のディスカッションが活発に行われ、コワーキングの大きな魅力である「知の共有」が体現されたアンカンファレンスとなりました。

<705号室>企業視点での戦略的なコワーキングスペース活用法とは

705号室のアンカンファレンスのテーマは「企業視点での戦略的なコワーキングスペース活用法」。トークセッション2の「企業のリモートワーク・コワーキング活用事例」では触れられなかった話題や参加者の疑問・課題を、第二部の奥畑氏、梅原氏、青木氏を含む参加者合計13名が全員でアドバイスしたり、議論する形で進行。

企業がワーケーションをする上で必要なコワーキングの設備やユースケースについての情報交換では、「業務上、自宅以外の場所でリモートワークをすることが認められていない」といった課題について、士業の参加者からセキュリティ的に気にしないといけないポイントや、会社でコワーキングを認めてもらうための経営陣や上司に対してのアプローチなど、具体的な事例をもとにアドバイスや議論が活発に行われました。

またコワーキングの運営者からは、住宅エリアで新しくスタートするスペースの集客方法について相談が。参加者各自が思うコワーキングに求めるものや立地を活かした集客方法について意見交換が行われました。

テーマの核となる「企業のコワーキング活用」については、オフィスコストの削減や従業員の生産性向上という分かりやすい目的のためにシェアオフィス的な利用からスタートすることが多いものの、多様な業種やスキル・知見をもった人材との接点ができる採用拠点とするなど、新しい活用法も少しずつ増えている近年の傾向に注目。作業場所としてのニーズ・課題を再確認するだけでなく、その先の可能性についても感じられるアンカンファレンスとなりました。

コワーキングフォーラム関西2022 in 大阪『コワーキング祭会(さいかい)-会うことから始まる共創-』各記事へのリンク

・セッション1&2編はこちらから

・出展ブース&クロージング編はこちらから

文:Ropeth/ロペス 中野 広夢
写真:益田 翼

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